教育ICT用語

シャープやMSら、タブレット個別学習システム「STUDYFIT」で学力底上げ

教育ICT モバイル

STUDYFITは、テスト後すぐに集計・採点できるので復習に時間をかけられるとともに、個々の学力に応じた問題設定が可能
  • STUDYFITは、テスト後すぐに集計・採点できるので復習に時間をかけられるとともに、個々の学力に応じた問題設定が可能
  • 佐賀県多久市 市長の横尾俊彦氏
  • 先生の進捗状況確認画面。児童の進捗や何度も間違っている問題を確認できる
  • 先生の理解状況確認画面。個別学習で誤答の多い問題を確認し、全体学習に活かせる
  • 児童の学力診断画面
  • STUDYFITを使った朝のタブレット学習
  • 佐賀県佐久市の実証実験で、総合正答率が国語で8ポイント、算数で12ポイント、それぞれ向上
  • 佐賀県佐久市の実証実験後の現場の声。学習意欲が高まったという評価
 シャープは4月23日、タブレット端末を活用した個別学習システム「STUDYFIT(スタディフィット)」の発表会を東京支社で開催。STUDYFITを共同開発した日本標準、およびクラウド基盤提供と共同販促を行う日本マイクロソフトとともにSTUDYFITの紹介や協力体制を説明した。また、実証研究を行った佐賀県多久市の横尾俊彦市長からは実証研究の成果も紹介された。

 現在、1,700を超える自治体のうち、教育にICTを活用しているのは115自治体、またタブレットを1人1台貸与する予定なのは6自治体(デジタル教科書教材協議会調べ)。シャープの辰巳剛司(通信システム事業本部 モバイルソリューション事業部 事業部長)氏は、「教育現場では教材不足、ネットワーク回線の細さ、先生への負荷、カリキュラムへの影響といった課題があり、タブレット導入を推進するには“先生が負荷なく簡単に使え、ICT未導入の学校での導入のしやすさが必要”」と説明する。

 STUDYFITの教材は、電子書籍技術をもつシャープが、小学校の問題集やプリント教材等で実績のある日本標準と共同で開発した。5~10分間でできる設問構成のため隙間時間を利用した学習が可能になるほか、ネットワーク負荷を抑えるためにデータのやり取りを学習履歴のみとし、また採点やデータ分析を自動化することで先生の負荷軽減にも取り組んだ。

 児童にとっても、採点結果がすぐにわかるので復習時間をしっかり確保でき、理解度に合わせた設問変更で個々の弱点克服にもつなげられる。教員用のアプリケーションでは、テスト中の各児童の回答状況がリアルタイムでわかる「進捗状況確認画面」や、クラス全体として誤答の多い設問を表示する「理解状況確認画面」が提供され、効果的な指導をサポートしている。

 昨年11月から今年3月にかけて佐賀県多久市の公立小学校3校の5年生6クラスで行った実証研究では、1回目と2回目の総合正答率が国語で8ポイント、算数で12ポイント向上し、成績下位層の割合も減少した。定性評価においても「集中できた」「学習意欲が高かった」といった評価を得ている。

 横尾市長はこうした結果について、「1点、2点を上げるのも大変なのに、わずかな期間でこれだけ正答率が上がったのは大きな成果」と実証研究を評価。さらに「重要なのは、“がんばれ、がんばれ”と気合いを込めた全体学習から、ひとりひとりの学習レベルに応じたむだのないスキルトレーニングがきっちりできたこと。

 子ども達は、“朝のタブレット学習”の10分、15分を非常に集中して取り組んでいた。この集中力、そして集中する習慣を朝の早い時間にもてたという効果も大きい。学校内に落ち着きが出てよかったという現場の声もあり、これは今回の副産物かもしれないが、教育環境を整えることにも役立つと改めて感じた」と効果を紹介した。

 日本標準の田川正彦氏(営業本部 本部長)もまた、「物珍しさからタブレットに触れた子ども達も、自分の学習レベルに合った課題に取り組むうちに自然と学力が向上し、それが自信となってさらに学習意欲を高める、という基礎的なサイクルが生まれたと感じている」と評価。今年度は5年生の国語と算数から提供を始め、2016年には3~6年に向けた教材を提供する予定である。

 日本マイクロソフトの中川哲氏(業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長)からは、同社が行う展開協力について紹介があった。今回のSTUDYFITはインターネット接続を必要としない構成だが、「試してみたい」という学校向けに同社のクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を活用した評価版を、先着30校を対象に展開するほか、教職員向けのICT活用セミナー「Windows in the Classroom」でSTUDYFITを紹介するなど、全国の自治体や小学校への提案を積極的に行っていく。

 シャープは「STUDYFIT」同様、反復・個別学習のための学習支援システム「Interactive Study(インタラクティブスタディ)」を提供しているが、STUDYFITは中位層・下位層の底上げにフォーカスしたシステム。このほか、協働的な学びや思考力・判断力・表現力を育む「STUDYNOTE(スタディノート)」や、タブレットと電子黒板を連携させる「STUDYNET(スタディネット)」といった「STUDYシリーズ」を展開している。STUDYFITは、今年5月より商談を開始し、今年度は実証研究や各自治体への提案を進め、来年2016年度には100自治体への導入を目指す。販売は、シャープビジネスソリューション(シャープ販売子会社)が行う。
《柏木由美子》

編集部おすすめの記事

特集

page top

旬の教育・子育て情報をお届け!(×をクリックで閉じます)