女子大発の新サービス実現!? 実践女子大×responが生み出すハッピーな仕組み

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優勝チームの皆さん
  • 優勝チームの皆さん
  • 実践女子大学 人間社会学部の竹内光悦准教授
  • responの画面。学生が書き込んだコメントがリアルタイムで共有される
  • responの画面。アンケート結果がリアルタイムで集計されグラフ化される
  • 審査員として出席した朝日ネットの森田氏(左)と滝口氏(右)
  • 実践女子大学+朝日ネットの産学連携プロジェクト
  • 実践女子大学+朝日ネットの産学連携プロジェクト
  • 優勝1チーム、準優勝2チームが表彰された
 「今までお金の流れなんて考えたことがなかった」という大学1年の女子学生。1か月後「広告を見ると、この会社はどういう仕組みで儲けているんだろうと気になるようになった」――彼女たちに何が起こったのか? 実践女子大学 人間社会学部の竹内光悦准教授のゼミナール(以下、竹内ゼミ)を覗いてみた。

◆リアルな社会の問題解決プロセスを学ぶFSP

 実践女子大学では、企業人を招いて社会の問題解決プロセスを学ぶ「FSP」(Future Skills Project)という体験型授業(アクティブラーニング)を実践している。企業からの課題に学生たちがグループで取り組み、最終的に企業にプレゼンテーションを行うという授業形態だ。竹内ゼミの取組みは、朝日ネットの協力により実施された。

 課題のテーマは、朝日ネットが提供するアプリ「respon(レスポン)」の新しい機能とビジネスを考えるというもの。竹内ゼミでは日常的に「respon」を活用しており、学生たちは日頃から慣れ親しんでいるツールについて、ユーザー目線を交え、改善ポイントや新たな活用シーンを熟考し、提案する。

◆20以上の大学で導入されているresponとは

 responは、教員と学生が、講義中でもリアルタイムにコミュニケーションをとれる無料アプリ。「クリッカー」「プレイヤー」などの機能があり、たとえば、教師の質問にクリッカーで回答し、プレイヤーでグラフ化。その場で結果を共有するといった使用が可能だ。出席の管理もでき、またGPS判定機能によって学生がどこでアンケートに回答したかも把握できる。

 responは、文部科学省が推進するアクティブラーニングでの活用にも有効で、すでに20以上の大学で導入されている。

 朝日ネットでは積極的に授業の現場の取材を行い、responの製品開発に反映している。今回の企画もその一環で行われた。

◆responの機能フル活用で課題解決

 竹内ゼミの全31人が6チームに分かれて提案を行う。この日の授業は、中間発表での朝日ネットや竹内先生からのアドバイスを踏まえて完成させた企画の最終発表だ。

 優勝チームの提案は、複数の雑誌の懸賞応募をする場合、何度も個人情報を入力するのは煩わしい、応募はがきの場合は郵便ポストに投函するのが面倒などという問題を、responを使って改善しようというものだった。

 「雑誌の懸賞ハガキを送ったことがある人は49%。もしアプリで簡単に応募できるなら応募したいという人は79%という調査結果が出ました。」ーーパワーポイントを使ってプレゼンする。さらに「ある調査によると、1,000回の広告表示によって平均2.85ドルの利益が上がります。仮に10万人がresponをダウンロードしたら広告収入は…」と続く。

 responの機能を使えば、クリック一つで回答や応募ができ、アンケートの結果がリアルタイムにわかる。初期設定で個人情報を入力しておけば、毎回一から記入しなくていい。懸賞キャンペーンを行う企業には、広告収入が得られる、アンケート集計の効率化が図れるといったメリットがある。また、アプリを提供する朝日ネットにも企業から利用料が入る。まさにみんながハッピーな仕組みだ。

 他のチームからも、出席管理機能を使ったポイント付与、GPS機能を使ったグルメイベント企画や安否確認、就活サービスと、学生ならではの新鮮なアイデアが次々と発表された。いずれも、データによる裏付け、明確なビジネスモデル、ステイクホルダーのメリットなど、社会人が企画書を作る場合でも必要とされる要素すべてを網羅した、完成度の高い企画提案だ。これを大学1年生が作ったとは驚きだ。

 各チームのプレゼンは、朝日ネット 技術戦略研究所 ディレクターの森田真基氏が「これがもし就活課題なら、全チーム合格レベルです」と太鼓判を押すほどの仕上がりだった。しかし、最初からこのレベルのものができたわけではない。

 「今回が最終発表ですが、実は2週間前に中間発表を行いました。そのときに、『お金の流れがどうなっているのか』『ユーザーにはメリットがあるが企業のメリットは?』など、朝日ネットさんから厳しい指摘がありました。これをどう立て直すのか心配はありましたが、あえて見守るだけにしました。」と竹内先生。「教師の役割は、手取り足取り教えるのではなく、学生たちが力を発揮できる環境を作ることなのだと実感しました。」とも。

◆学生の視点が光るrespon活用アイデア

 発表の後、朝日ネット 取締役の滝口彰氏、森田氏、竹内先生ら審査員による協議の末、優勝、準優勝が決定。当初、準優勝は1組の予定だったが、優劣つけ難く2チームを選んだ。

 学生たちには、朝日ネットより表彰状が授与された。森田氏は「すばらしい企画を提案していただき感動しています。私はよく“発明のにおいがする”という言い方をするのですが、今回の提案の中には、まったく新しい視点のアイデアと感じるものがありました。またどの発表も、実現可能性が高い魅力的なものでした。」と総評した。

◆実践女子大×responの新サービスが実現!?

 今回の授業では、「respon」の機能を知り尽くし、かつ日常的にスマホやアプリを使いこなすデジタルネイティブならではのアイデアが生まれた。学生たちはこの授業を通じて、何を得たのだろうか。優勝チームの石川さん、斎間さん、藤井さん、星野さん、渡邊さんに聞いた。

 朝日ネットの協力により実現した企業とのコラボで、相手の視点でものごとを考えることを学んだ学生がいる。「これまで自分のメリットしか考えてきませんでしたが、企業のメリットは? という視点ももてるようになりました。」と藤井さん。星野さんも「これまでお金の流れは意識してきませんでしたが、企業の方と取り組んだことで新しい視点が得られました。」と語る。

 石川さんは日頃から活用しているresponを題材に企画を考え「開発のプロセスを経験したことで、自分でももの作りができるんだと、とても興味が湧きました。」と手応えを感じたようすだ。授業を通じてお金の流れが気になるようになったという斎間さんは「広告を見ると、この会社ってどうやって儲けているんだろうと思うようになりました。企業の方たちが私たちのために真剣に動く姿を見て、学生だという甘えはなくなりました。」と言う。

 渡邊さんは「最初は話の規模が大きすぎてどうしたらいいかわからず、アイデアも出ませんでした。」と戸惑いもあったようだが、「朝日ネットさんのガチ感が伝わってきたので、私たちも真剣にやろうと心を決め、アイデアを固めていきました。それが優勝という結果につながって、とても嬉しいです。」と喜びを語ってくれた。

 学生たちは、今回の授業を通じて多くを学び、素晴らしい発表をした。一方で朝日ネットも、responユーザーである学生たちのアイデア溢れるプレゼント通じて、プロダクト改良のヒントを得ることができた。朝日ネットでは、今回の授業に参加した学生と一緒に、プロジェクトを進めていく考えだ。

 「もし本当にこのプロジェクトを進めることになったら、参加する意思はありますか?」との森田氏の呼びかけに、メンバー一同「もちろん!」と即答。現役女子大生発の新サービスが、実際に日の目を見る日が近く来るかもしれない。
《石井栄子》

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