日本の母親、芸術・外国語の重視比率低…ベネッセ母親調査

 ベネッセ教育総合研究所が実施した「幼児期の家庭教育国際調査」によると、子どもの「好奇心」や「がんばる力」の発達において、子どもがやりたいことを尊重し、支援する保護者の姿勢が関連していることが明らかになった。

教育・受験 保護者
「学びに向かう力」は4か国とも共通の5領域で構成されていた
  • 「学びに向かう力」は4か国とも共通の5領域で構成されていた
  • 幼児(6歳児時点)での「学びに向かう力」5領域の発達状況
  • 子育て方針
  • 「寄り添い型養育態度」と「学びに向かう力」の関係
  • 「寄り添い型養育態度」の高群・低群と「新しいことに好奇心をもてる」(「好奇心」の項目)
  • 「寄り添い型養育態度」の高群・低群と「物事をあきらめずに、挑戦することができる」(「がんばる力」の項目)
 ベネッセ教育総合研究所が実施した「幼児期の家庭教育国際調査」によると、子どもの「好奇心」や「がんばる力」の発達において、子どもがやりたいことを尊重し、支援する保護者の姿勢が関連していることが明らかになった。

 「幼児期の家庭教育国際調査」は、母親の子育て意識・実態や、小学校入学に向けて幼児期に育みたい力として設定した「学びに向かう力」「文字・数・思考」「生活習慣」の発達状況と保護者の関わりについて、国による違いや共通点を明らかにすることを目的に実施。2017年3月から7月にかけて、日本・中国・インドネシア・フィンランドの4歳~6歳の幼児を持つ母親を対象に実施した。有効回答数は日本1,086名、中国2,778名、インドネシア900名、フィンランド180名。なお、調査は各国の都市圏で実施しているため、調査国全体の平均値を示すものではない。

 ベネッセ教育総合研究所では、幼児期に育みたい生涯にわたって必要な力、小学校入学以降の学習や生活につながる力として、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つの非認知的スキルを「学びに向かう力」と定義している。また、2012年より実施している「学びに向かう力」の縦断研究では、幼児期の学びに向かう力が「言葉」などの認知的なスキルの土台になっていることが明らかになっている。

 今回の調査で「学びに向かう力」は、社会文化的な環境が異なる4か国で共通して「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5領域で構成されることが明らかになった。また、6歳時点での「学びに向かう力」5領域の発達状況は4か国とも「好奇心」がもっとも高く、「がんばる力」や「自己抑制」は低い傾向が見られた。

 子育ての中で力を入れていることを聞いた質問では、「他者への思いやりを持つこと」「自分の気持ちや考えを人に伝えること」「興味や関心を広げること」など、「学びに向かう力」に関連する項目は8~9割が重視。「自分でできることは自分ですること」「基本的な生活習慣を身に付けること」「社会のマナーやルールを身に付けること」といった「生活習慣」の自立に必要な能力は、すべての国で9割以上が重視していた。また、日本の母親は「芸術的な才能を伸ばすこと(音楽や絵画など)」「外国語を学ぶこと」を重視する割合がほかの国に比べて低かった

 子どもの意思や感情を尊重する保護者の関わりを「寄り添い型養育態度」と定義し、「学びに向かう力」との関連を調べたところ、日本・中国・フィンランドでは母親の「寄り添い型養育態度」が「好奇心」「がんばる力」の発達と、インドネシアでは「好奇心」の発達との関連が見られた。このことから、母親が寄り添い型の姿勢で子どもと関わるほど、子どもが新しいことに好奇心を持ったり、物事をあきらめずに挑戦したりすることができるといえる。
《外岡紘代》

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