明治・青学・立教・法政・中央「ダブル合格者」の進学先は? 東進から入手

 受験生が私立の名門大学にダブル合格した場合の進学先は? 東進から入手した分析データをもとに、本記事では関東にキャンパスを構える難関私立大学5校「明青立法中」(明治大、青山学院大、立教大、法政大、中央大)にスポットをあてる。

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明治・青学・立教・法政・中央「ダブル合格者」の進学先は? 東進から独占入手
  • 明治・青学・立教・法政・中央「ダブル合格者」の進学先は? 東進から独占入手
  • 東進ハイスクール「ダブル合格者進学先分析」
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  • インタビューに応じてくれたナガセの広報部長・市村秀二氏
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 受験生の人気が高い私立の名門大学。その人気度や注目度は、志願者数や志願倍率などから測られがちだ。

 しかし、そうした数字には表れにくい、昨今の人気傾向を示すデータがある。そのデータとは、東進ハイスクールが独自作成している「ダブル合格者進学先分析」だ。これは、たとえば早慶を併願して、両方に受かった場合に実際に進学するのはどちらかといった最終的な進学先を分析したものだ。いわば受験生の滑り止めなどを含んだ受験者数の比較が「仮需」だとすると、同データは、実際に進学した先を示す「実需」を示したデータとも言えよう。

 本企画では、東進ハイスクール運営元であるナガセの広報部長・市村秀二氏に、受験生が私立の名門大学にダブル合格した場合の分析データをもとに、各校の特徴と進学傾向をインタビューした。大好評を博した第1回「早稲田と慶應『ダブル合格者』の進学先は? 東進から独占入手」に続き、第2回の本記事では、関東にキャンパスを構える難関私立大学5校「明青立法中」にスポットをあてる。

大きな存在感と人気を誇る関東都市部の難関私大群

--「明青立法中」とはどんなグループなのでしょうか。

 東進では明治大、青山学院大、立教大、法政大、中央大の5大学グループを「明青立法中」と呼んでいます。言わずと知れた関東の人気有名私大群で、その存在感は圧倒的です。第1志望校とする受験生はもちろん、早慶上理(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学)の併願校、また日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)志望者のチャレンジ校としても多くの志願者を集めています。

 また、生々しい話ですが、企業が学生を新卒採用する際に、明青立法中を学歴フィルターの最低ラインに設定している場合があります。そのようなことからも、「何としても明青立法中以上に」という受験生も少なくありません。

インタビューに応じてくれたナガセの広報部長・市村秀二氏

キャンパスの立地が人気を左右

--人気を集めている5校ですが、その理由はどこにあるのでしょう。

 大学の人気を左右するのは、もちろん「教育内容」が大きいものの、要素として意外に大きいのが「大学の立地」です。

 キャンパスの郊外移転ラッシュが始まったのは1970~80年代。1959年に施行された「工場等制限法」で都市部の大学新設が規制されたことなどが要因ですが、こうした動きが起こる前は、いずれも都心に集中しており、立地の差はほとんどありませんでした。

 初めに都心を飛び出したのが1978年に開設した中央の多摩キャンパス(東京都八王子市)。近代的で最新の設備が整った広大なキャンパスに憧れた受験生がいた一方で、交通の不便さなどで都心に憧れる学生からは敬遠されました。

 1982年に開設した青学の厚木キャンパス(神奈川県厚木市)も、新宿から1時間半という遠さの上、文系学部の1・2年生全員が対象だったため、これが人気の大きな足かせになっていたことは否めません。しかし2003年の相模原キャンパス(神奈川県相模原市)開校と同時に厚木キャンパスは閉鎖され、さらに2013年からはすべての文系学部が青山キャンパス(東京都渋谷区)となったことで人気を取り戻しました。

 対して法政は、1984年に多摩キャンパス(東京都町田市)を開設したものの、移転は一部の学部に留めて多くは市ヶ谷キャンパス(東京都千代田区)に留まりました。

 立教も1990年に新座キャンパス(埼玉県新座市)を開設しましたが、依然として池袋キャンパス(東京都豊島区)の立地には大きな魅力があります。

 明治は4つのキャンパスがあり、理工学部・農学部の生田キャンパス(神奈川県川崎市)以外は都内に立地しています。同大学を象徴する建物が、1998年に竣工した駿河台キャンパス(東京都千代田区)の「リバティータワー」です。地上23階、高さ120mとそびえ立つ姿は受験生にとって憧れの存在です。

 このように、受験生に対して立地の魅力は差別化の要因となっているのです。

--2002年に工場等制限法が撤廃され、各大学とも都心への回帰が相次いだ流れもありますね。

 そうですね。現状をみると、青学を筆頭に、立教、明治は都心で立地良しと言えるでしょう。法政は完全に都心型ではありませんが、現在は15学部中8学部が市ヶ谷にあります。中でも地上27階、高さ122mの「ボアソナード・タワー」は法政のシンボルとなっています。

 一方で中央は、ほとんどの学部が郊外に位置しており、立地の不利は否めません。そんな中、今年度より法学部が茗荷谷キャンパスへ移転したことは大きなニュースになりました。

 立地については女子のほうがこだわる傾向があるようです。ちなみに各大学の女子比率を見ると、最新データで青学と立教が50%を超え、法政も40%を超えました。2007年と比べるとどの大学も女子比率は高まっていますが、もっとも低いのが明治で、もっとも伸びが少ないのは中央です。女子の動向も大学人気のバロメーターの1つと言えます。

学部新設など大学の改革力が人気と相関

--立地の他にも人気につながる要因はありますか。

 やはり「大学改革」があげられるでしょう。前回の早慶編では、慶應が1990年、早稲田も2004年あたりから改革に踏み出し、成果をあげている話をしましたが、多くの大学が2000年前後から少子化、グローバル化、情報化などの社会変化に対応すべく、大学改革を本格的に進めています。大学によって取組みや積極性はさまざまですが、大学の改革力と人気は一定程度の相関関係があると考えられます。

 改革の1つの成果指標が、学部の新設です。2000年以降に新設した学部数を比較してみると、表の通り、1999年時点では明青立法中のほとんどの大学が横並び(法政は1999年に2学部新設しているので、それまでは6学部体制)。どの大学もほとんど同じラインナップで代わり映えはしませんでした。

 ところが2000年以降、各大学とも学部新設・改組のラッシュが始まり、学部数トップの法政では倍増しています。もっとも出遅れたのが中央で、2019年に国際情報学部、国際経営学部の2学部を新設しましたが、総合政策学部設立以来、実に26年ぶりの学部新設でした。

 中央の2学部新設をもって明青立法中の全大学で国際系学部が出そろいました。今後も情報、データサイエンスなど新たな分野の動きが出てくると考えられますので注目していきたいところです。

明青立法中のダブル合格進学率1位は明治

--東進では卒業生の進学先のデータから「ダブル合格者進学先分析」を行っているとのことですが、明青立法中のダブル合格者の進学先について教えてください。

 明青立法中の大学全体でのダブル合格者の進学先の比率を示したデータを見ると、同グループの中では明治が頭ひとつ飛び出していることがわかります。全大学、全年度において明治が圧勝しており、人気・実力ともにトップと言えるでしょう。学生数はもっとも多く、3万人を超えています。キャリア教育や就職サポートも充実しており、就職力は安定して強い。早慶の併願先としてもっとも選ばれているのも明治です。

 グループ内では早慶にもっとも近いと言える明治ですが、早稲田と明治で両方受かった場合、明治に進学した合格者はわずか0.9%(2023年)しかおらず、早慶との壁はまだまだ極めて大きい。さらに、上智と東京理科大と明治を比べても、偏差値はほとんど変わらないものの、上智や東京理科大のほうが強いというのが実情です。

ダブル合格進学率で青学が立教に逆転

--青学はダブル合格進学率で躍進したようですね。同大学の強みはどのあたりにあるのでしょうか。

 青学の強みは先にお話しした通り、キャンパスの立地がありますが、それだけではありません。2020年における主要企業400社への就職ランキングでは、青学が明青立法中における最高位でした。

 青学のダブル合格進学率が躍進したのは2021年です。それまでは、青学と立教のダブル合格では立教に軍配が上がっていましたが、この年に初めて立教を逆転しました。その背景には、同年に行われた両大学での入試改革があります。

 立教は共通テスト型受験を拡充し、英語の個別問題を廃止したことと、1回の試験で複数学部に出願できるようにしたことで、志願者数が大幅増加。明青立法中で「一人勝ち」と言われました。

 一方の青学はこの年、論述問題を増やし、より思考力を問う入試形式に変更しました。これを避けた受験生の影響で、青学は志願者数が3割も激減するピンチに陥りました。  

 ところが、志願者数で明暗を分けたこの2校が、ダブル合格進学率ではまったく真逆の結果となり、両方合格した生徒の3分の2が青学に進学したのです。これは、青学の入試改革によって、青学を熱望する学生を集めることに成功したと考えるのが妥当でしょう。志願者数は減少したものの、志願度が上がった。その後も、2022年、2023年と僅差ですが青学優勢が続いています。

 また、青学の人気は箱根駅伝の影響も少なからずあるでしょう。2015年からの9年間で6回もの優勝実績によって、多くのご家庭に感動を与えたことが好感度アップにつながっていると考えられます。

中央・法政の位置は変わらず、立教は経営学部等が突破口か

--対する立教はいかがでしょうか。

 先ほど、明青立法中のダブル合格者進学率は明治がトップだとお話しましたが、5大学のダブル合格進学率という視点で見た位置づけは、1位明治、2位青学、3位立教、4位中央、5位法政です。青学と立教が僅差ですが、その他の組み合わせでは、偏差値はほとんど変わらなくても序列がはっきりしているのが実情です。

 2000年代までは、立教は早慶上智に次ぐ明治と肩を並べる存在でした。ところがこの10数年で明治にじりじりと差を広げられた感があります。この状況から挽回するために、2018年に立教は明青立法中を抜けだし、「RJK(立教・上智・慶應)」グループを確立することを宣言しました。

 この改革の柱となったのはグローバルリーダーシップ育成のプログラムで、その最先端を行くのが経営学部と異文化コミュニケーション学部です。

 経営学部では、BLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)を導入。少人数で課題に取り組み、多様なバックグラウンドをもつ仲間と議論を重ね、メンバー全員が影響力をもつシェアド・リーダーシップを育てます。英語で徹底的にディスカッションやディベートを行い、実社会で生きるコミュニケーション力を身に付けます。

 異文化コミュニケーション学部は、明青立法中のあらゆる学部の中で、ダブル合格した場合に進学先として選ばれる学部として、堂々第1位に輝いています。この2学部が立教の改革を牽引する存在と言えるでしょう。

司法試験はじめ資格試験に強い中央

--中央の法学部といえば司法試験に強いことで有名ですね。

 そのとおり、中央の法学部は、司法試験合格者を毎年多数輩出する看板学部です。大学別の司法試験合格者数ランキングでは、直近5年累計で東大・京大・慶大・早大に次ぐ第5位を誇り、明青立法中の中ではダントツです。

 中央は資格試験に強く、公認会計士合格者数では直近10年累計で慶大・早大・明大に次ぐ第4位。商学部を看板学部にもつ明治に続いています。また、国家公務員総合職試験においても私大では早慶に次ぐ3番手の第7位につけています。試験対策の環境も整っており、実学志向の学生には中央は高い人気を誇っています。

女性総長のもとで女子学生比率を伸ばした法政

--法政も学部数の倍増や女子学生比率の上昇などで健闘している印象です。

 法政はダブル合格進学率にて明青立法中の最下位という位置づけですが、明青立法中に続く「成成明学」(成蹊大学・成城大学・明治学院大学)や「日東駒専」のグループと比べると、進学先は法政の圧勝です。法政と成蹊の2大学は偏差値がほぼ同じなのに、成蹊を選ぶのはわずか数%と大差がつきました。また、日東駒専トップは東洋ですが、法政と東洋でも、ほぼ100%法政に進学しています。明青立法中と成成明学・日東駒専のグループの間には大きな差があることがうかがえます。

 法政は2014~2021年に任期を務めた田中優子総長の尽力により、女子学生の居心地がよく勉強しやすい環境を作って、バンカラなイメージをなくし、女子比率を伸ばして頑張ってきました。学習院とのダブル合格進学率を比べても、保護者世代では学習院でしたが、今は逆転して法政に。法政の大学改革が実を結んできたとも言えると思います。

主要学部同士は看板学部をもつ大学に軍配

--学部系統別ではいかがでしょうか。

 学部別にダブル合格進学率を細かく見ていくと、いくつか特徴的な結果がうかがえます。

 まず、学部系統別にランキングをつけると、法学部系は中央がダントツです。たとえば中央と明治の両法学部に受かった場合、中央への進学者は8割以上。昔から「法曹を目指すなら中央」というイメージは依然として変わらず、資格試験合格実績の裏付けもあってここは不動の強さですね。

 一方、経済学部系および文学部系は、全体の序列と同じ明治・青学・立教・中央・法政の順になっています。商・経営学部系では、明治・商学部が同大学の看板学部としてトップ。次いで立教・経営が明治・経営を上回り2位と善戦しています。

 理系である理・理工・工学系は、明治の2学部が上位を独占し、その後に中央が続きます。明治の総合数理学部は2013年に新設され、数学とコンピュータを用いて社会課題を解決する新たな学問領域として人気を博しています。

--明青立法中の5大学が切磋琢磨し合い、進化し続けている経緯がよくわかりました。ありがとうございました。


 市村氏は「明青立法中というグループ組織が存在するわけではない」としたうえで、同グループへの進学を目指す学生に向け、「大学によって教育内容もカラーも異なるので、各々の校風や教育内容をよく調べたうえで、自分に合った大学・学部を志望してほしい。いずれの大学・学部を受験するにせよ、盤石な基礎力を身に付け、過去問研究、入試対策をしっかり実践すれば合格に近づける」とエールを送った。改革を弛まない明青立法中の取り組みに今後も期待がかかる。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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