2023年は的中も多数、受験生は受けるべき「代ゼミ模試」に隠された秘密

 長年入試問題を研究し、合格に導く模試をめざして作問を行っている代々木ゼミナール教材研究センターの横田和彦氏と越田大二郎氏に、「大学入学共通テスト」の最新の傾向と、模試を生かす勉強方法などを聞いた。

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代々木ゼミナール教材研究センターの横田和彦氏(右)と越田大二郎氏(左)
  • 代々木ゼミナール教材研究センターの横田和彦氏(右)と越田大二郎氏(左)
  • 代々木ゼミナール 教材研究センター本部長 横田和彦氏
  • 代々木ゼミナール 教材研究センター 地歴公民研究室 室長 越田大二郎氏
  • 「『全国共通テスト模試』は学力伸長の度合いを観測することができる模試。対して『大学入学共通テスト入試プレ』は大学入学共通テストへの実践力を養成することができる模試」と横田氏
  • 「地歴分野は参考になる資料も山のようにあるため、完全に的中させるのは困難だが、そうしたなかでもさまざまな工夫を凝らし、少しでもできるよう試みている」と話す越田氏
  • 模試の問題は科目担当のみならず他科目のスタッフも目を通し、多角的に確認をして作成するという
  • 受験生が一度も見たことないような資料が入試には採用される。そのため「受験生のためにもなり、見たこともない資料」を探し続け模試に採用しているという

 2021年1月より、従来の「センター試験」に代わり開始された大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。長文問題や、初見の資料から読み解いて解答する問題など、新たな出題傾向にとまどう受験生も多かった。代々木ゼミナール(以下、代ゼミ)では2023年度、高1生対象の「全国高1共通テスト模試」、高2生対象の「全国高2共通テスト模試」、高3生・高卒生対象の「大学入学共通テスト入試プレ」を開催する。

 長年、入試問題を研究し続け、合格に導く模試をめざして作問を行っている代々木ゼミナール教材研究センターの横田和彦氏と越田大二郎氏に、共通テストの最新の傾向と、模試を生かす勉強方法などを聞いた。

思考力や読解力が問われる共通テスト

--現在の大学入試において、共通テストは、どんな役割を担っているのでしょうか。

横田氏:一般的には国公立大学入試のための一次試験という位置付けですが、共通テスト利用入試を採用している私立大学もあります。ただし、私立大学の一般入試との傾向や対策が大きく異なっているため、センター試験のように、「とりあえず受けてみる」という対応が取りづらくなりつつあります

代々木ゼミナール 教材研究センター本部長 横田和彦氏

--2023年に実施された共通テストには、どんな傾向がありましたか。

横田氏:難易度は多少の調整が入り、たとえば2022年に難化で話題になった数学は2023年は易化しました。出題については、センター試験と異なり、単に知識を問うような問題だけではなく、複数の資料を読み解いて答えを導く問題など、共通テストとしてめざしている作問の方向性が徐々に固まってきていると感じています。

--センター試験との比較のお話が出ましたが、共通テストではどのような力が測られるのでしょうか。

横田氏:共通テストは、思考力・判断力・表現力といった力を測ることを目的にしています。まだ3回目が終了した段階ですので、大学入試センター側も試行錯誤して進めている印象ですね。

 しかしながら方向性はかなり固まってきたように思われます。特徴的なのは、身近な問題に結びつけた出題がされている点です。たとえば、2023年の数学では、桜の開花をテーマにした問題や、今年ワールドカップが開催されたバスケットボールにちなんだ問題などが出題されました。

 また、問題文に会話が多く用いられているのも特徴です。特に、実際の授業の中でのやり取りを想起させるような教員と生徒の会話文が多く見受けられ、受験生が興味をもって取り組める工夫がされているように感じています。

越田氏:地歴・公民や理科でも、オープンキャンパスで学生が教授と会話している場面や、レポートの文章を掲載し、そこから出題するといった問題が多くありましたね。

代々木ゼミナール 教材研究センター 副部長/地歴公民研究室 室長 越田大二郎氏

3種類の「共通テスト模試」を用意

--「共通テスト対策」における、予備校の役割は何だとお考えでしょうか。

横田氏:共通テストは、全国の受験生が受けるものなので、学校の授業を受けていれば解けることが前提です。とはいえ、試験時間に対して問題量が多かったり、複数の資料を読み解いて答えを導いたりしていくことは、学校の対策だけでは追いつかない部分もあります。そういったところに、予備校の役割や存在意義があると考えています。

--では、こうした共通テストの傾向に対して、受験生はどのように対応すれば良いでしょうか。

横田氏:共通テストでは、複数の資料を読み解くにあたって、何度もページを行ったり来たりするため、問題を解く以外のことにも時間を要してしまいます。

 代ゼミでは、共通テスト向けに特化した模擬試験や授業を提供していますが、こうした模試や授業を受けて、事前に共通テストの出題に慣れたうえで、時間内で解き切るといった対策の必要性を感じています。

--代ゼミでは、高1生、高2生対象の「全国共通テスト模試」や、高3生・高卒生対象の「大学入学共通テスト入試プレ」がありますが、それぞれの概要や目的を詳しく教えていただけますか。

横田氏:2023年度は、高1生、高2生対象の「全国共通テスト模試」と、高3生・高卒生対象の「大学入学共通テスト入試プレ」をそれぞれ年2回実施します。

 まず、高1生、高2生対象の「全国共通テスト模試」は、9月と3月に間隔を置いて実施することで、学力伸長の度合いを観測することができます

 高1生対象模試は、中学校での学習事項をしっかり定着させることができているかを確認し、高校での学習方法の確立を行い、早い時期に共通テスト対策と大学受験の意識付けに役立てていただけます。出題教科は、2回とも英国数の3教科です。

 高2生対象模試は、次年度に共通テストを受験するにあたっての対応力を確認するための、格好の指標となります。第1回は、英国数の3教科で、現時点での学力の確認を行います。3月開催の第2回は、3教科に、地歴・公民、理科を加えた5教科で、受験学年に向けた集大成となる模試になっています。高1生対象、高2生対象模試はいずれも新課程対応での作問・出題を行っています。

 高3生・高卒生対象の「大学入学共通テスト入試プレ」は、プレという名称のとおり、共通テスト本番の形式で、難易度や傾向などに準拠した出題を行っています。基礎的な知識の確認から、高度な応用力を必要とする問題まで幅広く出題しており、共通テストへの実践力を養成することができます。こちらは、第1回が8月に開催され、第2回は11月に行われます。

「高1生、高2生対象の『全国共通テスト模試』は学力伸長の度合いを観測することができる模試。対して高3生・高卒生対象の『大学入学共通テスト入試プレ』は共通テストへの実践力を養成することができる模試」と横田氏
代々木ゼミナールの模試とは?

高1生、高2生対象の模試は「共通テスト」に寄せつつ難易度や出題を調整

--模試の裏側のお話もぜひお聞かせください。まず、模試をつくる側として、作問のこだわりについて教えていただけますか。

横田氏:模試では、本番の得点力につながることを、第一に考えています。出題形式、試験時間に対してどのくらいの分量なのかを、受験生に把握してもらうという目的もありますので、まずは、忠実に再現するというところを意識して、作成しています。

--高1生、高2生対象の模試では、学校によって教科の進度が異なっている場合、どのように難易度や出題内容を調整しているのでしょうか。

横田氏:まず、高1生、高2生対象の模試は、大学受験に目を向けてもらうきっかけになるものです。「こういう問題を解けるようにならないといけない」という意識付けに役立ててもらえるように、作問を行うようにしています。

 難易度や出題の内容については、代ゼミ内部でつくった問題を、全国の高校教員の方々にもご協力いただき、さまざまな観点で問題を検証いただいております。学校によって事情も異なるため、「まだこの分野は、学習が進んで追いついていないから解けない」といったご意見もあれば、逆に、「これから勉強するところの意識付けのために、あえて出してもらったほうが良い」「この段階で解くには、選択肢をこういうふうに変えたほうが良い」など、さまざまなご意見をいただきます。これらのアドバイスをふまえ、問題を完成させています。

越田氏:全員のご意見を反映することは難しいですが、問題をより良い方向にもっていくという目的で、調整を行っています。

公民は最新の時事問題をチェック

--代ゼミの模試の問題と、実際の共通テストでほぼ同じ問題が出題されたこともありますね。特に、公民分野の的中率が高いようですが、作問のコツがあるのでしょうか。

横田氏:公民の科目は、出題されやすい分野が比較的固まっており、さらに時事的な事象と絡めた問題も科目の性質上多く出題されます。特に、試験が行われる前後の年などに、オリンピックや万博など世界的な催しや出来事があると、それに結び付けて出題が行われるので、作問する側からしても推測が立てやすい傾向があります。

越田氏:一方で完全に的中させるのが難しい教科・科目もありますが、当てられるよう、さまざまな工夫をしています。

「少しでも的中できるよう、さまざま試みている」と話す越田氏

--先ほど、「本番さながらの体験ができる」というこだわりをお話しいただきましたが、他に作問される際に心がけていることはありますか。

横田氏:模試は、「受けて終わり」ではなくて、そこからどんな勉強をしていけば良いかという“気づき”を得ていただきたいと思っています。その先の学習につなげていってもらえるように、出題意図や勉強の深め方を、模試の解答と解説に明記しています。

模試の問題は科目担当のみならず他科目のスタッフも目を通し、多角的に確認をして作成するという

--資料を読み取る問題が多い共通テストでは、その資料選びも重要かと思います。どのように資料を探して選んでいるのでしょうか。

越田氏:大学入試センターは、受験生に、「定番の資料を一字一句覚えてきてほしい」わけではなく、初めて見た資料をきちんと読解し、問題を解く能力を測ろうとしています。そのため、受験生が一度も見たことないような資料をテストに採用しているので、私たちも追随して、問題がつくりやすく、かつ受験生のためにもなり、見たこともない資料を探し続けています。手元にない資料は、国立国会図書館などに行って探すこともあります。

一度受けた模試は保存して入試直前に見返す

--2024年の受験生に向けて、「大学入学共通テスト入試プレ」などの模試を受けた際の、効果的な活用方法を教えていただけますか。

横田氏:まずは、間違えたところを中心に関連事項などを再確認する、正解はできたけれど、迷って確証が得られなかったような問題も立ち返って、もう一度勉強して正解の根拠を理解するといったことが必要だと思います。試験が終わった後だけでなく、その後、複数回重ねて確認していくことが大切です。

越田氏:複数回確認するという意味では、ぜひ、模試の問題や解答は、入試直前まで保存しておいてほしいです。

 共通テストは翌年1月に行われますので、8月に模試を受けた場合、5か月後には内容を忘れている方も多いでしょう。そこで、もう一度模試の問題を解くことによって、改めて自分が苦手な個所が浮き彫りになってきますし、そのタイミングで解くからこそ、「こんな問題が出ていたな」という傾向を思い出すことができます。

 ですので、1年間に受けた模試はすべて手元に残しておいて、入試直前になってから、もう一度、時間があれば解く。時間がなければ、「どんな問題が出ていたか」を見直していただくと、本番の役に立つと思います。

模試の問題や解答は入試直前まで保存しておき時間を置いて改めて解く。そうすることで自分の苦手な部分を浮き彫りにできる

--貴重なアドバイスをありがとうございました。最後に、これから模試を受ける高校生の方々にも、応援メッセージをお願いします。

横田氏:まずは、早い時期に、志望校なり、自分のめざすべき目標を明確に定め、それに向かって、1日1日をどういう形で過ごしていくべきか、自分で計画をたてていくことが大事だと思います。ありきたりではありますが、毎日を大切に過ごしましょう。

 また、2025年の1月からは、新たに「情報」が共通テストに加わることで不安に思っている生徒さんも多いと思います。共通テストは、受けることで、大学以降の勉強に役立つ素養なども身に付くように作問されています。受験勉強は、決して無駄にはなりません。

 毎日の学校の勉強を大事にしながら、高校生活を楽しむことを第一に、受験に臨んでいただければ良いなと思っています。頑張ってください。

越田氏:代ゼミのスローガンにある「親身の指導」という言葉のとおり、私たちは、模試を受ける方に応援のメッセージを込めながら、良い勉強になることを期待して問題をつくっています。

 これを役立てて合格していただければ、これ以上に嬉しいことはありません。皆さん頑張ってください。

--ありがとうございました。

 高3生・高卒生対象の模試「大学入学共通テスト入試プレ」の第2回が11月に、高1生、高2生対象の「全国共通テスト模試」の第2回が2024年3月に実施される。事前に共通テストの試験形式に慣れるために、あるいは実践力を養成するために、受験を検討してみてはいかがだろうか。詳細や申込みについては、下記にて確認をしてほしい。
 

代々木ゼミナール・模試の特長
《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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