中学生の5人に1人が「不登校・不登校傾向」5年で26%増

 全国の中学生のおよそ41.9万人が「不登校傾向」にあることが、カタリバが実施した調査から明らかになった。小中学生の不登校者数が30万人に迫り過去最多となる中、学校に行くことはできていても授業に参加できない、心の中で学校がつらいと感じている「不登校傾向」の生徒への対応が、今後重要になるという。

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子供たちの学校生活実態
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  • 現在の幸福度について(通常登校とオンライン登校の比較)
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 全国の中学生のおよそ41.9万人が「不登校傾向」にあることが、カタリバが実施した調査から明らかになった。小中学生の不登校者数が30万人に迫り過去最多となる中、学校に行くことはできていても授業に参加できない、心の中で学校がつらいと感じている「不登校傾向」の生徒への対応が、今後重要になるという。

 今回の調査は、2018年に日本財団が行った「不登校傾向にある子どもの実態調査」で発表された不登校傾向の子供のボリュームが、現在どのように変化しているのかを把握する目的で実施したもの。2023年10月末から11月3日にかけてインターネットで調査を行い、スクリーニング調査で中学生6,000サンプルを回収。不登校の子供の家庭や生活、学校の環境などについてもあわせて調査した。

 文部科学省が10月に公表した2022年度の不登校者数は、小中学生で29万9,048人と過去最多を更新。カタリバの調査においても、1年間に合計30日以上学校を休んだことがある「不登校」の生徒(中学生)は推計14万7,951人、割合は4.7%。5年前の調査時より5万人近く増加している。

 加えて、カタリバの調査によると、1週間以上連続で休んだことのある生徒が3.9%。保健室などには行くが教室には行かない「教室外登校」や教室で過ごすが授業に参加する時間が少ない「部分登校」「授業不参加型」の生徒が計4.9%。学校に通っているが、心の中では学校に通いたくない、学校がつらい、嫌だと感じている「形だけ登校」が4.4%にのぼり、こうした「不登校傾向」の生徒は計13.2%、41万9,097人に達することが推計された。5年前の調査時からは8万人(26%)増加している。

 不登校の生徒とあわせると、中学生の約5人に1人が「不登校」または「不登校傾向」にあることになる。特に顕在化しにくい「形だけ登校」の生徒は、通常登校できている生徒に比べ、より強く「学校に行かなければならない」と感じており、学校が「緊張する」と感じる割合も高い。さらに、現在の幸せ度合いについて聞いた問いでは、「幸せである」との回答が通常登校では73.4%だったのに対し、形だけ登校では39.6%と、自身の幸福度にも直結する問題であることがうかがえる。

 一方、全体の1.7%(およそ5万人)のオンライン登校する生徒については、幸福度は通常登校と同程度となり、未解明ではあるものの、オンラインで授業を受けることによる子供の気持ちの変化のヒントともなりそうな結果となった。

 調査ではこのほか、学校に行けない・行きたくない要因や、体調への影響、特性のある子供たちへの配慮の必要性、不登校の子供をもつ保護者の生活、意識調査などを実施。取りまとめた実態調査結果は、カタリバのWebサイトから見ることができる。

《畑山望》

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