「病弱児支援に横断的体制を望む」特別支援学校・支援団体の9割

 ポケットサポートは2024年1月22日、ベネッセこども基金と協働で実施した病気療養児支援者全国ネットワーク構築に関するアンケート結果を公開した。特別支援学校・支援団体の双方で全国の病弱児支援団体や関係機関同士の横のつながりを広げることへの高い関心があることが明らかになった。

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全国ネットワークへの参加意向
  • 全国ネットワークへの参加意向
  • 特別支援学校における小慢事業の認知度
  • 全国ネットワーク構築への意欲
  • 病気を抱える子ども支援・多職種連携オンラインフォーラム「誰もが助けてと言える社会に」~療養経験者から学ぶ支援者の役割とは~

 ポケットサポートは2024年1月22日、ベネッセこども基金と協働で実施した病気療養児支援者全国ネットワーク構築に関するアンケート結果を公開した。特別支援学校・支援団体の双方で全国の病弱児支援団体や関係機関同士の横のつながりを広げることへの高い関心があることが明らかになった。

 同調査は、小児がんや心臓病などの慢性疾病を抱える子供たちへの支援課題や連携状況を把握するため実施したもの。調査期間は、2023年10月4日~11月10日。全国の特別支援学校96校と小児慢性特定疾病児童等の支援に関わる任意の支援団体21団体を対象に、調査票を個別郵送して調査した。有効回答数は、特別支援学校33件、支援団体14件。

 対象の支援団体における活動地域外からの問い合わせ・相談有無に「あり」と答えた支援団体は71%。全国対応の組織を除けば、活動地域外からの問い合わせが「ない」と答えた支援団体は0%という結果となった。この結果からは、病気の内容や子供の年齢、障害の有無など「個別性の高さ」に起因して、各地域内だけで支援が完結できていない現状が伺える。

 次に、対象の特別支援学校において、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(小慢事業)」の内容を把握しているのは2割未満という結果となった。また、相談支援や各関係機関とのコーディネートなどを担う「自立支援員」の認知度は、わずか3%であった。加えて、回答のあったすべての特別支援学校で事例研究といった外部研修を「とても必要」または「必要としている」とする回答があった。支援団体と特別支援学校に集まる相談内容の傾向は異なり、支援団体では「きょうだい関連」の相談がもっとも多かった一方で、特別支援学校では「学習の遅れ」に関する相談がもっとも多く挙げられている。当事者である子供とその家族は、多面的な悩みを抱えていることが推察される。

 また「今後強化したい連携先」に、双方から医療機関・教育機関・支援団体などが挙げられた。当事者の子供自身が、病気と向き合いながら将来の自己選択や自己実現を叶えるために、医療機関も交えた教育機関と支援団体の協力が必要とされていることが伺える。実際に、ポケットサポートからの紹介・連携について「相談内容によっては受け入れ可能」「紹介して問題ない」と前向きな回答が約8割。さらに、横断的な全国ネットワークの構築に対しても、双方「前向きに検討したい」「ぜひ参加したい」が8割を上回る結果となった。

 この結果を受けてポケットサポートでは、関係する多様な職種での包括的・横断的なつながりとしての「病気療養児支援者全国ネットワーク」の構築を進めていく、としている。また併せて、教育現場で求められている多様な研修やノウハウを提供できるような講演会なども、企画・開催するとしており、直近では、2024年2月24日午後1時から、小児がんや心臓病といった病気を抱えている子供やその保護者家族の交流の場創出を目指したフォーラムを、岡山大学鹿田キャンパスおよびオンラインのハイブリットで開催する。

 調査結果全容はWebサイトで閲覧できる。また、フォーラムでは同調査の解説を予定している。

◆病気を抱える子ども支援・多職種連携オンラインフォーラム
「誰もが助けてと言える社会に」~療養経験者から学ぶ支援者の役割とは~
日時:2024年2月24日(土)13:00~16:00
場所:【現地】岡山大学 鹿田キャンパス Jホール【オンライン】YouTubeライブ配信
定員:先着100名(現地参加)
参加費:無料
申込:Webサイトの参加フォームより申し込む

《中川和佳》

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