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「デジタル読解力の平均得点」日本は4位…PISA調査

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デジタル読解力とプリント読解力の違い
  • デジタル読解力とプリント読解力の違い
  • デジタル読解力とプリント読解力習熟度の関係
  • デジタル読解力における習熟度レベル別の生徒の割合
  • デジタル読解力およびプリント読解力の国際比較
  • デジタル読解力における生徒の習熟度レベル分布
  • デジタル読解力における平均得点と順位の範囲
  • マルチメディア作品を作ることに関する回答別で見た生徒の割合
  • 表計算ソフトを使ってグラフを作成することに関する回答別で見た生徒の割合
 国立教育政策研究所では、OECD生徒の学習到達度調査(PISA2009)「デジタル読解力調査のポイント」をホームページ上で公開している。

 PISA調査とは、参加国が共同して国際的に開発し、実施している15歳児を対象とする学習到達度調査。義務教育修了段階の15歳児が持っている知識や技能を、実生活の様々な場面でどれだけ活用できるかをみるものであり、特定の学校カリキュラムをどれだけ習得しているかをみるものではない。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について調査を行う。2000年に第1回目が実施され、以後3年ごとのサイクルで調査が継続されており、2009年調査は第4サイクルにあたる。日本では、国立教育政策研究所を中心に、文部科学省および国立大学法人東京工業大学教育工学開発センターと連携・協力して調査を実施。

 同調査では将来的に筆記型調査からコンピュータ使用型調査に移行する予定のため、PISA2009の国際オプションとして「デジタル読解力調査」とコンピュータ利用等に関する生徒への調査(ICT質問紙調査)を実施した。

 デジタル読解力調査参加国・地域は、OECD加盟国16か国(オーストラリア・オーストリア・ベルギー・チリ・デンマーク・フランス・ハンガリー・アイスランド・アイルランド・日本・韓国・ニュージーランド・ノルウェー・ポーランド・スペイン・スウェーデン)と、非OECD加盟国・地域の3か国・地域(コロンビア・香港・マカオ)。日本からは、185校の高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の1年生約6,000人のうち、109校、約3,400人が調査に参加した。

 「デジタル読解力調査」とは、デジタルのテキストによって「読解力」を測る調査。問題を解くために、「プリント読解力」に加えてホームページへのアクセス、ボタンのクリック、コピー&ペースト、eメールの送受信、ウェブの掲示板への書き込み等、いわゆるICTリテラシーに関する知識・技能が必要となる。

 デジタル読解力の習熟度レベルについて、レベル5以上の生徒の割合が多いのは韓国(19.2%)、ニュージーランド(18.6%)、オーストラリア(17.3%)で、日本は5.7%となっている。

 日本の「デジタル読解力の平均得点」は、参加19か国・地域の中では4位にあり、習熟度の下位層(レベル1以下)の割合は2番目に少ない。また、「プリント読解力」に比べると、平均得点に差はないが、習熟度の上位層および下位層の割合が少ない。また、大半の国ではデジタル読解力とプリント読解力は密接に関連していることが伺える。

 マルチメディア作品の作成では、「自分で上手にできる」、「誰かに手伝ってもらえばできる」と回答した生徒の割合が参加国・地域(17か国・地域)の中で最も低く(日本:49.6%、OECD平均:82.7%)、表計算ソフトを使ったグラフの作成については、OECD平均より低い水準(日本:72.2%、OECD平均:80.1%)にある。

 国立教育政策研究所によると、今後の施策としては、新学習指導要領の着実な実施のなかで、基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにする旨を追加するという。また、情報手段について中学校では、適切かつ主体的、積極的に活用できるようにする旨を、高等学校では、適切かつ実践的、主体的に活用できるようにする旨を追加するとしている。

 中学校の数学においては、コンピュータなどを活用して表やグラフに整理する「資料の活用」を新設、また、デジタル作品の設計・制作を選択内容から必修内容に変更するとしている。さらに、教育の情報化が円滑かつ確実に実施されるよう、教員の指導をはじめ、学校・教育委員会の具体的な取組みの参考として、「教育の情報化に関する手引」を作成・周知するとしている。

 また、学校現場で展開された好事例等の収集・提供したり研究開発学校制度等の活用により、情報活用能力の育成のための教育課程について実証的に研究や情報通信技術の活用に関する実証研究(学びのイノベーション事業)の実施を行うという。

 読解力向上に関する今後の施策として、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視し、言語活動の充実を図るために、授業時間の増加(国語:小学校6%、中学校10%増)や、各教科等において言語活動を充実(レポート作成や論述などの重視)させるとしている。また、「個に応じた指導」の推進とそのための教育条件の整備充実として、教職員定数の改善(35人以下学級の実現)、外部のサポート人材の活用、教師の事務負担軽減などを挙げている。
《前田 有香》

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