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タブレットで小学生がプログラミング体験…NTT教育スクウェア×ICT

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先生は、NTTコミュニケーション科学基礎研究所 主任研究員 原田康徳氏
  • 先生は、NTTコミュニケーション科学基礎研究所 主任研究員 原田康徳氏
  • タブレットを使った授業
  • 画像の動かし方を教わる
  • 画像はドロー系ツールで自由に作ることができる
  • 尺取り虫のアニメーションの作り方を説明
  • 尺取り虫のアニメーションの作り方を説明
  • イラストやアニメは、班ごとのパソコンに表示され恊働作業による作品ができあがる
  • 観賞会のようす
 NTTが進める「教育スクウェア×ICT」プロジェクトでは、全国5自治体の公立小・中学校計10校で、電子教材やタブレット、さらに通信技術などを応用した新しい授業の実証実験を行っている。

 その中には、従来の電子黒板や電子教材を使った授業のほか、VISCUIT(ビスケット)というNTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した、ビジュアル指向のプログラミング言語を使ったユニークな取組みもある。NTTコミュニケーション科学基礎研究所 主任研究員 原田康徳氏により2月20日、このVISCUITを使った授業が神奈川県の川崎市立南百合丘小学校の5年生を対象に行われた。

 VISCUITは、プログラミング言語といっても、ソースコードをタイプしていくようなものではなく、ドローソフトで作成したイラストや画像を、アイコンや視覚的なツールメニューによって操作し、動き(アルゴリズム)を記述するものだ。子どもたちは、難しいプログラミング言語の文法などを学ばなくても、お絵かきソフトを操作する感覚で、アニメーションを作ることができるようになり、同時に、イラスト素材を動かす手順や繰り返し処理のようなアルゴリズムを記述する考え方が身につく。

 さらに慣れてくれば、たとえば、虫のイラストがリンゴのイラストに接触したら、リンゴを動かすといった条件分岐の記述も可能であり、アルゴリズムの基本動作(順次・反復・分岐)を習得できるようになっている。

 VISCUITの処理系自体はクラウド上に配置され、子どもたちは手元のタブレットによってすべての操作を行う。タブレットは教室内のWi-Fiを経由し、ブロードバンド回線によってクラウドサーバーに接続する。タブレットにはブラウザがあればよく、アプリや処理系をインストールするような作業はない。

 授業は、クラスを4つの班に分けて行われた。それぞれに、山、海、空、宇宙とテーマを決めて、班ごとの風景とアニメーションを完成させていくという進行だ。まず、簡単な図形を移動させる方法から説明された。処理を記述するためのツールに、動かしたい図形を2つ配置する。その図形の位置関係や配置間隔によって、移動する方向や速さが決まる。また、2つ目の図形の角度を変えることで、その図形を回転させることができる。

 ほかにもいろいろな機能があるが、細かい操作を教わらなくても、教わった動きから自分たちで工夫して、機能を発見する児童もおり、多くの児童が使い方をマスターしていった。

 このように、子どもたちがいろいろな操作をばらばらに行っても、複雑なアプリケーションが端末上で動作しているわけではないので、端末がフリーズしたり、操作や実行によりトラブルが発生することはない。

 実機演習の場合、予定された操作以外のことが端末で行われると、モードが切り変わったり、別の機能やアドインが起動されたり、さらにはソフトがフリーズしてしまい収拾がつかなくなることがある。この場合、教わる方も十分な理解が得られないことがあるが、クラウド型のVISCUITではそのようなことは少ないようだ。

 図形の移動の次は、アニメーションの機能が説明された。それまでは同じ図形を移動させるだけだったが、2種類の絵を交互に表示させたり、絵の切り替え動作を接続させたりすることで、尺取り虫が進む様子や蝶々が羽ばたく様子などを表現できる。先生が、簡単なアニメーションの例を示すと、全員がすぐにそれを試していた。

 そして、班ごとのテーマに沿って全員が好きなイラストを作り、ツールを駆使してさまざまな動きを表現していった。個々が作成したイラストやアニメは、班ごとのパソコンにすべてが表示され、山、海、空、宇宙と協働作業によるアニメーション作品ができあがる。最終的に、全員が大きいディスプレイの前に集まり、各班の作品観賞を行った。

 なお、この学校では教育スクウェア×ICTのフィールドトライアル校に参加することで、5年生の4クラス全員に、1人1台の7インチタブレット(Galaxy Tab)が割り当てられている。2011年9月よりこのタブレットを活用し、電子教材による算数や社会、理科などの授業も行っているそうだ。保管は学校内だが、タブレットには児童の名前が書かれており、各自が自分の専用端末で授業を受けている。

 取材を終えて印象深かったのは、子どもたちのモチベーションが一様に高く、全員が授業に参加するという意欲が高かったことだ。作品の鑑賞にしても、画面上には全員のイラストやアニメーションが表示される。それに対する他の児童の反応やコメントもダイレクトだった。
《中尾真二》

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