社会科学分野の学生の仕事選び、1年生は「収入」4年生は「内容」を重視

 ベネッセは、同社が運営するBenesse教育研究開発センターサイトに「社会科学分野の大学生に関する調査」の報告書を公開した。調査は、国内の4年制大学16校の社会科学分野に所属する1年生と4年生の1,886人を対象に自記式調査法で実施。

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大学在学者数の分野別内訳
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  • 大学在学者数の推移
  • 学期中における1週間の平均的な生活時間
  • あなたが大学で実際に受けてきた授業の中で、次のような授業はどれくらいありましたか
  • あなたは仕事を選ぶ上で何を重視しますか
  • あなたには、親しい友だちがどれくらいいますか
 ベネッセコーポレーションは2月29日、同社が運営するBenesse教育研究開発センターサイトに「社会科学分野の大学生に関する調査」の報告書を公開した。

 同報告書は、東京大学教育学部比較教育社会学コースとBenesse教育研究開発センターの共同研究。社会科学分野の大学生の学びや生活に関する意識や実態などについて、さままざな角度から分析を行った論文が収録されている。調査は、国内の4年制大学16校の社会科学分野の18学部に所属する1年生(1,131人)と4年生(755人)1,886人を対象に学校を通した自記式調査法で実施。調査時期は2010年10月〜12月。

 調査の対象となっている社会科学分野とは、法学・政治学系統、商学・経営学系統、社会学系統(福祉分野を含む)を指している。調査報告書では、まず、社会科学分野の大学生に関する基本的な情報とデータを、文部科学省が毎年5月に行う学校基本調査の集計データをもとにして紹介している。

 同調査を実施した2010年度の大学在学者数は255万9,191人で、その34.9%にあたる89万2,545人が社会科学分野の学科に在籍している。内訳は商学・経済学が55.2%と半数以上で、続いて法学・政治学が18.9%、社会学が17.1%、その他が8.9%となっている。社会科学分野の大学生の割合は、10年前と比較すると約9万人減っているという。

 2011年3月に大学を卒業した社会科学分野の学生(19万9,784人)の進路の状況をみると、うち68.5%が就職、3.8%が大学院等へ進学している。一方、一時的な仕事に就いた者および進学も就職もしていない者が21.9%にのぼり、人文科学分野の25.6%に続き高い値となっている。

 公表された報告書は、「大学教育」「就職」「社会意識」についての3部構成となっているが、ここでは一部をピックアップしてみることにする。

 社会科学分野の学生の1週間の平均生活時間をみると、1年生では、45.3%が授業に16時間以上出席している。しかし、授業外の学習時間は「授業に関する学習・授業とは関係のない学習」ともに「1時間未満」がもっとも多い。

 大学の授業の形式・内容別に、受講経験について尋ねた質問では、「毎回出席をとる授業」を1年生の40.0%、4年生の46.8%が「たくさん受けた」と回答。参加型の授業について、「少人数での議論を行う授業」は4年生で84.5%、1年生でも77.0%が受講経験ありと答えた。

 仕事を選ぶ上で重視するのは、1年生は「収入」(79.0%)、4年生では「仕事の内容」(74.2%)がもっとも高くなった。また、4年生の回答で、もっとも重要度の低いものをみると「専門的知識・技術を活かせる」が13.5%となり、社会科学分野の学生は最終的にあまり専門分野にこだわらない仕事選択をする状況がうかがえるとしている。

 大学内外の活動場面別に親しい友だちの数を尋ねた質問では、学部・学科にいる親しい友人の数は「1〜5人」がもっとも多く、1年生で37.7%、4年生で47.0%。「1〜10人」の範囲でいずれの学年も7割を超える。また、インターネットや携帯のサイト上で友だちが1人以上いると答えた割合は、1年生で27.7%、4年生で25.9%となった。
《前田 有香》

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