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【韓国教育事情(後篇)】気軽に英語留学、日本人も学ぶ人気の英語村

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【パジュ英語村】シティホールと名付けられた建物で、オフィスや講堂などがある
  • 【パジュ英語村】シティホールと名付けられた建物で、オフィスや講堂などがある
  • 【パジュ英語村】テーマごとに教室が数えきれないほどあり、さまざまな場所やシチュエーションごとに英語でどのように話せばよいのかを学ぶ
  • 【パジュ英語村】海の生物と環境問題について話し合う子どもたち
  • 【パジュ英語村】世界地図を前に各国の特徴を英語で説明し、首都を言い当てるクイズをしている子どもたち
  • 【スユ英語村】ヨーロッパ風の建物が並ぶ
  • 【スユ英語村】後ろに見えるのは子どもたちが泊まる寮、6人1部屋で共同生活する
  • 【スユ英語村】入所初日、まずはレベルテストを行い10人前後にグループを分ける
  • 【スユ英語村】国立公園から近く野外プールや芝生の運動場でスポーツをしながら英語を学ぶプログラムの人気が高い
 前篇では加熱する韓国の英語教育熱について紹介したが、後篇では韓国に数ある英語村の中でも人気の高い、パジュ英語村とスユ英語村を紹介する。パジュ英語村は、韓国の英語村の中でもっとも規模が大きい。京畿道(キョンギド)という、日本でいうと千葉県や埼玉県のように首都の隣に位置する自治体が運営する英語村だ。スユ英語村は、ソウル市がYBMという韓国最大手の英語教育会社に運営を委託している。

◆欧米にいるかのような雰囲気が人気のパジュ英語村

 ソウルから北へ1時間ほど離れたパジュ英語村は、広い敷地にヨーロッパの町並みを再現した、きれいなテーマパークのような景観だ。ファッション雑誌やウェディング撮影、テレビ番組のロケ地としてもよく使われているという。取材した日も、子どもにかわいいワンピースを着せて写真撮影に没頭しているママが何人もいた。英語を勉強するついでに、きれいな写真も残せるというわけだ。

 パジュ英語村は2006年3月にオープンした、一度に500人が泊まれる宿泊施設を備えた英語体験テーマパークだ。英語教育(Education)・体験(Experience)・遊び(Entertainment)を提供することを目的としている。ネイティブスピーカーの先生は教育学を専攻した人ばかりで、慎重に採用しているという。

 英語村の中では英語しか使ってはならない、というルールがある。チケットを買って村に入場するところから「入国審査」といって英語でのやりとりが始まる。入り口には入国ゲートがあり、空港のイミグレーション風になっている。ここで子どもたちは英語の名前を選ぶ。英語村の中では英語を使い、名前も英語式の名前で呼び合う。

 建物はそれぞれテーマがあり、銀行、旅行代理店、飛行機の中を再現した教室や、地理、科学、工作、クッキングなどを学べる教室もある。キッザニアの英語版という感じで、銀行や国際輸送物流会社などの企業がスポンサーとなり、英語村の中にミニチュアの体験部屋を作る。

 プログラムは幼稚園児、小学生、中学生が主な対象である。教室で世界地図を見ながら首都の名前を言い当てるクイズをやっていた子どもたちは、競争がヒートアップすると、大声で英語を話していた。最初は恥ずかしくて無口だった子どもたちも、先生には英語しか通じないという環境におかれると、自然に英語で話すようになる。ホストファミリーの家に招かれたという設定で、普通のアメリカ人家庭のリビングを再現し、そこでお呼ばれした際の挨拶法や欧米のマナーを学ぶ教室もあった。

 パジュ英語村のすぐ近くには、ロッテパジュアウトレットがある。有名ブランド品を50〜70%ディスカウント販売しているアウトレットで、ソウルのおしゃれなママなら誰もが知っている名所である。

 パジュ英語村を案内してくれた担当者によると、子どもを英語村の一日プログラムに任せて、ママたちはアウトレットでショッピングで楽しいひと時を送ってから子どもを迎えにくることもよくあるという。英語村では、子どもを英語のレベルに応じて10人前後にグループ分けし、担当先生が引率して英語でクッキングしたり、科学の実験をしたり、工作をしたりと、さまざまなプログラムを体験する。

 ネイティブスピーカーの先生だけでも70人ほどいるので、子どもたちは常に先生の目が届くところにいる。保護者が一緒にいなくても大丈夫だ。

 最近は、日本やロシアの学校から英語を学びにパジュ英語村にやってくる小・中学生が増えているという。学校と契約して、修学旅行のように団体で英語村に入所、2泊3日ほどみっちり英語しか通じない環境を体験する。アメリカやヨーロッパに行くより、近くて費用も安い。英語村の先生は、外国人講師と英語圏の国で生まれ育った韓国人講師がいる。また日本人とロシア人、日本人と韓国人の組合せでグループを作り、2泊3日一緒にプログラムを体験し、一緒に宿題もしなければならないので、嫌でも英語を話すしかない。

 取材した日は、日本人とロシア人の小学生が3人ずつ、6人で一つのグループになり、一緒にテーマを決めて「映像作品を作る」という宿題をしていた。プログラム最後の日に、上映会をするのだという。子どもたちが使える映像編集室まであり、本格的だった。

◆自然の中で学べるプログラムが子どもに人気のスユ英語村

 スユ英語村もパジュと同じく、2006年にオープンした。数ある英語村の中でも充実したプログラムで、ママたちに大人気だ。スユ英語村の中には病院、銀行、ホテル、飛行機、空港、一般家庭のリビングルームなどを再現した場所がある。

 ソウル市内にありながら国立公園のある山麓にあり、自然環境を活かした大きな野外プールと芝生の運動場があるのが特徴だ。ほかの英語村にはない、自然の中で体を動かしながら英語を学べるプログラムが多く、子どもたちの人気も集めている。ソウル市が50年の歴史をもつ韓国最大手英語教育会社YBMに委託運営しているので、子どものレベルをより細かく分けて、英語体験に留まらず、本格的にみっちり英語を教えてくれるところも人気の理由だ。

 スユ英語村のよいところは、英語村で学んで英語を忘れないように、インターネット事後管理プログラムを提供している点だ。夏休みと冬休みに英語村の長期プログラムを利用し、学期中はYBMのオンライン英語学習を利用して、英語を忘れないようにする。

 パジュもスユも、英語村は自治体が所有する教育施設のため、他の英語塾より費用が安いという特長もある。2泊3日体験・宿泊・食事込みで、19,5000ウォン(日本円約14,000円)の破格的な安さで利用できる。夏休みと冬休みには、9泊10日の入所プログラムもある。体験、宿泊、食事込みで65万ウォン(日本円で約4万6,000円)と安い費用で10日間英語漬けの日々を送ることが可能だ。

 近隣住民を対象にした特別割引もある。地域の小中高校と提携して、年に数回、学校の児童・生徒全員が英語村に入所する団体プログラムも運営している。低所得層の子どもは無料でプログラムに参加できる。お金がないと英語教育ができない、という教育の不平等をなくすためである。海外から参加した子どもも特別料金で参加できるという。

 パジュ英語村の場合、1日プログラムであれば飛び込みで当日申し込みでもOKだという。日本語が通じない、英語しか通じない英語村だからこそ、子どもにもよい刺激になるのではないだろうか。韓国を旅行する際に、子どもは子ども同士で英語で話す楽しさを体験し、ママはアウトレットでショッピングを楽しむという新しいスタイルもお勧めだ。
《趙 章恩》

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