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広尾学園がiPad・MacBookを活用した公開授業「広尾学園×iPad×教育ICT」を実施

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iPadを使った英語日記の発表
  • iPadを使った英語日記の発表
  • 解答をiPadで教員に送信する生徒
  • プロジェクターと板書の併用
  • 「Hicalc HD」を使ってグラフを作成
  • MacBookでプログラミング授業
  • MacBookでプログラミング授業
  • 幾何学の解説授業
  • 模範解答はMacBookで確認
 広尾学園は「広尾学園×iPad×教育ICT」カンファレンスを2012年12月18日に開催した。教育ICTを活用した公開授業と教育ICT導入に関するカンファレンスの2部に分けられた同イベントには、約220名の教育関係者、行政関係者、企業・メディア関係者が参加した。

 公開授業の対象となった中学校の本科クラスには、理系・文系ともに幅広い大学進学を目指す学生が入学し、各学年に6クラス設けているという。公開された藤田磨里子教諭が担当する中学1年生対象の英語授業では、期末試験の解説に加え、iPadを活用した文法演習や英語日記の発表などが行われた。

 期末試験の解説内容は、藤田教諭が事前に作成したサイト上の設問を生徒がiPadで解いた上で教員に解答を送信するというもの。藤田教諭は、リアルタイムで生徒の解答や正解率を把握し、クラスに合った解説を行っていた。また、英語日記は、生徒がプレゼンテーション用アプリ「Keynote」を使って作成した英文日記をクラスの前で発表するというもの。各生徒がiPadをプロジェクターに接続し、用意していた英語日記を発表した。

 内田雅和教諭が担当した中学1年生の社会の授業は、各生徒のiPadに事前に配信されていた資料から、地理の期末試験問題の内容を確認するという内容。雨温図読解に関する問題について解説する上で、生徒はiPadに送られた資料を活用し、同じような緯度に位置する場所の雨温図から問題を解くことができることを学ぶ。また、西アジアの産油国と世界のエネルギー移動に関する学習においても、iPadのコンテンツを生徒が分析し、授業内で発表するという形式がとられていた。

 代数の公開授業では「Hicalc HD」という電卓アプリを活用。関数計算、グラフ描画なども可能な同アプリを利用し、数式のグラフ化を通して1次関数の解説が行われていた。ホワイトボードには、アプリが写し出され、児馬格教諭は手書きで解説を追加。生徒は、iPadに数式を入力し、自らグラフを確認することで先生の解説内容を再確認するという作業を行っていた。

 今回公開された本科クラスの授業においては、期末試験の解説授業という位置づけにも関わらずインタラクティブな授業が多かったことが印象的だ。たとえば、藤田教諭の英語では、生徒それぞれが期末試験後間違えた問題を復習したことを前提とし、その上でなお解説が必要な問題点をiPadを活用してリアルタイムに把握し授業を進めていた。内田教諭の地理においても、事前に資料を生徒に送り、閲覧させることで授業の時間を短縮し、分析結果をiPadで共有するといったインタラクティブな内容だった。板書をノートに書き写すだけの作業とは異なり、iPadを活用したスピード感のある教員側の対応と、生徒を取り込むインタアクティブな授業がiPadを活用した授業の特徴だろう。

 インターナショナルクラスは、帰国子女などすでに英語力がある生徒や、これから高い英語力を身につけることを目的とした生徒のクラス。インターナショナルクラスにおいては、2007年より1人1台のMacBookを購入しており、公開されたIT、幾何学、英語、科学の授業でも活用されていた。

 マーク・マクルアー教諭が担当したIT授業では、「Scratch」というプログラミングの学習ツールを使った簡単なゲーム開発が行われた。事前に用意された英語の教材を使い、生徒はそれぞれのMacBook上でサメが魚を食べるゲームを作り上げていく。生徒は教材をもとに、それぞれのスピードでゲームを作り上げていくため、マクルアー教諭は教室を歩き回り、各生徒の個々の問いに答えることに時間をかけていた。

 幾何学の授業では期末試験の解説が行われた。実際に出題された試験問題は、プロジェクターによりホワイトボードに写し出され、必要に応じて担当の照間トッド教諭が手書きで解説を加えていた。生徒は、事前に送られた模範解答をMacBookで表示し、ホワイトボードと模範解答を見ながら、答案用紙に手書きで解説メモを残していた。

 ロブ・ブライト教諭が担当したインターナショナルクラス中学3年生の英語授業では、iPadとMacBookを使い分け、それぞれの特徴をいかした授業を展開。授業は、英語でエッセイを書くという内容だが、「3年間であなたの生活はどのように変わったか」というテーマに基づいたアイデア出しと共有から始まる。3つの班に分かれたクラスは、それぞれテーマに合ったアイデアを出し合い、iPadと共有アプリを通してホワイトボートに映し出していく。

 その後共有したアイデアに関して、iPadを囲み各班内で詳しく話し合い、エッセイを書くにあたり必要なコンテンツを生徒同士の話い合いの中で構成していく。最後に、各生徒はそれぞれのMacBookで制限時間内に英文エッセイを書き上げ、画面上で提出したエッセイを「Moodle」という共有ソフトを経由して先生が確認するという全てのプロセスを45分で行っていた。

 インターナショナルクラスでiPadが活用されたのは、タイラー・フリン教諭の理科授業も同様。元素の特徴をクイズ形式で出題し、ヒントに当てはまる元素をiPadアプリ「Nova Elements」を利用して探していくという授業内容。同アプリは、各元素の電子・陽子・中性子の関係を3Dモデルで画像化し、簡単な説明を加えている教育アプリ。電子・陽子・中性子の位置関係を把握するため、生徒はiPadに表示された元素のモデルを指先で回転させて確認していた。班に分かれて取り組んでいた同授業では、班ごとの質問や進み具合に合わせてフリン教諭がサポートに回り、各班の質問に対応していた。

 インターナショナルクラスの公開授業では、MacBookの活用が主だったが、用途に応じてiPadを活用していたのが印象的だった。マクルアー教諭のプログラミング授業はiPadでは難しく、照間教諭の幾何学ではMacBookでもiPadでも相違ない機能を活用しているため、MacBookの活用で収まっていた。一方で、班ごとのアイデア共有が重視されたブライト教諭の英語授業では、共有部分においてiPadが活用され、「Nova Elements」アプリの画像効果が見込まれたフリン教諭の理科授業でもiPadが用いられた。

 ブライト教諭は、グループ内で情報を共有する場合はMacBookに比べiPadが向いていると語る。生徒たちの中心にiPadを置き、誰もが内容を確認でき情報共有できるiPadは教室に不可欠だと話す。その一方で、ひとりひとりが集中してエッセイに取り組む上では、MacBookのようなパソコンが必須であり、限られた時間内にエッセイを提出する上で必要な生徒個人の集中力を引き出すという。

 中学本科、インターナショナルクラスともに、広尾学園の教員の端末活用能力が高いことは同校の特徴だろう。iPadやMacBookを活用する上で、「Google Drive」「Keynote」「Moodle」などのソフトやアプリを活用する能力をどの教員も持っている。どのような端末であってもまず教員が試してから採用するという同校の方針は、教員の端末活用能力に直結しているのではないだろうか。

 また、プログラミングなどパソコンが不可欠な授業以外は、iPadやMacBookがあくまでもひとつのツールとして活用されていたのも印象的だ。生徒や教員が必要だと感じる時に活用するため、必要でない場合は机の隅に置かれており、まるでひとつの文房具のように扱われていた。広尾学園の生徒にとってiPadとは、多くの機能が搭載された端末であると同時に、ノートや筆箱のように日常的で身近なものとなっているのだろう。
《湯浅大資》

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