小保方氏、博士学位取り消しの要件に該当せず…早稲田大調査委員会

 早稲田大学は7月17日、小保方晴子氏の博士学位論文に関する調査委員会の報告書を公表。博士論文の問題点を多数認定したものの、学位取り消し要件には該当しないと判断した。同大は報告結果を尊重しながら、対応を決定するという。

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  • 「先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」調査報告について
 早稲田大学は7月17日、小保方晴子氏の博士学位論文に関する調査委員会の報告書を公表。博士論文の問題点を多数認定したものの、学位取り消し要件には該当しないと判断した。同大は報告結果を尊重しながら、対応を決定するという。

 同委員会は3月、先進理工学研究科からの要請を受けて、同大総長のもとに設置された。学外・学内委員で構成されており、小保方晴子氏の博士学位論文の問題点、指導体制・審査過程における問題点の検証を行うことを目的としている。

 報告書では、博士論文の作成過程における問題点で、「著作権侵害行為であり、かつ創作者誤認惹起(じゃっき)行為といえる個所」「意味不明な記載といえる個所」「論旨が不明瞭な個所」など、あわせて26か所を認定。ただし、博士論文のもととなった実験については「実在性あり」と認定。本件博士論文は作成初期段階の博士論文であり、誤って製本したものを大学に提出したという同氏の主張も認めた。

 同大における学位取り消しの要件には「不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したとき」とある。過失による不正行為は「不正の方法」にあたらないため、「不正の方法」と認定されたのは6か所で、「学位授与へ一定の影響を与えているものの、重要な影響を与えたとはいえないため、因果関係がない」とした。そのため、博士論文は「多数の問題個所があり、内容の信憑性および妥当性は著しく低い」としながらも、学位取り消し規定の該当性については、該当しないと判断された。

 報告書では結論として、「小保方氏について、学位取り消し要件に該当しないと判断したことは、この問題点の重大性を一切低減するものではない」とし、容易に取り消せない学位授与の重みにも触れ、「早稲田大学において学位審査に関与する者は、その重さを十分に認識すべき」とした。
《黄金崎綾乃》

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