乳幼児のボタン電池誤飲に注意喚起…国民生活センター

 国民生活センターは10月30日、ボタン電池を使用した商品を乳幼児などが誤飲する事故が報告されていることを受け、ホームページ上でボタン電池の危険性などについて注意を呼び掛けた。

生活・健康 その他
ボタン電池の形状(例)
  • ボタン電池の形状(例)
  • 鶏肉を使用した化学やけど再現
  • テスト対象銘柄外観
  • 落下テスト
  • 落下テスト風景
 国民生活センターは10月30日、ボタン電池を使用した商品を乳幼児などが誤飲する事故が報告されていることを受け、ホームページ上でボタン電池の危険性などについて注意を呼び掛けた。

 ボタン電池とは、その直径が厚さよりも大きな電池で、リモコンやキッチンタイマー、体温計、玩具などさまざまな商品に使用されている。ボタン電池を飲み込んだ際には、消化管に接触した電池から電流が流れると、その際に発生するアルカリ性の液でタンパク質が溶かされ、短時間で消化管の壁に穴が開くなどの損傷が起こる恐れがあるという。

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2009年度以降にボタン電池の誤飲、あるいは誤飲しそうになった事例が3件寄せられており、そのうちの1件は2か月の入院を要する事故だった。すべての事例において被害者は、0歳~1歳児であった。

 また、医療機関ネットワークには、2010年12月から2014年3月末までに同様の報告が51件、誤飲の疑いも含めると93件寄せられており、年齢別では、3歳以下が50件と大半を占めていた。中でも、0~1歳児は38件(76%)と多かった。

 子どもを対象にした玩具では、ST基準(日本玩具協会による玩具安全基準)により、「ボタン電池の蓋は、工具等を使用しないと容易に開かない構造でなければならない」などの記載があり、STマークのある玩具については一定の安全性が保たれてはいる。しかし、対象とならない商品については、幼児が簡単に電池室の蓋を開けることができない構造を求めているが、規格基準ではないため厳しく規制されていないのが現状だ。

 そこで今回、同センターは、ボタン電池の誤飲による被害の未然防止のため、家庭内でボタン電池が使用されている商品の電池室の蓋の構造などを調査し、注意喚起を行うこととした。

 主にリビングなどで使用され、ボタン電池を使用している持ち運び可能な商品を対象に調査した結果、ねじ止めなど工具を使用しないと電池蓋を開けることができない構造のものがある一方で、スライド式やねじ込み式など、工具などを使用せずに取り出せてしまうものも存在した。

 また、フローリング床での落下試験を行ったところ、高さ30cmからの落下で4銘柄、高さ138cmからの落下で5銘柄の電池蓋が開き、電池が飛び出したことも確認。誤飲等に関する注意表示は、全体の約7割の銘柄に記載があった。しかし、誤飲によって化学やけどを引き起こす可能性があるなど、誤飲の危険性に関する注意表示は、すべての銘柄に記載がなかったという。

 これらを踏まえて、消費者へは「乳幼児がいる家庭では使用や保管に注意」「万一ボタン電池を飲み込んだ場合には、直ちに医師の診断を受ける」などのアドバイスを、業界へは「子どもが電池を取り出せない構造にするなど、より安全な商品開発を」「商品などへの注意表記を」など要望を呼び掛けている。
《小林瑞季》

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