経済的理由で食物購入控えた人は約4割…厚労省調査

 厚生労働省は12月9日、平成26年「国民健康・栄養調査」の結果を取りまとめて公表した。所得が低い世帯ほど野菜類や肉類の摂取が少なく、経済的な理由で食物の購入ができなかった人は女性で4割、男性で3割を超えていることがわかった。

生活・健康 保護者
所得と生活習慣等に関する状況(一部)
  • 所得と生活習慣等に関する状況(一部)
  • 経済的理由で食物購入を控えたことがあるか
  • 食物購入を控えた理由
  • 健診の受診状況
 厚生労働省は12月9日、平成26年「国民健康・栄養調査」の結果を取りまとめて公表した。所得が低い世帯ほど野菜類や肉類の摂取が少なく、経済的な理由で食物の購入ができなかった人は男女とも約4割いることがわかった。

 調査は平成26年11月に実施。国民の健康の総合的な推進を図るための基礎資料として毎年行っている。平成26年は所得と生活習慣等に関する状況を重要項目として調査した。平成26年の国民生活基礎調査で設定された単位区から無作為抽出した300単位区内の5,432世帯を対象に実施し、有効回答は3,214世帯。

 所得と生活習慣等に関する状況(20歳以上)として、食生活では所得の低い世帯は高い世帯より穀類の摂取量が多く、野菜類や肉類の摂取量が少なかった。穀物摂取の平均は世帯所得200万円未満の世帯員(男性)が535.1グラム、200万円~600万円未満は520.9グラム、600万円以上は494.1グラムだった。

 肉類の摂取は600万円以上の世帯員(男性)で122.0グラム、200万円~600万円未満で111.0グラム、200万円未満で101.7グラムと、所得が下がるほど摂取量は減っている。野菜の摂取量も同様で、600万円以上の世帯員(男性)は322.3グラム、200万円~600万円未満は288.5グラム、200万円未満は253.6グラムと600万円以上の世帯員より約70グラム少なかった。

 食品を選択する際に重視する点は、世帯所得600万円以上(女性)で「おいしさ」は81.0%、200万円~600万円は75.7%、200万円未満70.4%。「安全性」は世帯所得600万円以上(女性)で71.7%、200万円~600万円未満68.4%、200万円未満59.3%と、所得が下がるほど低い割合になっている。年齢階級別にみると、男性では20歳代を除きすべての年齢期階級で「おいしさ」、女性は40~50歳代で「価格」と回答した割合がもっとも高かった。

 過去1年間で経済的な理由で食物の購入を控えたまたは購入できなかった経験のある者は男性が35.5%、女性は40.6%だった。控えたまたは購入できないことが「よくあった」理由として、「価格」と回答した人が7割以上ともっとも高かった。

 健診(健康診断、人間ドック等)については、未受診者の割合は世帯所得600万円以上(男性)16.1%に対し、200万円~600万円未満(男性)は、27.2%と高くなっている。歯の本数でみると、世帯所得600万円以上(男性)で20歯未満の者は20.3%だが、200万円~600万円未満(男性)は27.5%と増加し、女性も200~600万円未満の世帯員で26.5%と高かった。

 過去1年間で健診を受診しなかった割合は全体で男性は27.8%、女性37.1%。年齢階級別に見ると、男性は70歳以上、女性は30歳代がもっとも高かった。女性の肥満者の割合は未受診者で有意に高く、男女とも現在習慣的に喫煙している者の割合、運動習慣がない者の割合、血圧の平均値は未受診者で有意に高くなっている。
《田中志実》

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