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記録更新、30年冷凍保存された「クマムシ」お目覚め…繁殖成功

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蘇生した南極クマムシSB-3系統の個体。腹部の緑色は餌のクロレラ。右の線は0.1ミリメートル。 (c) Tsujimoto M. et al. Cryobiology, 2015
  • 蘇生した南極クマムシSB-3系統の個体。腹部の緑色は餌のクロレラ。右の線は0.1ミリメートル。 (c) Tsujimoto M. et al. Cryobiology, 2015
  • 培養したSB-3系統 (c) 撮影:辻本惠(国立極地研究所)
  • 培養したSB-3系統 (c) 撮影:辻本惠(国立極地研究所)
 国立極地研究所は1月14日、30年にわたって冷凍保存されていたクマムシの繁殖に成功したことを発表。これまでの最長生存記録である9年を大きく上回る記録となった。また、蘇生直後の回復状態やその後の繁殖までを詳細に報告したのは、今回の研究が初めて。

 今回の研究で用いられたのは、1983年11月に南極昭和基地周辺で採取されたクマムシ。クマムシはクリプトビオシス(蘇生可能な無代謝状態)能力を持っており、最強動物とも呼ばれている。クリプトビオシス能力を持つ微小動物の長期生存記録では、センチュウの乾眠状態による39年、凍結保存による25.5年、クマムシの乾眠状態による9年などが報告されていた。

 国立極地研究所によると、蘇生後に繁殖を行ったという報告もあるものの、回復の状態や繁殖状況を詳細に調べた研究はほとんどなかったという。そこで、辻本惠特任研究員を中心とする研究グループは、30年と半年の間マイナス20度で冷凍保存されていたコケ試料からクマムシを取り出し、その蘇生直後の回復状態と繁殖のようすを調べた。

 解凍して給水し、蘇生した2個体のクマムシ(SB-1、SB-2)と、クマムシの卵1つ(SB-3)を取り出して培養。SB-1は蘇生直後はほとんど動かず、歩き回って餌を食べるなどの通常状態に戻るまでは2週間かかり、SB-2は十分に回復せずに死亡した。その後、回復したSB-1とふ化したSB-3は、複数の繁殖を行うことができたが、SB-1が1回目に産んだ卵はふ化するまでに19日かかり、2回目以降に産んだ卵よりも2倍近くの期間を要していた。

 SB-1の状態から、長期保存による損傷が蓄積されていた可能性が示唆されたが、卵からふ化したSB-3については、動きや繁殖状況に明らかな損傷は観察されなかったという。なお、クマムシは両性生殖(オスとメスによる繁殖)、雌雄同体、または単為生殖(メスのみによる繁殖)によって繁殖するが、研究でのクマムシは単為生殖を行う種類だった。

 今後はこの研究をより発展させ、長期保存後のDNA損傷の状況、回復期における修復機構を調べることで、クリプトビオシス動物の長期生存メカニズムの解明へ貢献することが期待される。国立極地研究所ホームページからは、SB-1の回復状況を撮影した動画を見ることができる。
《黄金崎綾乃》

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