ハザードマップ作成アプリ開発、小学校の防災授業で検証

 東京都市大学は9月5日、小学生のハザードマップ作成を支援するタブレットPC向けアプリケーションを開発したと発表した。小学校での検証実験にてハザードマップ作成授業の効用が確認され、今後ICT機器を活用した児童向け防災授業カリキュラムとしての成果が期待される。

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 東京都市大学は9月5日、小学生のハザードマップ作成を支援するタブレットPC向けアプリケーションを開発したと発表した。小学校での検証実験でハザードマップ作成授業の効用が確認されたことから、今後ICT機器を活用した児童向け防災授業カリキュラムとしての成果が期待される。

 今回の研究・開発は、児童が防災知識をもとに災害状況に応じて自ら考え最適な判断ができるようにすることを目的としている。ICTとフィールドワークを組み合わせ、実際の風景と地図を結びつけながら自らの視点でハザードマップを作成することは、災害発生時に自主的に避難する力を養うという。カリキュラムは各学年に合わせて年次的に理解度を深めるものを提案し、授業を通して効果を検証していく。こうしたカリキュラムはこれまでにも提案されているが、タブレットPCのアプリケーションを用いたカリキュラムとそれに伴うシステム開発は初めての試みだという。

 今回開発されたアプリケーションは、地図記号ではなく店舗名などを使用しているほか、各種ボタンを大きく設計するなどして、地図の見方を習っていない児童でも自ら街の危険や防災情報を登録できるように工夫されているという。

 東京都市大学知識工学部らの研究チームは2015年11月から2016年2月、新宿区立愛日小学校においてこのアプリケーションを活用した体験授業を実施した。4年生児童が街を探索するフィールドワークを行い、消火器や消火栓の場所、写真、コメントを登録したハザードマップを作成。児童は地図と実際の街の風景を結びつけ街全体に対する理解を深めるとともに、住宅街には消火器が多く幹線道路には消火栓が多いことに気づき、その理由について考え答えを導くことができたという。これらはハザードマップを持たないときに災害が起こっても、自ら考えて安全を確保できる知恵ににつながるという。

 今後は数年間をかけて、ハザードマップ作成授業のほか、通学路などで行う発災型避難訓練による学習などを展開し、児童の自立的判断力の獲得を目指すという。その中で、小学校におけるICT機器を活用した防災授業カリキュラムとしての成果が期待される。

 なお、今回の小学校での検証成果は、2016年6月15日に開催された第133回ヒューマンインタフェース学会研究会にて「小学生に向けたタブレットを用いたハザードマップ作成授業の提案」と題して発表されている。
《荻田和子》

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