中学生からのタイムマネジメント力が未来を拓く

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東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:実験中の様子
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  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:実験スケジュール
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:実験結果
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:実験結果グラフ
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:脳波計のデータ
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:東京大学 薬学部 池谷 裕二 教授
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:得点差とガンマ波
  • 東大・ベネッセ「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」:ベネッセ教育総合研究所 主席研究員 木村 治生 副所長
 勉強に部活に多忙な毎日を送っている中学生の親としては、「習いごとに行っているはずが行っていなかった…なぜだろうか?」「宿題の進み具合が気になっても小学生の頃のようにノートを見せてくれない。宿題を忘れていないだろうか?」「部活で疲れている子どもに勉強しろとは言いづらい」「自分も働きながら時間と格闘しているから、子どもにも時間を自己管理してほしい」など、悩みはつきない。

 また、中学生ともなると、どんどん親の手を離れ、心身ともに成長していく。保護者の多くは、我が子に芽生えた自我や自信を損うことなく、学習と部活などのやりたいことを両立しながら自分らしく成長してほしいと願っているだろう。

 そんな保護者の願いをかなえるためにも、子どもたちに身につけさせたい能力がある。それが、時間管理能力「タイムマネジメント」だ。効率的に時間を使えるようになる「タイムマネジメント力」を早いうちから身につけておけば、やがて社会に出ても、活躍の場を自ら開拓できる人材になれるのではないだろうか。

 中学生のタイムマネジメントを考えるとき、まず最初に考えなくてはならないのは勉強する時間だ。時間をどのように使えば効果的な学習ができるのか。そうした観点から行われた「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」の結果が発表された。子ども自身が集中力を発揮し、無理なく学習内容を定着していくために、親子でぜひこの実証実験の結果に着目してタイムマネジメントについて考えてみてほしい。

◆学習の定着度合いの結果は?

 「勉強時間と学習の定着・集中力に関する実証実験」では、中学1年生を対象に、学習時間ごとに60分間、45分間、15分を3セットの3グループに分け、それぞれ事前テストと事後テストを行い、その差異によって学習効果を測定した。この実験は、東京大学薬学部の池谷裕二教授によって実施され、株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の「進研ゼミ中学講座」が実施に協力している。

 事前テストと事後テストの点数差によって、「学習の定着度合い」を確認してみると、1週間後の事後テストでは、「60分学習」が16.00、「45分学習」が15.60、「15分×3学習(計45分学習)」が18.75となり、「15分×3学習」の方が「60分学習」よりも117.2%上昇した。

◆集中力の推移結果は?

 次に、集中力についての結果をみると、集中力を観測するために定点カメラを設置したが、映像分析結果では、3グループに特に目立った違いはみられなかった。一方、脳波を解析すると、集中力に関与している前頭葉のガンマ波は時間の経過とともにパワーが低下していくが、15分という短時間学習後に休憩をはさむと、休憩後にガンマ波のパワーが回復。小刻みに学習することで、学習時間を通して集中力は一定のレベルを維持できた。


◆「15分×3学習」の方が、記憶固定、集中力維持ともに有効!?

 実験者の池谷教授は、学習後1週間での「15分×3学習(計45分学習)」の上昇スコアが「60分学習」の117.2%だったことから、次のように考察している。
 「各時点でのテスト点数から事前テストの点数の差分をプロットしたグラフを見ると、どのグループにおいても学習による点数の上昇効果が認められました。特に1週間後には差が広がりました。この結果から、休憩時間を挟んだ「15分×3( 計45分)学習」グループの方が長期的な記憶固定には有効である可能性があります。また、「15分×3 (計45分)学習」グループは、「60分学習」グループよりも合計学習時間が短いにもかかわらず、効果が得られているのは興味深いです。」

 また、脳波の測定結果に対して池谷教授は、40分で急激にガンマ波の低下がみられたことに注目し、「脳波は前頭葉のガンマ波が集中力に関与していると考えられています。今回測定した脳波を解析してみると、「60分学習」グループは時間の経過とともにガンマ帯域のパワーが低下しており、特に40分を境に急激な降下が観察されました。この事実は集中力が40分ほどしか持続しないことを表しているのかもしれません。一方で、「15分×3(計45分)学習」グループでは各ブロックで初期のガンマ波パワーの低下は観察されましたが、休憩によりパワーが回復し、学習時間全体として一定以上のレベルを維持していました。」と考察した。

 さらに、「今回の実験は小規模の調査のため、統計学的な有意差を得るためには今後更なる大規模な実験を行う必要があります。しかし、行動や視線で目立った差異は見られなくても、脳波を見る限り、集中力やガンマ波のパワー回復に差異が見られました。以上を総括すると、休憩を挟むことは集中力の維持に寄与し、より少ない学習時間にも関わらず長期的に見て高い学習効果を発揮する可能性が示唆されます。」と述べている。

 各教科の予習復習、宿題など、毎日行わなくてはならないことを短い時間で区切ってスケジュール化することで、集中して効果的な時間を過ごせそうだ。

◆時間をコントロールする力が重要!

 ベネッセ教育総合研究所 木村治生副所長は、今回の実験を受け、次のようにコメントしている。
「今の中学生は、とても多忙な生活を送っています。私たちベネッセ教育総合研究所が行った調査(『第2回放課後の生活時間調査』2013年)によると、中学生の放課後の自由な時間は平均で約4時間。多くが部活動に参加しており、小学生のころよりも自由に使える時間は限られます。」
「そのなかで彼らは、勉強やメディアの利用、習い事などに時間を割り振っています。時間は有限。ゆえに、時間をどう使うかはとても重要です。うまく時間を使えている子どももいれば、そうでない子どももいます。しかし、この「時間をコントロールする力」は、大人になっても重要な能力。認知能力が高まる中学生の時代にしっかり身につけたいものです。」

 また、木村副所長は、「こうした時間活用の観点から見ると、今回の実験結果はとても興味深いものがあります。集中力を欠いたまま長い時間学習しても、なかなか効果は上がらない。そのことは、私たちは経験則として知っています。今回は「英単語の記憶」という一部の力の測定ではありますが、15分の集中を積み上げるほうが、長時間続けて学習するよりも1週間後の結果が良いというデータが得られました。経験則が実証されたと言えます。」と述べている。

 親の言葉に耳を貸さなくなる反抗期に、子ども自身が自己管理できるかどうかが、その後の成長(学力アップ)を左右するに違いない。子どもが親の手から離れるタイミングをうまく成長と結びつけたい。この時期に未来を見据えた学習習慣やタイムマネジメントを身につけさせ、高校受験までの3年間を有意義に過ごさせてあげてほしい。

◆1回15分で学習の質を高めた「進研ゼミ 中学講座」

 学習の成果は「学習の量」と「学習の質」の掛け算。成果を上げるには、量を増やすか、質を高めるかをしなくてはならない。そこで「学習の質」に注目した講座が「進研ゼミ 中学講座」。集中力を考慮した15分ワンステップの勉強で成績アップをねらい、部活と両立しながら志望高校の合格を勝ち取るための通信教材だ。

 成績アップがはかれるポイントは3つ。1つ目は、ひとりひとりに合わせた個別カリキュラムで学習できること。教科書・レベル別の授業対策や志望校レベル・都道府県別の受験対策など、必要なところに絞った個別教材だから、1回15分で力を伸ばしていける。

 2つ目は、約64万人の学習履歴をもとに成績が上がる問題を厳選していること。

 3つ目は、ひとりひとりにベストな勉強法を提案する個別サポートがあることだ。ひとりひとりの成績や学習履歴に合わせて上手なやり方を提案してくれる。

 4月の新学期からは、タイムマネジメントも養える学習法を取り入れて、学力アップはもちろん、ぜひ親子ともども余裕のある生活をおくってほしい。

 「進研ゼミ 中学講座」の詳細は、Webページで確認できる。
http://chu.benesse.co.jp/

<池谷裕二教授のプロフィール>
研究内容は、専門分野は大脳生理学。特に海馬、脳の発生機構と動作原理を通じて、i)健康と疾患、ii)成長と老化、の仕組みとその意味を探究し脳の健康について探究している。文部科学大臣表彰若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。
《渡邊淳子》

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