自転車の死亡事故、ヘルメット非着用で致死率2.4倍

 平成25年(2013年)から令和4年(2022年)の自転車乗車中の死亡事故について、ヘルメット着用時と比較して非着用時は致死率が約2.4倍になることが、内閣府が2023年6月20日に発表した「令和5年版交通安全白書」より明らかになった。

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自転車関連死亡重傷事故の推移
  • 自転車関連死亡重傷事故の推移
  • 違反別の分析
  • 自転車安全利用五則(一部)
  • 年齢層別の法令違反状況
  • ヘルメット着用の重要性
  • 道路交通事故の動向
  • 鉄道交通事故の動向
  • 海難などの動向

 平成25年(2013年)から令和4年(2022年)の自転車乗車中の死亡事故について、ヘルメット着用時と比較して非着用時は致死率が約2.4倍になることが、内閣府が2023年6月20日に発表した「令和5年版交通安全白書」より明らかになった。

 交通安全白書は、交通安全対策基本法(昭和45年法律第110号)第13条の規定に基づき、毎年国会に提出することとされている年次報告書。昭和46年から報告しており、令和5年版で53回目となる。

 令和5年版では、4月1日より改正道路交通法ですべての年齢層の自転車利用者に対して乗車用ヘルメットの着用の努力義務を課すことが施行されたことを受け、自転車の交通事故の実態を明らかにし、一層の自転車の安全利用を促すことを目的に、冒頭の特集で「自転車の安全利用の促進について」取り上げている。

 自転車関連死亡重傷事故の件数は、平成25年の1万540人から令和4年は7,107人とおよそ3割減少。年齢層別で見ると65歳以上の死亡重傷事故件数がもっとも多いものの、平成25年の3,912件から令和4年は2,681件まで減少している。

 一方で、すべての死亡重傷事故件数が10年間で約4割減少しているのに対し、自転車関連死亡重傷事故は約3割の減少となり、死亡重傷事故件数に占める自転車関連件数の割合は横ばいから微増という状況にある。

 自転車関連死亡重傷事故に関与した当事者のうち、自転車側がもっとも過失の重い「第1当事者」の場合、対自動車が38.2%ともっとも多く、ついで自転車単独23.2%、自転車相互17.6%、対歩行者13.6%。そのうち、「自転車対歩行者」事故(自転車第1当事者)で歩行者死亡重傷事故の場合の自転車運転者の年齢層をみると、10~19歳がもっとも多く33.9%。9歳以下もわずかだが1.4%発生している。犠牲になった歩行者は65歳以上が半数以上を占め60.4%、9歳以下は5.8%、10~19歳は1.7%となっている。

 新たに改正された「自転車安全利用五則」では、第1則「車道が原則、左側を通行、歩道は例外、歩行者を優先」、第2則「交差点では信号と一時停止を守って安全確認」、第3則「夜間はライトを点灯」、第4則「飲酒運転は禁止」、第5則「ヘルメットを着用」と定められている。

 衝突地点が単路の自転車関連死亡重傷事故では、自転車が第1当事者の場合、約3割が「歩道」で発生。衝突地点別でみると、自転車が第1当事者の場合、約5割が「交差点内」で発生している。法令違反状況の傾向では、小中高校生は信号無視の割合は全年齢層と比較して低いものの、一時不停止の割合が約4割と全年齢層と比較して高い傾向にある。

 自転車乗車中の死者は、半数以上が頭部が致命傷となっており、ヘルメットの着用が安全確保に直結していることがわかる。交通安全白書では、自転車の安全利用の促進については、あらためて基本的な「自転車安全利用五則」を正しく理解し、遵守することが重要になるとしている。加えて、自転車損害賠償責任保険などへの加入促進や、幼児乗せ自転車の安全な利用についてといった取組みも紹介している。

 このほか、交通安全白書では、道路交通事故、鉄道交通事故、航空交通事故、海難などについて、それぞれ動向と安全施策の現況についてまとめている。

《畑山望》

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