子供の声を聞く「アドボカシー事業」全国で急拡大

 2024年4月より「児童の意見聴取等の仕組みの整備」が盛り込まれた改正児童福祉法が施行されるにあたり、全国子どもアドボカシー協議会は各都道府県などを対象に「子どもの意見表明等支援(アドボカシー)事業」の取組み状況などを調査した。

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全国の「児童の意見聴取等の仕組みの整備」の実施状況
  • 全国の「児童の意見聴取等の仕組みの整備」の実施状況
  • 子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業を実施している中での課題
  • 児童の意見聴取等の仕組みづくりの中での課題
  • 意見表明等支援員(アドボケイト)の養成
  • SV(スーパービジョン)やトレーナーの配置・研修の実施状況

 2024年4月より「児童の意見聴取等の仕組みの整備」が盛り込まれた改正児童福祉法が施行されるにあたり、全国子どもアドボカシー協議会は各都道府県などを対象に「子どもの意見表明等支援(アドボカシー)事業」の取組み状況などを調査した。

 2023年度「子どもの意見表明等支援事業に関するアンケート」は、児童相談所を設置している各都道府県、政令市、中核市、特別区などへ郵送しメールまたはオンラインで回答を得た(2023年11月28日発送、2024年1月9日締切り回収)。回収数は60地域(45%)。

 全国で「児童の意見聴取等の仕組みが整っている」自治体は、前年度比8%増の23%・14地域。「仕組みはまだ整っていないが、現在整備に向けて動いている」自治体は、前年度比42%増の57%・34地域へとそれぞれ拡大。「仕組みはまだ整っていなく、どこから整備をしていったらよいかわからない」自治体は前年度比47%減の13%・8地域にとどまった。

 次に、仕組みが整っている自治体に課題を尋ねたところ、79%が「意見表明支援員の不足」「意見聴取の手法」「予算確保」などの課題を抱えていることがわかった。対して、仕組みが整っていない自治体では、「意見表明等支援員事業委託先候補団体の開拓・選定」「関係機関・施設・団体等との調整」「児童相談所、児童養護施設、里親等との協力促進・関係調」などが整備するうえでの障壁となっているようだ。

 意見表明等支援員(アドボケイト)の養成については、自治体の60%以上で研修実施の目途が立っていないと回答。さらに57%の自治体で、SV(スーパービジョン)やトレーナー(養成プログラムの企画・提案などを行う)を配置しておらず、このうち、90%以上の自治体では研修を実施していないことがわかった。

 今回の調査から、全国各地で「子どもの意見表明等支援事業」に関する活動が急速に広がっていることがうかがえる一方で、導入後の支援は不足していることが明らかとなった。

 全国子どもアドボカシー協議会では、現在、子どもアドボケイト(意見表明等支援員)を養成する講座の実施や、「こどもアドボカシー活動の手引き(案)」を作成しているほか、事業の準備や実施に関する相談に答える「子どもアドボカシースタートアップサポート」を展開。子どもの権利条約を基本とし、子供・若者とのパートナーシップのもと、推進団体・個人の交流と連携を通して、すべての子供の権利を尊重する社会の実現に寄与することを目的に活動している。

《川端珠紀》

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