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【韓国教育IT事情-4】教育情報化に見る日韓の違い

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デジタル教科書実証実験校の様子
  • デジタル教科書実証実験校の様子
 日本でも2015年デジタル教科書導入を目標に、子ども1人1台パソコン、学校と教室の情報化を進めていると聞いた。

◆韓国では教員1人1台PCは当たり前

 ところが、文部科学省の資料を見て驚いた。2010年までに教員1人1台のパソコンを普及すると書いてある。韓国では教員1人1台のパソコンなんて当たり前すぎて、政府が目標として掲げるようなことでもないからだ。

 韓国では、教員用1人1台どころか、2~3台はある。教室ごとに電子教卓(パソコンが中に入っている教卓)がある。デジタル教科書実証実験校でなくても、電子黒板とパソコンを連動して教員が準備したマルチメディア教材を使って授業を行っている。先生達は教科書の内容を子ども達により分かりやすくするために、マルチメディア教材サイトの会員になり、教科書の内容に合わせて動画やアニメを準備する。教員ごとにオリジナルの教材を作り、電子黒板でそれを見せながら教えるのがいつもの授業光景である。教室の中にはネットにつながったIPTVもあり、休み時間には教育放送のネット放送から好きな番組を選んでみんなで一緒に観たりもする。デジタル教科書実験校(小学校)ではこれにプラスして、生徒全員がタッチパネル式のノートパソコンを使って、一部の科目の授業を行っている。

 学校には必ずPCルームもあり、「放課後教室」といって子ども達が教育用に制作されたアニメを見て復習したり、社会科目の発表準備のためにネット検索して調べてパワーポイントで資料を作ったり、先生と一緒に利用できるようになっている。

◆学校の情報化が遅れる日本

 学校の情報化なんてもう90年代で終わり、VR教室へと進んでいるのに比べ、日本は会社や家庭でのICT利活用は世界1~2位を争うほど進んでも、学校だけが取り残されているようで心配だ。

 韓国では2013年全小学校におけるデジタル教科書導入を目標に、1996年からバックグラウンドとして学校情報化、校務情報化、教育行政情報化、家庭学習情報化に取り組んできた。

 「【韓国教育IT事情-2】熱血教育ママに学ぶ教育とICT…教育情報化編」で紹介したように、もともと韓国では国民のネット利用率が高く、子どもも保護者も教員もネットに慣れていて、学校からの告知や宿題もネット経由でやっている。これも90年代からの学校情報化、教育情報化システムの成果といえる。

◆韓国の教員は学習指導に専念

 韓国では1996年に学校情報化、教員情報化研修、デジタル教科書構想が始まった。1997年には学校総合情報管理システムSIMS(School Information Management System)が導入され、2002年には教育行政情報化NEIS(National Education Information System)に拡大された。小学校から高校までの学校生活と成績記録が情報化されて大学に渡されるので、大学入試の時に添付書類や紙の願書を書く必要がなくなった。電子政府サイトもオープンし、卒業証明や成績証明を電子政府サイトからも申し込めるようになった。

 2006年には校務システムが全面的に導入され、先生方の仕事はほぼすべてが情報化・自動化されている。雑務と呼ばれていた統計作業や報告業務が大幅に減り、学習指導だけに集中できるようになった。

 2008年からは教育現場にモバイルクラウドコンピューティングを導入することで、「先生のパソコンはネットの中にある」というコンセプトで、中央センターに各種プログラムやデータをおいて、全国の教員はそれをネットにアクセスするだけで、どこにいても使えるというシステムを構築し始めた。セキュリティを高め、教員専用のネット本人確認システムを導入したことで、家でも外でも安全にシステムにアクセスして業務を行えるスマートワーキング環境を目指している。

◆15年以上もの歳月を費やされた教育行政改革とシステム開発

 デジタル教科書を使って勉強、その端末でテストを行い、学習効果を測定・分析、そのデータが自動的に教員の端末に送信され一人ひとり個別指導を行う。学生が毎日どんな学習をして教員がどのように指導したのかは、保護者にもすべて公開される。小学校から高校卒業までこのデータが蓄積され、大学入試の資料になる。韓国ではデジタル教科書実証実験を始めるために、15年以上も教育行政改革とシステム開発を行ってきた。

 デジタル教科書は、教育の情報化、学校の情報化、家庭の情報化、教務の情報化、行政の情報化、どんなデバイスからも利用できる教育デジタルコンテンツをたくさん揃えるなど、バッググラウンドがしっかりしていないと成り立たない。

 「【韓国教育IT事情-5】98%が満足する韓国のデジタル教科書」に続く。
《趙 章恩》

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