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【EDIX】面倒見の良さがツールの効果を劇的に変える…市進ウィングネット

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市進ウイングネット 代表取締役社長 小笠原宏司氏
  • 市進ウイングネット 代表取締役社長 小笠原宏司氏
  • 教育サービスにおいて生徒の満足度は説明のわかりやすさから
  • 指導の具体性や結果や評価の即応性も重要
  • 満足度向上を目指し、現在の塾は2極化している
  • フルライン化は垂直展開と水平展開によって行われる
  • 大学受験の現実は、上位4%の大学に全体の半分の受験生の希望が集中している
  • 映像を使った効果的なグループ指導の例(補習向け)
  • 自習型のグループ指導も効果的
 第2回 教育ITソリューションEXPO(EDIX エディックス)で7月8日、「劇的な学力アップを実現」と題して、市進ウイングネット 代表取締役社長 小笠原宏司氏による専門セミナーが開催された。同社は、全国の小学校、中学校、高等学校に映像教育コンテンツの配信を手掛けている。すでに713拠点で学習指導、補習授業、Web授業やコミュニケーションを展開し、満足度調査や学力テストでの実績があるという。今回のセミナーでは、その実績をベースにWebを使った映像授業の効果や機能について、コンテンツやネットワークの活用方法などを紹介した。

 小笠原氏は、まず教育サービスにおける「顧客満足度」は何か、という説明から講演を始めた。高校3年生1,757名のアンケート結果を例に、ユーザーが満足する要素は、1)説明のわかりやすさ、2)勉強法の具体性、3)具体的な数値結果の3つをあげた。それぞれの項目をさらに詳しくみていくと、説明のわかりやすさは「授業力」と言いかえることができ、それは「講師の質」「導入授業と演習解説授業の明確な工夫」「板書の質」によって決まるという。

 2番目の勉強法の具体性については「鍛える力」とし、次にやるべきことを明確にし、自律的に勉強する流れをつかみやすくする指導方法かどうかが重要だそうだ。小笠原氏は、市進の講師の研修やセミナーを行うことがあるというが、そのとき講師には「しっかり復習しろ」は禁句であると指導しているという。なぜなら、「しっかり」というのは具体性がなく、よい指導ではないからだ。

 3番目の具体的な数値結果は、自分の実力やランキングがすぐにわかるしくみということで、これが「継続させる力」につながるという。

 市進ウィングネットでは、上記の満足度を達成し、実際に成績アップなどの効果を導き出すため、講師の授業を映像コンテンツとして配信しているわけだが、ここで一番重要になるのは、講師の質や人の手をどれだけかけるか、つまり面倒見の良さであると小笠原氏は主張する。そのため、同社のコンテンツでは講師による板書や、Webカメラやスキャナを使ったリモートの個別授業でも手書きの添削のやりとりなどを重視している。

 さらに、電子黒板については、単に解説や答えを表示するだけのものは開発しないでほしいと、業界への提言も行った。考える力や思考のプロセスを育てるには、視聴して完結するようなシステムではだめだというのだ。同社は、人が介在することで学習効果は劇的に上がるという考えのもと、指導カリキュラムやコンテンツを作っている。

 次に、現在の私学や塾の状況を分析し、映像コンテンツを使った授業の位置づけや役割についての解説に移った。現在、私学では他校との差別化のためさまざまなな工夫をこらしているが、概して「英語に力を入れています」「使える英語をめざします」といった類型的なものが多くなる傾向がある。その中で、最終的な差別化につながるのは「教師力」や「人間力」といった人にかかわる部分だと述べる。

 また、塾においては2極化が進んでいるとする。難関校や科目ごとなどの専門性に注力する塾と、垂直展開と水平展開を同時に広げるフルライン化をめざす塾に分けることができる。フルライン化とは、学年や学力レベルに応じた指導を広げる戦略(垂直展開)と学び方として集団授業や個別指導、映像、Webといったさまざまな手法を展開する戦略(水平展開)を同時に実践し、あらゆる受験ニーズに対応しようとするものだ。

 大学受験の現状では、2010年度に大学進学率が50%を超え、日本の高等教育はユニバーサル段階に入っているといい、少子化と大学の設置基準緩和により、もはや大学にはだれでも入れる状態だという。しかし、現実は、私立大学志願者のおよそ半分が、早慶上智、GT-MARCH(学習院、東京理科大、明治、青山学院、立教、中央、法政)など有名22校の大学に集中する結果となっている。22校というのは全体の4%ほどでしかない。それ以外の大学は、学生確保のため入試の出題傾向をあえて変えないといったところもあるという。

 大学は多いが希望する大学に入れない。このような状況で、高校や塾が、生徒・保護者のニーズに応え、優秀な講師による授業を確保するためにウィングネットの映像学習教材は作られているという。

 小笠原氏は、映像学習が効果的な指導方法として3つのパターンをあげた。1つめは、グループ指導の例だ。これは補習授業などで効果的なものだそうで、講師1名につき4~6名の生徒が、映像コンテンツを使ってそれぞれが自分のレベルにあった学習を行う。講師は必要なサポートをしつつ、同時に複数の内容・レベルの授業を実施できる。導入授業以後の演習授業を分離し、工夫するという効果も高い。

 2つめは自習型と呼ばれる指導の例だ。10名前後の生徒に講師が1人ついて自習を行う。その場所には映像学習用の机も用意され、生徒は自習しながら、必要に応じてそれを利用する。これは、同一科目でも個別指導のような演習や復習が効率よくできる。寮制の学校での実績と効果が高いそうだ。

 そして3つめは1:4の個別指導と呼ばれるもので、講師1人が4人の生徒を見る。導入授業に映像コンテンツを活用し、そのフォローや演習として講師が個別指導を行う。4人程度なら同時に行っても個別の対応が可能であり、塾などでは、コストパフォーマンスの高い個別授業の方法として活用されている。

 このように、映像コンテンツを使った授業といっても有効なシチュエーションとそうでないものもある。また、きめ細かい講師による対応がなければ効果は上がらない。ツールはうまく使えば有効だが、それを使うだけで手間を惜しんでいては活用したとは言えないし、失敗する。小笠原氏は、自社のコンテンツや映像配信システムをそのようなツールのひとつととらえ、便利だが安易なものにはしないと言う。このポリシーは、コンテンツを配信したり再生するシステムが、電子黒板やタブレットなどに変わっても、普遍的なものだとして、講演を終えた。
《中尾真二》

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