女性労働基準規則が改正、母性保護のため有害物質の規制を拡大

 厚生労働省は5月7日、生殖機能などに有害な化学物質が発散する場所での女性労働者の就業を禁止する「女性労働基準規則(女性則)の一部を改正する省令」についてホームページに掲載した。

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母性保護のための「女性労働基準規則」を改正
  • 母性保護のための「女性労働基準規則」を改正
  • 労働安全衛生法令と改正女性則の関係
 厚生労働省は5月7日、生殖機能などに有害な化学物質が発散する場所での女性労働者の就業を禁止する「女性労働基準規則(女性則)の一部を改正する省令」についてホームページに掲載した。

 今年4月10日付けで公布された改正女性則は、母性保護のために、妊娠や出産・授乳機能に影響のある化学物質として規制する対象を従来の9種から25種に拡大し、規制値を超える屋内作業現場などでの女性の就業を禁止するもの。今年10月1日から施行される。

 同省では、重量物を取り扱う業務および、有害物(化学物質)の発散する場所での業務に関する女性労働者の母性保護規定のあり方について検討を行う専門家の会合を平成22年の12月より開催。検討結果をまとめた報告書を昨年12月に公表しており、今回その報告書をもとに、女性労働基準規則の改正が行われた。

 規制の対象となるのは、塩素化ビフェニル(PCB)やカドミウム化合物など特定化学物質障害予防規則の適用を受けている13種、トルエンや二硫化炭素など有機溶剤中毒予防規則の適用を受けている11種と、鉛およびその化合物の合計25種。対象物質を取り扱う作業場のうち、(1)「第3管理区分(=空気中の平均濃度が規制値を超える状態)」となる屋内作業現場、(2)タンク内、船倉内での業務など、規制対象となる化学物質の蒸気や粉じんの発散が著しく、呼吸用保護具の着用が義務づけられている業務について、妊娠の有無や年齢などにかかわらずすべての就業を禁止としている。

 規制対象となる物質は以下のとおり。

◆女性労働基準規則の対象物質(25物質)
【特定化学物質障害予防規則の適用を受けているもの】
 1 塩素化ビフェニル(PCB)
 2 アクリルアミド
 3 エチレンイミン
 4 エチレンオキシド
 5 カドミウム化合物
 6 クロム酸塩
 7 五酸化バナジウム
 8 水銀およびその無機化合物(硫化水銀を除く)
 9 塩化ニッケル(II)(粉状のものに限る)
 10 砒素化合物(アルシンと砒化ガリウムを除く)
 11 ベータ-プロピオラクトン
 12 ペンタクロルフェノール(PCP)およびそのナトリウム塩
 13 マンガン
【鉛中毒予防規則の適用を受けているもの】
 14 鉛およびその化合物
【有機溶剤中毒予防規則の適用を受けているもの】
 15 エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)
 16 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)
 17 エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)
 18 キシレン
 19 N, N-ジメチルホルムアミド
 20 スチレン
 21 テトラクロルエチレン(パークロルエチレン)
 22 トリクロルエチレン
 23 トルエン
 24 二硫化炭素
 25 メタノール
《田崎 恭子》

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