タブレット導入が通信教育に拡大、人気の4社を徹底比較

 子ども向け通信教育にタブレットを導入する動きが加速している。紙の教材と併用するスタイルのほか、タブレット上ですべての学習を完結させるものもある。デジタル教材の特長や広がりの背景を紹介するとともに、代表的な通信教育4社のタブレット教材の内容をまとめてみた。

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サービス比較表
  • サービス比較表
  • デジタルZ(5歳以上)
  • スマイルゼミ(小学生)
  • テレビドラゼミ(小学生)
  • チャレンジタブレット(中学生)
 子ども向け通信教育にタブレットを導入する動きが加速している。紙の教材と併用するスタイルのほか、タブレット上ですべての学習を完結させるものもある。デジタル教材の特長や広がりの背景を紹介するとともに、代表的な通信教育4社の内容をまとめる。

 タブレット教材の魅力といえばまず、写真、イラスト、動画、音声などを通して楽しく学ぶことができる点だ。視覚や聴覚を刺激しながら、テーマに応じた幅広い学習が可能になる。自分のペースに応じて繰り返し学ぶこともできる。マウスやキーボードを使わず、指先でタッチするという簡単な操作で利用でき、持ち運びしやすいため、いつでもどこでも学習できるという利点もある。

 使用するタブレットは、オリジナルの専用端末のほか、一般に流通している端末が利用可能なところもある。いずれの場合も、受講にはWi-Fiなどのインターネット環境が必要となる。

 近年、ICT(情報通信技術)の活用は、学校教育の現場でも進んでいる。全小中学校の児童生徒に1人1台のタブレットPC導入を目指し、2013年度からモデル校で先行実施することを決めた東京都荒川区のような動きもある。文部科学省でも2014年度以降に児童生徒1人1台の情報端末による教育の本格展開の検討・推進を計画している。

◆デジタルZ
運営:Z会
教科:英語・科学・国語
対象:5歳以上
月会費:
「はじめてまなぶえいご」「ひろがるせかいえいご」2,375円(1年契約時の月額単価)
「つながるせかいかがく」1,850円(半年契約時の月額単価)
「わかるつたわることば」1,750円(半年契約時の月額単価)
対応OS:Android 2.0~4.0(「わかるつたわることば」はiOS、Windows 8、Android 4.1以上のタブレットも利用可能)
体験会:デジタルZの講座が体験できる体験会を全国で開催中(詳細はHPで確認)

 幼児と小学校低学年を対象に2012年4月にスタートしたデジタル通信教育講座。画面を指先でタッチすると、文字や絵が動いたり、音が出るなど、子どもの好奇心を刺激しながら、楽しく学ぶことができる。Z会ならではの「先生からの指導」にこだわり、学習状況に応じたメッセージやアドバイスが先生から届くなど、双方向的な指導を受けることができる。子どもの学習の様子や、役立つ情報を保護者にメールで知らせてくれる「Z会通信」もある。

 英語学習では、英語の音を聞きながら、写真やイラストなどのイメージと結びつけ、多彩なアクティビティーを通して遊び感覚で英語に触れていく。科学では、画面をタッチしながら宇宙や自然、生き物などの「なぜ?」を解決し、知識を広げていく。国語学習では、言葉、漢字、音読の3要素を楽しみながら繰り返し、言葉の力を育てていく。タブレットで字形や使い方、筆順を学んだあとは、冊子教材を使って手を動かしながら漢字を身に付けていく。

 毎回レッスンの終わりには、画面上に「やったね!コレクション」をプレゼント。動物・乗り物・パズルなど、多彩なテーマで学習へのワクワク感を高める。学習内容を振り返ることができる冊子も定期的に届けられる。

◆スマイルゼミ
運営:ジャストシステム
教科:国語・算数・理科・社会(1・2年生は国語・算数)
対象:小学生
月会費:2,980~4,980円(1年契約時の月額単価、学年によって異なる)
専用タブレット:28,350円
キャンペーン:3月20日までに申し込んだ人には、専用タブレット代無料(6か月以上の継続入会が条件)、30日間の返金保証、図書カード 1,000円分プレゼント、オリジナル液晶保護フィルム(2,280円相当)プレゼントの特典がある。

 パソコンの日本語ワープロソフト「一太郎」などで有名なジャストシステムが、2012年12月にスタートした小学生向け通信教育。すべての学習が、独自に設計・開発された専用のAndroidタブレット上で完結する。タブレットは、スマイルゼミ以外のインターネット接続ができない専用端末なので、子どもの使用にも安心という。7月には、小学生向け「英語講座」も開講。小学講座会員が、コースに追加して受講できるようになる。また、2014年4月には中学講座も開講する。

 漢字学習では、タブレットを指でなぞって字形やはね、はらいなどを習得。間違えたその場で正しい書き順を教えてくれ、録音機能を使った音読教材では自分の朗読を聞き直すことができる。算数ではアニメーションによる図形問題、理科は実験動画などが理解を助けてくれる。

 解いた問題は自動採点し、間違えた個所にはその場で解説が表示されるので、一人で学習を進めることができる。タブレットには主要4教科の教材だけでなく、日記やスケジュール管理に使えるツールや写真・アルバム・壁紙機能もついていて、自分専用にカスタマイズできる。毎日の学習状況は、保護者のスマートフォンや携帯電話にメールで報告される。学習に取り組むと「スター」というアイテムが手に入り、貯めるとゲーム画面を楽しむことができるようにもなっている。

◆テレビドラゼミ
運営:小学館グループ
教科:国語・算数
対象:小学生
月会費:1,700~2,500円(学年によって異なる)
受講に必要な環境:スマートテレビ、PC(Windows)、Mac、Androidタブレット、iPad(詳しい動作環境はHPで確認)
特典:申込時に12か月一括払いで契約した人には、ネット上の動画コンテンツを楽しむための機器「光BOX+」をプレゼント

 通信添削学習「ドラゼミ」の小学生会員を対象に、2013年4月号からオプションコースとしてスタートする動画配信サービス。小学館、浜学園、NTT西日本、NTTラーニングシステムズの4社協業によって実施し、授業は浜学園の講師陣が担当する。テキストの内容が授業映像として配信され、自宅のテレビやタブレット、パソコンなど、インターネットを利用して視聴することができる。

 ドラゼミが目指しているのは、保護者が見守る中で学ぶ「リビング学習」。従来の紙のテキストと添削指導に講義解説の映像が加わることで、教材への理解を助け、学習意欲を高める。また、わからない部分を繰り返し視聴するなど、自分のペースや習熟度に合わせて学習を続けることができる。保護者にとっても、学習指導面での負担が軽減されるというメリットがある。動画視聴、問題への取り組み、添削テストの提出という1か月の流れを繰り返す学習サイクルによって、「テンポよくカリキュラムを進めることができ、学ぶことが好きな子どもになる」という。

 授業を担当する浜学園は、難関中学受験に実績のある進学教室。「子どもが興味を持って続きを見たいと思うような授業」を目指し、講師の動きや話などに楽しめる工夫をしながら授業映像を提供していく。

◆チャレンジタブレット(進研ゼミ中学講座の副教材)
運営:ベネッセコーポレーション
教科:英語・数学・国語・理科・社会
対象:中学1年生
月会費:5,250円(中一講座の1年契約時の月額単価)
専用タブレット:9,500円
プレゼント:進研ゼミ「中一講座」を4月号から1年間受講できる会員には、タブレット端末を無料でプレゼントする。

 2013年4月から進研ゼミ「中一講座」に新登場するオリジナル学習タブレットPC。希望する会員に副教材として導入し、紙のテキストと連動して利用する。7インチと小型で片手での操作も可能なため、テキストの脇に置いて学習できる。反応を見ながら、今後3学年への拡大も予定している。

 疑問やつまずきが起きやすい問題を中心に動画解説があり、隣に先生がいるような感覚でわからないポイントを解消したり、毎日の予習に取り組むことができる。週1回ライブ授業もあり、全国の中学生とともに一斉解答。講師が、解答状況を見ながらポイントを解説してくれる。ベネッセのチャレンジ中学英和・和英辞典2冊分の内容が収録されているため、電子辞書としても活用でき、単語の発音を聞くこともできる。

 担当コーチによる個別サポートサービスとして、声かけサポートもあり、教材活用状況に応じた学習アドバイスや応援メッセージを受けることもできる。有害サイトへのアクセスをブロックする「フィルタリング機能」、使い過ぎを予防する「利用時間制限機能」などの安全機能があらかじめ搭載されており、安心して子どもに使わせることができる。また、「子モード」「親モード」の切り替えにより、子どもが使わないときには保護者が通常のタブレット端末として利用することもできる。

※チャレンジタブレットは、一部コンテンツが異なるが、進研ゼミ難関私立中高一貫講座の副教材としても提供される。




《奥山直美》

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