少子化危機突破策となるか、注目される「産後」ケアサービス

生活・健康 その他

「少子化危機突破」のための提案
  • 「少子化危機突破」のための提案
  • 夫の休日の家事・育児時間別にみたこの8年間の出生の状況
  • 産後夫婦(めおと)手帳
  • ビューティクル ウェブサイト
 政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」は5月28日、「少子化危機突破のための提案」を森雅子少子化相に提出した。具体策として、待機児童解消や子育てと仕事の両立支援のほか、産後ケアの強化などが盛り込まれた。

 総務省がまとめた2013年4月1日時点の人口推計によると、15歳未満の子どもの数は1,649万人(前年比約15万人減)で、1982年から32年連続で減少している。政府は、この少子化の進行について「社会経済の根幹を揺るがしかねない危機」であると指摘。提言では、今後「子育て支援」「働き方改革」「結婚・出産・妊娠支援」を少子化緊急対策の3本柱として推進する方針を打ち出した。

 政府はこれまで、子育て家庭への経済的支援や待機児童解消や両立支援など法の整備も含めて取り組んできたが、出生率への影響も大きいとされている「結婚・妊娠・出産」の課題については具体的な取組みが弱かった。今後は、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」を講じていくとしている。

 提言の検討段階で出された、出生率を上げるための「女性手帳」配布案が物議をかもしたのは記憶に新しい。出産適齢期などの妊娠や出産に関する知識や情報を盛り込んだ「女性手帳」の配布が検討されていたが、女性を中心に「結婚や出産は個人の選択決定に基づくもので、国が介入すべきではない」といった相次ぐ批判を受けて、当面見送ることとなった。今回の提言では、情報提供や啓発普及の方法について「紙媒体だけでなく、スマートフォンなどインターネットを活用することも有用」と表記。さらに、男性への情報提供、啓発も実施していく重要性にも触れている。

 また、今回の提言では、「産後ケアの強化」についても具体策が盛り込まれた。助産師が常駐した産後ケアセンターの整備や、産後に専門家らが訪問や電話相談などで支援の充実を図る。産後は、生まれた子どもの方に関心が集まり、出産という大仕事を終えた母の心身は置き去りにされがちだ。体調が戻らないまま育児・家事で疲労し、行き場のなくなった妻のストレスは、仕事で疲れて帰宅した夫や児童虐待という形で家族に向けられるケースが多く、2人目以降の出産を躊躇させる原因となりうる。

 厚生労働省による「第9回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)」では、夫の家事・育児協力のある家庭は第2子以降の生まれる割合が高くなるという傾向が見られた。第2子が生まれた夫婦の、夫の休日の家事・育児時間は、「家事・育児時間なし」が 23.7%、「6時間以上」が 85.5%と、60ポイント以上の差がついた。

 「産後」支援に注目が集まるなか、産後の悩みや孤立感を解消するために「母親」や「夫婦」に向けた支援サービスが続々と登場している。家事育児ヘルパー派遣を展開するアイナロハは、産後の妻の気持ちを夫が理解するための「夫婦(めおと)産後手帳」を5月に発売。産後、妻が体調や気分を書き込み、夫もそれにコメントすることで、自然に妻を気遣える仕組みになっている。父親が育児参加するきっかけにもなり、夫婦間のコミュニケーションも良好になると評判だ。

 産後ケアのトータルサービス会社のビューティクルでは、バランスボールを使ったエクササイズなどで、産後女性の心と体を両面から女性を元気に美しくする「産後ビューティケアレッスン」を東京と埼玉で展開している。体力的にレッスン会場まで足を運ぶのが難しい女性には、産後ケアスタイリストが自宅を訪問して個人レッスンを行う。今後、この訪問型産後ケアサービスの充実を図るため、9月から産後ケアを担う産後ビューティスタイリストの養成を開始するという。

 同社の代表取締役社長の谷藤里絵氏は、「産後は、身体のダメージに加え、急激な環境変化とホルモン分泌によって精神が不安定な状態に陥りやすい時期なので、できるだけ母体に負担のないエクササイズで体力を回復させる必要があります。心身が健全な状態になって、2人目出産にも意欲的になった女性をたくさん見てきました。今後は、支援する側のスタッフをたくさん育成して、育児をしながら働ける場を提供することで、女性の雇用促進の面でも貢献していきたいです」と話す。
《楠原 恵子》

【注目の記事】

編集部おすすめの記事

特集

page top

旬の教育・子育て情報をお届け!(×をクリックで閉じます)