武蔵野大学と東京大学の研究グループは、身体の中の情報を感じ取る能力に敏感な乳児ほど、養育者と見つめ合うことを世界で初めて解明した。これまで確認されていなかった、乳児の内受容感覚が、社会的認知能力と関連する可能性が明らかになった。
これまで成人を対象とした研究では、内受容感覚に個人差があり、他者の感情認識やアイコンタクトの敏感さなど社会性に関わる能力（社会的認知能力）に、重要な役割を果たすことがわかっていた。しかし、乳児では内受容感覚の個人差が、社会的認知能力とどのように関連するのかについては解明されていなかった。
武蔵野大学教育学部幼児教育学科の今福理博准教授、東京大学大学院総合文化研究科の開一夫教授らの研究グループは、心拍とモニター上の図形の動きを同期・非同期させる新技術を採用。
心拍や空腹など、身体の中の情報を感じ取る能力（内受容感覚）を、生後6か月の乳児で調べ、個人差を測定することに成功した。内受容感覚に敏感な乳児ほど、養育者と遊ぶときに見つめ合う（アイコンタクトする）ことを解明し、乳児の内受容感覚が社会的認知能力と関連する可能性を世界で初めて実証したという。
今回の研究の成果は、ヒトの社会性と強く関連すると考えられるアイコンタクト行動が、乳児の内受容感覚という身体の中の感覚を基盤とする可能性を示す極めて重要な知見。この研究成果は、2023年6月19日に国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載された。
