東大生100人に聞いた「自分から勉強する子の家庭の習慣」勉強しなさい、と言わなくても勉強する子になるには

 全国で教育支援事業を行っている 東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠氏の著書『自分から勉強する子の家庭の習慣』より、東大生の親が日ごろからコミュニケーションで心がけていたことについて紹介する。

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 東大に合格するような子供が育つ家庭では、勉強面だけでなく、生活面やコミュニケーションの面から、親による様々な工夫が垣間見える。筆者(全国で教育支援事業を行っている 東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠)は『自分から勉強する子の家庭の習慣』(すばる舎)を上梓した。これは、東大生100人へのアンケート結果をもとに、東大生の親がどのように子供と接していたのかについてまとめたものだ。※本記事はアフィリエイト広告を利用しています

 今回は、東大生の親が日ごろからコミュニケーションで心がけていたことについて共有したい。

東大生は本当に「勉強しなさい」と言われたことがないのか

 よく「東大生は子供時代、親から『勉強しろ』と言われたことがない」という言説を耳にする。

 今回実施した調査でも、「親から『勉強しなさい』と言われたことはありましたか』という質問に対する回答は、「まったく言われていない 35.2%」「ほとんど言われていない 35.7%」「たまに言われていた 20.2%」「日々言われていた 8.9%」となっており、約7割の東大生が親から「勉強しろ」とほとんど言われずに育ったことがわかる。

 これは一見すると、「東大生の親は子供に勉強を促さない」と解釈されるだろう。しかし、筆者は今回取材を通じて、実際にはそうではなく、コミュニケーション上の工夫によって子供が「『勉強しなさいと言われた』と感じていないだけ」なのではないかという仮説に行き着いた。

 確かに東大生の親の多くは、勉強をせず宿題をやらないわが子に対して、「勉強しなさい」とは言わない。だが、「あれ、今日は勉強しなくて良いの?」と聞くのだ。

 子供はその問いに対して、自分で考えて答えを出す。たとえば、「考えてみれば、明日の宿題あったな。そうだ、早くやらなきゃ」となる場合もあれば、「いや、実は学校で宿題は終わらせているから、やらなくて良いんだ」と答える場合もある。

 親はまず、子供の答えをしっかりと聞く。「学校で宿題を終わらせた上で、今日は遊んでいるんだね。じゃあ問題ないね」という具合に、聞いた上で納得できれば、子供の答えを受け入れる。

 一方、もし納得できないなら、「昨日、『宿題がある』って言ってなかった?」「今度のテストで良い点を取りたいって言っていたけど良いの?」などと、追加の質問をする。こうした対話の中で、子供に自分で考えることを促すのだ。

手洗いうがいと同列のテンションで質問

 ここで重要なのは、決して「質問に見せかけた意見表明」をしないことだ。たとえば、「どうして勉強しないの」という言い方だと、親にその意図があるにせよないにせよ、子供は「勉強しなさい」と同義だと捉えるだろう。そうではなく、あくまでも「質問」に留めるのだ。

 子供に対して、手を洗ってうがいをしているかどうか、親御さんは確認する場合が多いだろう。「外から帰ってきたけど、手は洗った?」と確認しているだけであって、「洗っていないでしょう。ちゃんと洗いなさい」と言いたいわけではないだろう。むしろ、「洗わないで、風邪をひいてしまったら大変だよ」ということを心配して聞いている場合の方が多いだろう。

 それと同じくらいのテンションで、「勉強、大丈夫?」と聞く。特別なことを聞いているのではなく、手洗いやうがいと同列で勉強について触れる。そして、子供の考えをしっかりと聞き、対話する姿勢を崩さない。この対話自体も子供にとっては学びの一部であり、自分で考えて行動することができるようになるし、勉強に対するやる気を削ぐこともなくなるだろう。

東大生の親は「勉強しなさい」と言う代わりに何をやるか

 ある東大生は小学生の時、親から「勉強、大丈夫?」と聞かれた。それに対して「実は算数の小テストが最近悪かったんだよね」と答えたところ、親から「じゃあ問題集とか買いに行こうか」と言われ、一緒に本屋さんで「どの参考書を買ったら良いか」を悩んでくれたというのだ。

 「算数のテストが悪かった」となれば、大抵の親は慌ててそのテストを確認し、叱ったり、あるいは該当箇所の勉強を教えたりしようとするだろう。だが、叱ったところで何の解決にもならない上に、親が子供に勉強を教えられるのはせいぜい小学生まで。中高生になれば、子供はもう親には頼れず、自分で解決策を見つけるしかない。自学自習の学習習慣を小学生の間に身に付けておかなければ、後々勉強で苦労することになってしまう可能性が高いのである。

 この家庭では、子供の悩みを、一緒になって解決してあげようとした。親が子供の代わりに悩みを解決してあげるのではなく、親は子供に問いかけ、一緒に解決のための方法を考える。子供の悩みに寄り添い、「テストが悪かった時にどう対処すれば良いのか」「どんな解決策が考えられるのか」を自分で考えられるようにサポートをする。このようなサポートがあれば、今後子供が成長していく中で、自分の力で問題を解決できるようになるだろう。

 勉強に関しても、子供に対して何気なく日常会話の中で問いかけ、それを受け入れて、一緒に悩む。この姿勢で子供に接している家庭では、子供が気付かないうちに、自然と自分から勉強をする習慣を身に付けていく。だから、「勉強しなさいとは言われていない」と考える東大生が多いのではないだろうか。





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《西岡壱誠(カルペ・ディエム)》

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