東大生100人に聞いた「自分から勉強する子の家庭の習慣」家庭の工夫で数学が得意な子になる

 全国で教育支援事業を行っている 東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠氏の著書『自分から勉強する子の家庭の習慣』より、東大生の親がどのように子供の勉強をサポートしていたのか、数学が得意な子になるための家庭の工夫について紹介する。

教育・受験 中学生
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 東大に合格するような子供が育つ家庭では、勉強面だけでなく、生活面やコミュニケーションの面から、親による様々な工夫が垣間見える。筆者(全国で教育支援事業を行っている 東大生集団 カルペ・ディエム代表 西岡壱誠)は『自分から勉強する子の家庭の習慣』(すばる舎)を上梓した。これは、東大生100人へのアンケート結果をもとに、東大生の親がどのように子供と接していたのかについてまとめたものだ。※本記事はアフィリエイト広告を利用しています

 今回は、数学が得意な家庭に共通する東大生の親の工夫を共有したい。

数学が得意な子は計算が速い

 数学が得意になる子供に共通するのは、計算が速いこと。+―×÷の計算のスピードが速くて正確だ。そういうタイプは、どんなに問題が難しくなっても、数学の成績が伸びやすい。

 逆に、どんなに難しい問題の解き方が思い浮かんだとしても、最後は計算が素速く正確にできなければ点数には結びつかない。ちなみに、東大の理系数学は制限時間が150分の試験だが、この中で+―×÷の計算を1000回以上求められる。つまり、1つの計算が1秒速ければ、16分以上の時間短縮が可能になる。もちろん、1000回のうち1度でも間違えれば1つの問題が0点になってしまう恐れもあり、正確さも必要だ。

 このように見ると、小学生のうちから計算力をつけておくことは大きなアドバンテージになると言える。

 実際に、東大生の家庭では、計算力を上げるような工夫をしている場合が多い。

 たとえば、数学が得意になったきっかけとして、ある東大生は「電卓を親から買い与えられたことだ」と言う。小さいころに電卓を買い与えられ、その電卓でいろんな計算をして遊んでいたそうだ。彼はその電卓遊びが非常に楽しく、電卓を首から下げて、外に出て遊ぶ時も暇さえあればずっと電卓を触っていたのだとか。こうして電卓を使って楽しむことを覚えたことが、計算力のアップやその後の数学の成績につながったのだという。

日常の中に計算を取り入れる工夫とは

 他にも、計算を楽しむための工夫やきっかけを提供していたという親は多い。

 「メイク10」と呼ばれるゲームがある。これは、与えられた4つの数字に対して、+―×÷のどれかを使って、試行錯誤して10を作るというゲームだ。たとえば1,2,3,4なら、(4×3−2)×1で10となるように、計算式を探していく。

 東大生からは、家族でこの「メイク10」をやっていたというエピソードをよく耳にする。今回の調査でも、日常生活の中で4つの数字を見つけると必ず「メイク10」をしたという家庭が多かった。たとえば今が11時15分なら1,1,1,5で10を作る。14分32秒なら1,4,3,2で10を作る。乗ったバスのナンバーが1235なら1,2,3,5で10を作る。中には、家族で「一番早く作れた人が勝ち」というゲームを実践していたという家庭も少なくなかった。

 または、素因数分解ゲームを実践している家庭も多い。これは、1つの数を素数のみの掛け算になるまで分解するゲームのことだ。たとえば12は、素数のみの掛け算にすると2×2×3になる。40は2×2×2×5だ。

 そして、1つの数をいちばん早く分解できた人の勝ち、というものだ。

 これも、先ほどと同じく日常生活の中で見かける数で実践する。今が10時24分なら1024で実践し、2×2×2×2×2×2×2×2×2×2と計算できた人が勝ちとする。学校の1学年が240人、と先生がいったら、頭の中で240=2×2×2×2×2×3×5を計算できるかどうかを試す。日常生活の中にある様々な数を、分解していくというわけである。

 どちらのゲームも、今やネットで検索すれば答えが出てくる。スマホで「1024 素因数分解」と検索すればその結果が表示される。なので、これらは簡単に実践して簡単に答え合わせができるのがポイントだ。

 ただし、素因数分解ゲームの場合、計算を楽しみたい場合やもっと深く理解したい場合は、わざと答え合わせを電卓で行うことをしていた。2×2×2×2×2×3×5と入力し、本当に240になるのかを計算していくのだ。その過程で、「2×3×5=30」など計算の途中も理解できるので、計算力が上がるわけである。

カードゲームで数学の楽しさを知る体験を

 これらの数学ゲームは、数学に対する苦手意識を少なくする効果もあると考えられる。たとえば別の東大生だが、「なぜ数学が得意になりましたか?」という質問に対して、「苦手とか得意とかを意識する前の段階で、科学館に行った際に買ってもらった『algo』というゲームで数字に対する抵抗感を無くせていたのが大きかった」と答えている。

 「Algo」とは、数字を使って相手の数を当てていくという推理ゲームであり、相手の数字を推理する過程で論理的思考が身に付くと考えられる。実際、幼少期にこのゲームを実践していた東大生は非常に多い。




 また最近のゲームの中では、『タギロン』というゲームを学生時代に家族でやっていたという東大生もいた。これは、「5はどこ?」「赤の数の合計は?」といった質問カードを使い、相手の持っている数字タイルの数をすべて当てていくというものだ。偶数や奇数を使った問いや、数の合計・倍数を問う問題も多く、数に対する深い理解ができるようになるというユニークなゲームだ。


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 数学には、パズルやゲームのような楽しさがある。その楽しさに幼少期に触れている東大生は、中高生になっても、その楽しさを原動力に勉強に向かえる。そのための過程の工夫として有効なのが、数学を使ったゲームを家族で楽しむことだ。ぜひ参考にしてみてもらいたい。







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《西岡壱誠(カルペ・ディエム)》

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