ノロウイルスなど集団感染が多数発生…東京都が注意喚起

 東京都は2023年12月7日、ノロウイルスなど感染性胃腸炎の集団感染が多数報告されていることを受けて、集団感染が危惧される施設では衛生的管理などに注意し対策を行うよう、注意を促した。

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都内における感染性胃腸炎の集団感染事例報告件数:(令和5年(2023年)第48週まで)
  • 都内における感染性胃腸炎の集団感染事例報告件数:(令和5年(2023年)第48週まで)
  • 感染性胃腸炎の定点当たり患者報告数推移 過去5シーズン:(定点医療機関からの報告による)

 東京都は2023年12月7日、ノロウイルスなど感染性胃腸炎の集団感染が多数報告されていることを受けて、集団感染が危惧される施設では衛生的管理などに注意し対策を行うよう、注意を促した。

 感染性胃腸炎とは、おもにウイルスなどの病原体を原因とする胃腸炎の総称で、感染すると腹痛・下痢、嘔吐、発熱などの症状が発生する。原因となるウイルスとして「ノロウイルス」「ロタウイルス」「アデノウイルス」などが知られている。

 例年、冬の時期は、感染性胃腸炎の集団感染が多数発生しており、2022年度は都内の保育施設や高齢者施設などから計841件の集団感染事例が報告された。今シーズン(2023年度)も、12月3日までに70件の集団感染事例が報告されている(保育所56件、小学校8件、高齢者施設3件、幼稚園2件、高等学校1件)。

 感染性胃腸炎は、人から人へ感染する場合と、汚染した食品を介しておこる食中毒に分けられる。感染した人の便や吐物に触れた手指を介したり、ウイルスに汚染されたカキやシジミなどの二枚貝を生または不十分な加熱処理で食べたり、感染した人が十分に手を洗わずに調理した食品を食べたり、感染した人の吐物やふん便が乾燥し、細かなちりと舞い上がり、そのちりと一緒にウイルスを取り込んだ(吸い込んだ)場合などに感染するという。

 感染予防のポイントは、「ひとりひとりが手洗いをきちんと行うこと」「カキなどの二枚貝を調理するときは、中心部まで十分に加熱すること」「吐物やふん便は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の漂白剤)を使用し、適切に処理すること」「吐物やふん便を処理する際は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は、石けんと流水で十分に手を洗うこと」。二枚貝を調理する際は、中心温度85~90度で90秒間以上の加熱をすることが必要。また、感染性胃腸炎のおもな原因となるウイルスはアルコール消毒の効果が乏しいため、排便後や調理、食事の前には、その都度、石けんと流水で十分に手を洗うことが欠かせないという。

 なお、感染性胃腸炎の警報レベルの開始基準値は、20人/定点(週)。警報レベル開始基準値を超えた保健所の管内人口の合計が、東京都の人口全体の30%を超えた場合には、広域的に流行が発生・継続しているとして警報を発する。2023年11月27日から12月3日までの患者報告数は、7.19人/定点(週)であり、保健所の管内人口の合計も30%に達していないことから、12月3日時点では、警報レベルには達していない。

《木村 薫》

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