順天堂大学大学院医学研究科・環境医学研究所の高森建二所長のグループは、アトピー性皮膚炎などのバリア機能が低下した皮膚は、真皮内に存在している感覚神経線維(2)が表皮内に侵入して、角層のすぐ下まで伸びて全体に広がることを発見し、かゆみの知覚メカニズムを解明してきました(図1)。しかし、ヒトの感覚神経細胞は身体から取り出して培養することができないため、感覚神経細胞の機能評価や他の皮膚を構成する細胞との相互作用の解明などについて、研究課題が多く残されていました。
今回、リプロセルと共同で開発したヒトiPS由来感覚神経細胞(図2)は、約70パーセントが感覚神経細胞であることが確認されました。分化誘導効率(3)が高いこと、また凍結保存が可能であることから各種実験に用いやすい細胞です。同細胞を今後研究に使用することで、人工的に培養することができない感覚神経の研究を容易に進めることができると期待されます。
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<用語解説>
(1)ヒトiPS由来感覚神経細胞株:ヒトiPS細胞から分化誘導して得た、痛みやかゆみなどの刺激を脳に伝達する
ヒト感覚神経細胞
(2)感覚神経線維:皮膚感覚を伝える神経線維の一つで、かゆみ感覚を伝達する。
(3)分化誘導効率:iPS細胞から欲しい細胞を作製することを「分化誘導」といい、その誘導の効率が良い方が望ましい。
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