国際NGOセーブ・ザ・チルドレン【調査結果発表】新型コロナウイルス感染症 都内ひとり親家庭 高校就学の継続が困難な世帯が3割、高校生支援拡充を-「ひとり親家庭高校生給付金」申込結果から



子ども支援専門の国際NGO である公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎/専務理事・事務局長:三好集、本部:東京都千代田区)は、新型コロナウイルス感染症緊急子ども支援として2020年8月から11月に「都内ひとり親家庭高校生給付金」事業を行いました。
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本事業では、給付金申し込み時に、高校生活における経済的負担などに関する調査も実施し、その結果、授業料や教材費など高校生活に関わる費用が支払えなかったと回答した世帯は約1割、高校就学の継続が困難であると回答した世帯は3割を超えました(回答件数355世帯)。
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調査の結果、授業料や教材費をはじめ高校就学に必要な費用が、新型コロナウイルス感染症の影響により支払えなかった世帯が一定数いることが明らかとなりました。以前から高校生の教育費は家計負担が重くなる一方、公的な支援は十分とは言えませんでした*1。文部科学省は新型コロナウイルス感染症対応として、家計急変世帯を高校生等奨学給付金の対象としたり、オンライン通信費を上乗せしたり柔軟に取り組んでいますが、高校就学に経済的な不安を抱える世帯へのさらなる支援が求められます。

また、「進学や就職など進路に関わる費用」は、「支払えなかったことがある」と「これまでにはないが、今後支払えなくなる可能性がある」を合わせると9割を超えました。中長期的に考えても、就学や部活動、学校行事、進路など、高校生たちの生活が経済的な影響により制約を受け、さまざまな機会が得られない可能性が示唆されています。

さらに、今後高校就学を続けられない可能性があるかどうかを尋ねたところ、3割にのぼる世帯が、継続できない可能性があると答えました。
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内閣府の調査では*2、高校中退者のうち16.0%が経済的な余裕がないためと回答しています。高校までの中等教育を受けることは、貧困状態に陥らないためにも重要ですが、新型コロナウイルス感染症が経済に与える打撃によって、教育の機会が奪われてしまうことが危惧されます。

自由回答欄には、現行の奨学給付金の支給金額増額や、公的支援が薄い高校生への支援拡充を求める声が多く寄せられました。こうした声は、ひとり親家庭、ふたり親家庭に限らず、経済的に困難な状況にある高校生への支援を考えるにあたって、非常に重要な指摘であると考えられます。

セーブ・ザ・チルドレンは今回の結果などを受け、文部科学省や関係省庁・自治体等へ以下を求めていきます。
1.「高校就学継続困難世帯」の実態把握・経済的に困難な高校生に対する現金給付などの支援対応
高校就学の継続困難の実態を把握し支援制度の利用等をサポートするよう、政府による各教育委員会等に向けた通知等の発出や、政府・自治体による高校就学継続のための現金給付などを求めます(入学時を含む)。

2. 高校生等奨学給付金への早急な追加予算措置・運用改善
以下4点を実現するため、追加的予算措置や弾力的な運用・改善を促す通知等の発出をおこなうよう、政府・自治体の双方に求めます。


費目・金額を増やす
立て替えをなくす
制度のわかりやすい再周知、申請手続きの簡素化
家計急変へのより柔軟な対応


*1文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」では、公立高校の学校教育費は授業料を引いても、年間25.5万円程が家計の負担。一方、非課税世帯などの高校生を対象とした高校生等奨学給付金の支給額は実態との乖離が見られる。私立高校に通う場合はその差額はさらに大きくなる。
*2内閣府「平成22年度若者の意識に関する調査(高等学校中途退学者の意識に関する調査)」

プレスリリース提供:PR TIMES
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