約60年後の気候環境下で 住宅の温度・湿度・消費電力量を測定。気候変動が住宅に及ぼす影響を 芝浦工業大学と共同検証

国内最大規模の人工気象室にある実大住宅で実証



パナソニック ホームズ株式会社
芝浦工業大学

パナソニック ホームズ株式会社と芝浦工業大学(秋元 孝之教授、小金井 真特任教授)は、このたび、パナソニック ホームズが所有する国内最大規模の人工気象室(住宅試験センター内/滋賀県東近江市)で、約60年後の気候条件が住宅の温熱環境・空調性能に及ぼす影響について共同検証を行い、その結果を公表しました。

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d22927-257-8dff69225895192fb5fa3e3c1f90fcdf.pdf▼全館空調『エアロハス』の詳細はこちら
https://homes.panasonic.com/sumai/lifestyle/airlohas/

これまで、気候変動が住宅に及ぼす影響については、将来予測モデルを用いたシミュレーションによる評価・分析※1が行われてきましたが、将来の気候を人工的に設定した環境下で、実際の住宅や設備を使って、温度・湿度などのデータを実測した研究は前例がなく、本検証は極めて稀な取り組みといえます。

■背景
近年、住宅の断熱・省エネルギー性能の向上が進む一方で、地球温暖化の影響は年々深刻化し、2025年8月の東京都の平均気温は29.6℃と、観測史上で最も高い水準を記録※2しました。
さらに、今回の検証において将来気候を分析した結果、酷暑化が進むことが確認されました。約60年後の気候条件※3を省エネルギー基準における地域区分1~8※4に当てはめると、6地域(東京ほか関東の主要都市、東海、近畿、中国、四国、九州の多くを含むエリア)の代表地点(岡山市※5)では、現在よりも夏季(最暑月)で平均2.6℃、冬季(最寒月)で平均3.3℃の気温上昇が見込まれ、特に夏季は湿度の大幅な上昇も想定されます。それにより、現在の地域区分が全国的に温暖側へ1~2区分移行する可能性が示唆され、とりわけ東京の夏季の気候は、将来、現在の沖縄に近い高温・多湿な環境への移行が見込まれます。

こうした変化を踏まえ、気候変動を前提に、より踏み込んだ検討と技術対応が必要であるという問題意識から、本検証の実施に至りました。

■共同検証の概要
本検証では、パナソニック ホームズの全館空調システム『エアロハス』を搭載した住宅を対象に、現在気候・将来気候※6の各条件下で、各居室及び空調機器周辺の温度・湿度、消費電力量などを比較・評価しました。
その結果、夏季・冬季ともに室内では快適な温熱環境が維持され、将来気候を想定した夏季の高湿度条件下でも、室内湿度の上昇を抑制できることが確認されました。一方で、将来気候の夏季には、主に除湿に要する冷房エネルギーが増加するため、8月の平均消費電力量が現在気候と比較して約1.5倍になる可能性が示されました。これらの結果から、将来の気候条件下でも、住宅の快適性は確保できる一方で、夏季におけるエネルギー消費増加への対策が、今後の住宅設計・設備開発における重要な課題となることが明らかになりました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/22927/257/22927-257-fc8e6a0f12ad530c680cd4f80ee70398-1283x977.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
住宅試験センター 外観


こうした課題を踏まえ、パナソニック ホームズでは、ハウスメーカーとして、住宅への新たな機器の導入や効果検証などの実施を検討していきます。今後もパナソニック ホームズと芝浦工業大学は、それぞれの知見と技術を活かし、将来の気候変動を見据えた実証研究を通じて、快適性と省エネルギー性を両立する持続可能な住まいづくりに貢献していきます。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/22927/257/22927-257-d7a552d9c254fecdaffabc8aef73976f-1144x345.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
現在気候と将来気候における気温・湿度の違い

*絶対湿度とは、空気1kg中に含まれる水蒸気量を示す指標で、気温の影響を受けにくく、実際の「空気中の水分量」を直接表します。絶対湿度が高いほど、空気そのものが多くの水分を含んでおり、冷房時には除湿により多くのエネルギーが必要となります。


■秋元 孝之氏コメント(芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授)
気候変動に伴う気温上昇の影響により、熱中症やこれまで海外でしか見られなかった感染症の増加といった健康リスクの高まりに加え、知的生産性の低下や社会活動の停滞など、広範な影響が懸念されています。
このような状況のもと、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、住宅分野における取り組みの重要性は一層高まっています。同時に、将来の気候変動の不確実性や激甚化を踏まえた対応が不可欠です。すなわち、単に断熱・気密性能を強化するだけでなく、省エネルギー性と快適性を両立できる高効率な空調方式の導入が求められています。本研究では、将来の気候条件を見据えた住宅のあり方について、有用な知見を得ることができたと考えています。


※1 :日本建築学会 環境工学委員会:熱くなる日本 将来の気候変動と建築のアップグレード, 2025年度日本建築学会 環境工学部門研究協議会資料, 2025.9
※2 :気象庁東京管区気象台 東京都の気象状況 [WEB] https://www.jma-net.go.jp/tokyo/shosai/chiiki/gaikyo/662_202508.pdf
※3 :地球温暖化シナリオをもとに、気温や湿度の変化を反映した将来の気象データを基にした気候条件。研究・実務の両面で幅広く活用されている「拡張アメダス気象データ」の将来気候を使用しています。
※4 :省エネルギー基準における地域区分とは、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)」に基づき、全国を気候条件の違いによって1~8地域に区分したもので、数値が大きいほど温暖な地域を示します。主に外気温を考慮して、住宅・建築物の断熱性能や設備設計の基準が定められています。
※5 :「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)」において、地域区分6地域の代表地点として選定されている岡山市を採用しました。
※6 :年毎のデータから月別に代表的な年を選択し、それらを接合して作成された仮想の1年間のデータ。現在気候(標準年1995年版)は、国が定める住宅の省エネルギー基準に基づくエネルギー消費量算定プログラムで使用される1981~1995年(15年間)を採用しています。将来気候(将来標準年2086年版)は、気象庁の「地球温暖化予測情報第8巻」を参照し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書に示されたSRESシナリオA1B(経済重視・グローバル化を前提とした中程度の排出ケース)に基づいて作成された2077~2099年(19年間)を代表するデータを採用しています。

プレスリリース提供:PR TIMES
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