【通学定期券 2/3番線】お得に購入…JRか私鉄か? 購入期間は?

 JRは高く、私鉄は安いというイメージを持っている方もいると思いますが、定期券ではその逆転も起こります。また、私鉄と私鉄の組合せだと安いように思いがちですが、定期券ではJRと比較して同額程度か、むしろ高くなる傾向にあります。

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通学定期券の金額を見直すいいチャンスです
  • 通学定期券の金額を見直すいいチャンスです
  • 直通もあり、もうなにがなんだかさっぱりの首都圏
  • 愛子さんの学校の近くには、こんなに最寄駅があります
  • 継続定期なら機械で購入できる会社もあります
  • [定期券]を選択しましょう
  • どこで乗り換えるか聞かれます。その場では難しく、このコラムを参考に
  • 正確な路線名も聞かれます。事前の打ち合わせが大切
  • 最終確認です。間違っていたらタッチして修正
 賢く通学定期券を購入するポイントを解説するこのコラムでは前回、2つのポイントと1つのコツをご案内しました。愛子さんの例も含めて、少しおさらいしましょう。

 第1のポイントは「塾・予備校など行動範囲もよく検討に入れる」。また、第2のポイントは「学校指定最寄駅が複数ある場合、違う駅名も候補に入れる」でした。

◆同じエリアなのにこんなに違う金額。きっぷと定期では逆転も。なぜ?

 さて、候補をもう一度眺めてみましょう。同じエリアなのに、こんなに料金が違います。特にポイントとなるのは、きっぷ料金と定期料金の違いです。

・第1候補:45分程度・6,620円(1ヶ月)・380円(きっぷ片道)
吉祥寺―(京王井の頭線)―渋谷―(東京メトロ半蔵門線)―神保町
【長所】学校に近い。渋谷・下北沢周辺の塾・予備校に通える。井の頭線は両駅とも始発で座れる。
【短所】渋谷駅の乗換が遠い。他のルートに対して時間がかかる。

・第2候補:40分程度・6,630円(1ヶ月・高校生学割設定)・380円(きっぷ片道)
吉祥寺―(JR中央線)―神田
【長所】乗換なし。電車は最速。新宿周辺の塾・予備校にも通える。帰りは座れる。
【短所】行きの混雑がすごい(快速線を利用の場合)。駅からちょっと距離がある。

・第3候補:30分程度・7,690円(1ヶ月)・350円(きっぷ片道)
吉祥寺―(JR中央線)―中野―(東京メトロ東西線)―竹橋
【長所】直通ありで乗換なし。最速、駅近、さほど混まない。
【短所】遊ぶ場所が区間内にない(長所ともいえそう)。もっとも高い。

 普段利用する際にはきっぷの料金を気にしています。なるべく安く、楽に早く到着するルートを選択しているものですが、定期券となると感覚が変わります。もし定期券ではないSuica/PASMOで毎日利用していたら、早くて楽、しかも安い第3候補を選ぶでしょう。しかし、定期券となると、もっとも高いルートになってしまいます。

 さらにおもしろいことに、首都圏では、JRは高く、私鉄は安いというイメージを持っている方もいると思いますが、定期券ではその逆転も起こります(第2候補と第3候補)。また、私鉄と私鉄の組合せだと安いように思いがちですが、定期券ではJRと比較して同額程度か、むしろ高くなる傾向にあります(第1候補と第2候補)。これらの結果から、以下のような3つのポイントを紹介します。

◆賢く通学定期券を購入するポイント・その3
~なるべく鉄道会社を少なく、できれば2社以内に~

 定期券もきっぷと同様、鉄道会社が変われば初乗りから払わなければなりません。いくら便利とはいえ3社以上をまたぐルートの場合、特別な優遇のある設定区間を除き原則3社分の設定料金を支払うようになるため、非常に割高です。乗換路線が複数あっても、同じ鉄道会社でまとめたほうが、圧倒的にお得になります。

 近年では直通運転が増えたため、ずっと同じ電車に乗っていても気がつかないうちに運行する鉄道会社が次々と変わるケースもあり、特に注意が必要です。

 運行する鉄道会社がわからないときは、路線名を思い出してみましょう。たとえば同じ都心の地下鉄でも、銀座線、丸ノ内線には頭になにもつきませんが、都営新宿線には都営がついています。つまり前者はなじみのある東京メトロ、後者は都営という冠詞から東京都交通局による運営とわかります。同じ新宿線でも、西武新宿線は西武鉄道です。この原則を覚えておけば、誰でも簡単に見分けがつくようになります。

◆賢く通学定期券を購入するポイント・その4
~JRは中高大で割引率が変わる。JRと私鉄の組み合わせならJR区間を長めに~

 旧国鉄から複雑な料金体系を引き継いだJRでは、きめ細かい特例の設定があるため、概して運賃に対する定期券の割引率が高くなっています。そのため、額面を安く抑えることが最優先の場合、JR各線に乗る距離を長めにすると、お得になる傾向にあります。私鉄の学割は一律ですが、JRには中高大と学校教育の段階に合わせた割引率の設定があるためです。

 首都圏の場合、JRは高いという印象がつきものですが、こういった諸事情によりきっぷと逆転する現象が起こるのです。ただし、別の諸事情により、そもそも首都圏の私鉄の運賃はJRより低めに設定されているため、本当にJRの定期が割安かどうか区間によってよく検証する必要があります。

◆賢く通学定期券を購入するポイント・その5
~学割の3か月、6か月定期はほとんど安くならない。年度をまたぐ購入は慎重に~

 一度ルートを決めると、購入した期間内では原則その通りに通学しなくてはなりません。実際に通ってみてはじめてわかることも多いもの。3か月、6か月定期は1か月よりも確かにお得ですが、その差は数%程度ですので、本当にこの区間でいいと思えるようになってからの長期購入がおすすめです。もし後日見直しをする際、購入期間が長ければ長いほど払戻額は減り、区間変更に伴う追加料金や手数料を支払うと結局きっぷで毎日通学していたのと変わらなくなります。

 余談ですが、パパの通勤定期券の場合、この原則は大きく異なります。特にJRの場合、6か月定期でほぼ1か月分がまるまる無料になる計算です。長期購入の方が安いというイメージがあると思いますが、これは通学定期券には当てはまりません。学生に対しては年度末で進級なのか卒業なのかという判定が鉄道会社側で必要になるため、長期にわたる継続購入に制限があります。年度をまたがった購入ができても新年度から使えなくなることもありますので、特に年度末をまたがる購入を検討している際には、窓口で購入期間の相談が必要でしょう。

◆Suica、PASMO、どっちがお得? 購入時にお得な決済方法は?

 愛子さんは渋谷・下北沢を通る第1候補がお気に入りのようですが、ご両親は第2・第3候補で勉学に励んでほしいようです。なかなか、費用だけでは測れないものもありますね。話合いの結果、愛子さんは第3候補で通うことになりました。

 第3候補の「吉祥寺―(JR中央線)―中野―(東京メトロ東西線)―竹橋」は、SuicaとPASMOのどちらでも購入できます。このようなケースは多々ありますが、実際に所持するカードの種類によって提供されるサービスや利用範囲などが大きく異なります。さらに、クレジットカードなどの決済場面では、もっとお得な方法があります。賢くチョイスするために、次回は購入時のポイントを案内します。
《区間各停くん》

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