就寝時のマスク装着で子ども喘息の悪化を5割低減

 ユニチャームは、専門医らとの研究の結果、「就寝時にマスクを装着することで、子どもの喘息症状と喘息による治療などを5割低減させる」ことを実証した。研究成果は、2012年11月30日の第62回日本アレルギー学会秋季学術大会で発表している。

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マスクを付けて就寝する子どもの様子のイメージ
  • マスクを付けて就寝する子どもの様子のイメージ
  • マスク着用有無による、喘息発症率の違い
  • マスク着用有無による、ピークフロー値の違い
 ユニチャームは、専門医らとの研究の結果、「就寝時にマスクを装着することで、子どもの喘息症状と喘息による治療などを5割低減させる」ことを実証した。研究成果は、2012年11月30日の第62回日本アレルギー学会秋季学術大会で発表している。

 同社は、子供用マスクを販売する企業として「子ども達の喘息症状を少しでも減らし安心して、快適な生活を送ってほしい」という思いのもと、5人の専門医らと共同で子どもの就寝時におけるマスク装着によって、喘息症状の低減ができるかという研究を行った。マスク装着は、ハウスダストを気道へ吸引することをブロックできる有効な手段だと考えられているが、検証が行われたのは今回が初。

 研究は、春期(2011年4月~7月)と秋期(2011年9月~12月)の計8か月、三重病院、てらだアレルギーこどもクリニック、徳田ファミリークリニックの通院患者で、保護者の協力を得られた小児喘息患者(6歳~15歳の男女)31名を対象に検証とアンケートを実施して行った。マスク装着せず就寝した日とマスクを装着して就寝した日について、ピークフロー(十分息を吸い込んで思い切り息を吐き出したときの最大の息の速さ)の測定値と、症状・治療内容をそれぞれ観察した喘息日記、および通院時の喘息と鼻炎症状について調査した。

 研究の結果、小児喘息において夜間のマスク装着により、コントロール不良発生率がマスク装着をせず就寝した日が18.0%に対し、マスク装着をして就寝した日が8.9%と約5割低減されるという結果だった。また、起床時及び就寝時のピークフロー値は、マスク装着有りの方が無しよりも高いこともわかった。検証した子ども達の約7割は、「マスクをつけていて良かった」「(密着性のある子供用サイズのマスクは)すきまができないこと(が良かった)」「息が楽であることがよかった」等、マスクを装着して就寝することに肯定的な回答をしている。

 今回の研究結果から、鼻やのどから進入するアレルゲンをブロックすること、呼気を加温加湿することで鼻腔内の繊毛運動を活発にして、入ったアレルゲン物質を排出する効果により、「就寝時におけるマスク装着は、喘息症状を軽減する有効な手段であり、効果があることが実証されたと考える」としている。

 研究に参加した「てらだアレルギーこどもクリニック」の医師、寺田明彦氏は、「小児喘息の患者さんは、夜間症状で苦しんでおられるケースが多くQOL(生活の質)を著しく障害しています。また、ご本人のみならず、ご家族の夜間の睡眠をも妨げています。今回、スキマを作らない密着性のある子供用サイズのマスク装着で、喘息の改善がみられたことは、薬の治療を補う手段として手軽で効果的な対処法だと思います。実際、夜間の症状がある患者さんには、薬物療法以外にマスクを就寝時に装着することをお勧めしています。」とのコメントを寄せている。
《楠原 恵子》

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