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【NEE2013】フューチャースクール実証実験校3校の取組み…その効果と課題

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パネルディスカッションのようす
  • パネルディスカッションのようす
  • 玉川大学教職大学院 堀田龍也教授
  • 日本のほとんどのコンピュータはコンピュータ室での固定設置
  • 総務省 情報流通行政局情報通信利用促進課 課長 佐藤安紀氏
  • 広島市立藤の木小学校 教諭 小島史子氏
  • 授業過程モデルからICT利用場面を考える(藤の木小学校)
  • タブレットをデジタルワークシートとして活用(藤の木小学校)
  • ベテランも活躍するICT授業(藤の木小学校)
 総務省が進める「フューチャースクール推進事業」は本年度が最後の年となる。New Education Expo 2013の専門セミナーで、このフューチャースクール実証校3校によるパネルディスカッションが開催された。

 参加者は、総務省から情報流通行政局情報通信利用促進課 課長の佐藤安紀氏、参加校から広島県の広島市立藤の木小学校 教諭の小島史子氏、三重県の松阪市立三雲中学校 教諭の楠本誠氏、新潟県の上越教育大学附属中学校 研究主任の小池克行氏の3名。玉川大学教職大学院教授の堀田龍也氏がモデレーターを務めた。

 堀田氏は、日本はデジタル理解力では世界レベルと言ってよいが、学校の授業におけるコンピューター利用時間がきわめて少ないと語る。また、学校におけるコンピューターのおよそ70%がコンピュータ室のものであり、モバイル環境の整備が遅れている。しかし、たとえばタブレット導入を考えると、充電設備や保管場所について管理上、もしくは法律上(学校法、消防法など)問題がある。

 「このような教育へのICT利活用における現状や課題を考えるため、今回のパネルディスカッションでは、最初に総務省から政策の概要を解説いただき、次にフューチャースクールでの実践から得られた知見、現場の声を交えた議論をしていきたい。」と堀田氏は趣旨を説明した。

◆ICT活用に年齢は関係ない…総務省

 これを受け佐藤氏は「総務省はICTの特性を生かし、教育分野での活用を促進するためにこの事業を行っています。そのためフューチャースクールでは民間の協力を得ながら、1人1台のPC(スレート型、タブレット)、電子黒板、保管庫、無線LAN環境の整備を支援しています。」と述べ、フューチャースクール実証実験の取組みを紹介するビデオを見せながら「ICTによって学びが豊になり、新しい学習スタイルが生まれている」という効果を説明した。

 その具体例として、電子黒板を使ったクラス全体でのかるたづくり、美術の時間でのクレイアニメ制作、音声認識等を利用した英語の発音、児童・生徒のレベルに応じたパーソナライズドドリル、遠隔地をつないだリモート授業、タブレットの持ち帰りによる新しい家庭学習などをあげた。

 また、佐藤氏は、フューチャースクールの活動の中で「授業のうまい先生はICTを活用した授業もうまい。電子黒板やタブレット活用に年齢は関係ない」ということも実感したと言う。

 続いて、実証実験に参加した3校の報告となる。

◆子どもに自信をつけることができた…藤の木小学校(広島県)

 最初は藤の木小学校の小島教諭の取組みが発表された。同校では、「つながる」「広がる」「深め合う」という授業過程モデルを考え、それぞれの過程に適したICTの活用場面を考えて授業を展開した。たとえば、電子黒板を「つながる」という部分で一斉学習の充実のために利用し、タブレットPCを個別学習や協働学習の場面で活用するといった具合だ。

 実際の授業では、デジタル音源による楽器の個別パートの練習、繰返しの漢字練習、ドローソフトを利用した写生といった事例が紹介された。写生の授業は、特別支援学級で行われたものだが、ツールをうまく使うことで、「味わい深さを保ちながらパースがしっかりした絵ができ、子どもたちの自信につながりました。」という。そして、これらの授業ではベテラン教師の活躍も見られた。

 実践の中で工夫した点は、子どもたちがタブレットで遊んでしまったり、集中が途切れたりしないように利用ルール(学習規律)を作ったこと、タブレットの反射を抑えるために、ラップの芯で手作りスタンドを作ったこと。課題としては、来年度には政府からのICT支援員がいなくなるため、マニュアルの整備などを考えなければならないことだそうだ。小島教諭によれば、現在のところ専門知識のあるサポート要員やそのしくみは不可欠だという。
《中尾真二》

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