【プログラミング教育3】海外の現状…アメリカ、アイルランド、イギリスほか

 国内外を問わず、子どものプログラミング教育が盛んに行われている。第3回の本記事では、海外のプログラミング教育の広がりについて見ていく。

教育ICT その他
Code.orgサイト
  • Code.orgサイト
  • 2014年12月開催の「Hour of Code」で行われた授業の分布図
  • CodeDojoサイト
  • 総務省ICTドリームスクール懇談会第3回資料「教育・学習分野の情報化に係る国内外の動向と先進事例」の抜粋
◆イギリスを始め世界で活発化するプログラミング教育の必修化

 政策としてプログラミング教育に力を入れている国にイギリスがある。義務教育の5~16歳を対象に、2014年9月の新年度より、それまでのIT機器の使い方や情報モラルを学ぶ教科「ICT」が、プログラミングを含む教科「コンピューティング」へ改訂された。義務教育でのプログラミング教育の全国導入は、G20諸国の中では初となる。週1時間の「コンピューティング」の授業で行われるプログラミング教育は、スキルの習得というよりはコンピューターサイエンスを学ぶ手段として位置付けられ、ロボットを動かしたりビジュアルプログラミングを使ったりする授業が中心である。

 このほか、総務省の研究会資料(第3回ICTドリームスクール懇談会、2014年8月28日開催)によると、イスラエルやエストニア、オーストラリア、韓国、ニュージーランド、フィンランドにおいてプログラミング教育の必修化が実施または計画されている。特にイスラエルでは、2000年から高校3年間の必須科目である「コンピューターサイエンス」でプログラミング教育が行われるなど、早くから取組みを進めている。

 プログラミング教育が必修化されているといっても、日本のように学習指導要領に詳細な指導内容や時間などが記され、すべての学校が準拠するといった国はむしろ少なく、州や市、学校、指導者の裁量に委ねられる部分が多く、実際の開講率まではわからない。しかしいずれの国の政府も、次世代を生きる子ども達にとって、また自国の経済成長にとって、コンピューターサイエンスやプログラミングの教育が重要であるという認識は共通している。また、プログラミングを教えられる人員の確保が課題となっている点や、初等中等教育においてはプログラミングそのものを教えることよりも問題解決能力を育てたり創造性を高めたりすることを目的としたカリキュラムに努めている傾向も共通しているようだ。

 第4回では、10年以上にわたって子ども達にプログラミングのワークショップを提供し、ご自身も母親でいらっしゃるNPO法人CANVAS(キャンバス)理事長の石戸奈々子氏のインタビューをお届けする。
《柏木由美子》

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