【大学受験の落とし穴 5/5】過去問との相性を考えずに、志望校や併願校を決めるのは危険

教育・受験 受験

田中義貴講師
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 我が子の大学受験を失敗させないために、親はどのようなことに気をつければいいのか。家庭教師メガスタディの田中義貴講師に聞く連載第5回の最終回では、「過去問との相性を考えずに、志望校や併願校を決めるのは危険険」を紹介する。

(1)親の成功体験が子どもの足かせに
(2)進学実績のある中高一貫校に入学=“大学受験は勝ち組”ではない
(3)予備校選び~有名校の受験生が陥る「泥沼状態」とは
(4)安易に「センター利用入試」に走るのは危険
(5)過去問との相性を考えずに、志望校や併願校を決めるのは危険

◆連戦連日の無謀な受験日程を組むのはNG

--出願・併願について、これだけは絶対に避けた方がいいということがあれば教えてください。

 志望校決定や併願についての失敗パターンはいくつかあります。まず、絶対に避けてほしいものとしては、「5日連続で入試を受ける」など、無謀な日程を組むことですね。

 特に、現役生の場合で、しかもご家庭としても大学入試が初めてだと、入試本番の疲労がどれほどのものか想像しづらいので、こうした無謀な日程を組んでしまうことが多いかもしれません。

 もし、5日連続で受験するような場合なら、間の3日目を1日あけるなどの調整が必要です。仮に、5日連続で受けた場合、必ずどこかの受験日でパフォーマンスが落ちてしまいます。受験する本人がそう感じていなくても、プロの目からすると、実力が発揮しきれなくなってしまうのは明らかです。

 休息日もうまく設けて、本命校の受験で最高の結果が出せるような日程を立てることが大切です。

◆過去問との相性で逆転合格も

--過去問との相性はいかがでしょうか。

 私大受験の場合、過去問との相性はとても重要ですね。過去問と相性を考えず、偏差値だけを目安に手当たり次第に受けるのは危険です。過去問との相性というと曖昧ですが、具体的には次のような要素です。

 たとえば、そもそも、解答方式がマークなのか記述式なのか、ということや、問題の難易度、量、試験時間などさまざまあります。要は、本人にとって得点しやすい試験なのか、ということを見極めるということです。もっと言うと、受験生本人の学力や学習状況を踏まえて、入試本番に間に合わせられるか、ということもとても重要になります。

 ですが、なかには、本命校の入試がマークなのか記述なのか把握していないような受験生もいます。本命校は標準レベルの問題主体のマーク式なのに、難易度の高い記述模試の結果が悪いことに落ち込んでいる、なんてこともあったりします。

 笑い話のようですが、「やるべきこと」が把握できていないわけですから、かなり危険な状況です。

 受験生自身が、過去問との相性を見極めたり、それを踏まえて受験戦略を立てるのは難しいことですが、「過去問との相性」を的確に見極めたうえで「最適な受験勉強」ができると、驚くような逆転合格も可能になります。

--具体的に、過去の指導経験でそうした生徒はいましたか。

 もちろんたくさんいます。目標校に偏差値が届いていない受験生を、これまで数え切れないくらい合格させてきましたから。

 私自身でも驚くくらいの成果を出した指導例となると、5年ほど前の生徒が印象に残っています。偏差値40から青山学院大学の経営学部に合格した生徒です。私立の中高一貫校に通っていた生徒で、高3の夏から指導開始しました。指導開始時の学力は、進研模試で偏差値40しかありませんでした。

 本人は、青山、立教を志望していたのですが、常識的には合格は不可能な状況です。これだけ目標校と学力に差があると、どれだけ頑張っても、普通に勉強したのではとても間に合いません。ですから、過去問との相性を考え、狙いを定めた学部にピンポイントで対策することで合格に導くことができました。

--どのような対策を講じたのでしょうか。

 青山の場合、経営学部は、数学の入試問題は比較的攻略しやすいんです。基本~標準レベルの典型題が中心ですので、短期間でも合格点以上取れるようにすることは不可能ではありません。逆に、同じ青山でも経済学部の数学は、経営学部に比べると問題自体の難易度は高めです。

 結論から言うと、この生徒は、青山の経営学部意外は全部落ちました。不合格でした。ですが、青山の経営学部に狙いを定めて、徹底的に対策したことで、偏差値40からでも合格させることができました。

 この生徒の場合、数学は基礎的なことから抜けていました。学校の内容から身についていない状況でしたね。ですので、数IA、数IIBの基礎~標準問題だけを徹底対策しました。

--基礎だけといってもかなりの量がありますが、本番までの半年足らずで間に合うものでしょうか?

 これは、前々回(第3回)でもお話ししましたが、基礎~標準の問題でも、さらに絞り込むことができます。

 数学の場合、基礎~標準レベルの問題のなかで、「これを外したら入試問題がつくれない」という「コアな問題」があるのです。どの大学でも必ず出題される、さらに、それさえきちんと理解していれば、応用も効くような問題が存在するのです。

 そうした問題に絞り込み、予備校の一般的なカリキュラムの4分の1くらいの学習量まで絞り込めます。さらに、生徒の学習状況、未消化単元などに合わせて調整すれば、より絞り込むことが可能です。

 そうやって問題を絞り込み、半年間、そこを集中的に繰り返していきました。通常の勉強法の4倍以上の速さと密度で基礎のやり直しを行い、定着させるようにしたのです。

--成果はどのくらい出たのでしょうか。

 本人や親御さんも驚く結果が出ました。2学期の予備校の模試で、数学の偏差値は60を超えました。

−−2か月足らずで、偏差値が20以上伸びたことになりますね。それは凄い成果ですね。

 さらに対策を進めて、狙いどおり、青山の経営学部に合格することができました。さすがに指導開始時は青山とはかなり開きがあったので、心配がなかったといえばウソになります。ですが、本人もよく頑張ってくれましたし、希望どおり合格させてあげられて本当によかったです。

◆頑張っているのに結果が出ない受験生が多い

--この生徒の場合、「元から優秀だったのでは?」「うちの子には当てはまらないのでは?」と思われる親御さんも多いかもしれません。

 そんなことはないです。頑張っているのに、勉強のやり方が悪くて結果につながっていないことが多いんです。もっと上を目指せる実力があるのに、出しきれていない受験生は本当に多いですね。青山に合格したこの生徒の場合も、まさにこのケースです。

 予備校に通っていたのですが、数学の勉強のやり方はかなりひどいものでした。具体的には、予備校でもらう解答や解説を丸暗記しようとしていたのです。数学の解答は長いですから丸覚えできないし、そもそも理解していない丸覚えでは応用もききませんので意味がないです。つまり、どんなに頑張っても成果の出せないやり方で勉強していたわけです。

 逆に言うと、正しく効果的なやり方で勉強すること、過去問の相性の合う大学や学部に狙いを絞ることで、入試の結果をひっくり返すことは十分にできます。

 もちろん、早慶やMARCHレベルの上位大学となると、そう甘くはありません。ですが、やり方が悪いことに気づかずに、「うちの子には早稲田は無理」「MRACHは高望み」と諦めてしまうのは本当にもったいないです。

 余談ですが、この生徒の場合、クリスマスイブに腹膜炎で入院してしまったのです。入院当日に手術し、しばらく安静が必要な状態でしたので、元旦に退院するまで病院で指導していました。もちろん、体力的な問題もあり、病室で指導するのには限界がありました。点滴しながらだったので、1日2時間くらいしか勉強できていなかったと思います。ですが、本人は絶対諦めずに、自分で退院後の勉強計画を作成していました。そして、退院後にラストスパートで追い込みをかけて、見事合格を果たしました。

 大学入試の場合、受験ノウハウはとても重要です。また、情報もとても大切です。知らないと損をしてしまったり、反対に知っているだけで差がついてしまうことがたくさんあります。

 ですが、それ以上に諦めない気持ちはもっと大事だと思います。これは、長年指導してきて、痛切に感じることですね。

 我が子の大学受験となると、親御さんは心配や不安も多いと思います。ですが、効果的な受験勉強をすることで、現時点の学力よりも、数段上の大学に入ることも可能です。

 ですから、まずは、本人の可能性を親御さんが信じてあげてください。

【家庭教師メガスタディ】
 早慶上智、理科大、GMARCHなど、難関上位の私立大受験に特化し、合格者を毎年多数送り出す。

【田中義貴講師】
 元代ゼミ講師で、指導歴18年の家庭教師メガスタディ・トッププロ講師。東大理I、早稲田大学、慶應義塾大学、医学部など多数の合格実績をもつ。代ゼミ講師時代には東大理系・東大文系・医系クラス等を担当。
《編集部》

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