最近、お客様に商品の説明をしていると、「左利き用はありませんか?」と聞かれることが多い気がします。ひょっとしたら、3割ぐらいの人が左利きではないかと思うほどです。しかし、2014年12月にコクヨS&Tが実施した調査では、一般的に言われているとおり、左利きと両利きの人をあわせても約10%ほど。 そんな約10%の人たちは、右利き用に作られた文具を左手で使う際に、いろいろな不便を感じているようです。そのため、近頃は左利き用、あるいは、どちらの手でも使いやすい文具というのが増えてきています。そこで今回は、左利き用の文具を紹介したいと思います。◆一番求められている左利き文具はズバリ… 冒頭でも触れた、左利き用の有無を聞かれた商品は、はさみです。はさみでこの質問をされることは非常に多く、左利き用のはさみが存在します。皆さんは、左利き用のはさみは実際にどんなところが右利き用と違うかご存知ですか? 多くの方は、「ハンドルの形状が違う」というイメージをお持ちだと思います。もちろん、ハンドルの形状は、右利き用と対照的な形になっていて、左手で指が入れやすく、左手で握りやすくなっています。◆左利き用はさみの秘密は「刃のあわせ方」にあり しかし、もうひとつ大きな違いがあります。それは2枚の刃のあわせ方です。なぜ、刃の合わせを変えるかというと、理由は2つあります。 1つ目の理由は、紙を切っているところ(切り口)を見えるようにするためです。一般的に、右利きの人は右手ではさみを持ち、はさみの左側から切り口を見ます。このとき、紙の上にくる刃は切り口よりも右側にあり、左から見ると切り口がすっきり見えます。 しかし、同じはさみを左手で持ち、はさみの右から切り口を見ると、刃の後ろに切り口が隠れて見えません。刃の合わせ方が逆になった左利き用のはさみですと、左手で持って、はさみの右から見たときに、きちんと切るところが見えます。 2つ目の理由は、指の動きに合わせたかみ合わせにすることで、力を伝えやすくするためです。右利きの場合、親指は左方向に押すようにハンドルを握り、残りの指は右に引っ張るように握ります。そうすることで、切り口部分の刃のかみ合わせが締まり、よく切れます。 しかし、左利きの人が右利き用のはさみを使うと、力の向きが左右逆に伝わってしまい、切り口の刃のかみ合わせを広げることになり、切れ味が悪くなります。ここが左利き用はさみの最大のポイントです。 もちろん、はさみ以外にも、左利きの方に向けた文具があります。◆カッターナイフはスライダーに工夫 一般的なカッターは、右手の親指でスライダーを押すように持つと、刃が下に向くようになっています。左手で、これと同じように親指で押すように持つと、刃が上を向くので、切るときには、刃が下を向くように持ちかえる必要があります。 しかし、たとえば「カッターフレーヌ」という商品では、スライダーをカッター上部に配置することで、どちらの手でスライダーを動かしても、刃が下を向き、スムーズに握りなおすことができます◆定規では数字のふりかたに工夫 定規にも、左利き用が存在します。一般的な定規は、目盛りの数字が左から右に1、2、3、…とふられていますね。右手で線を引く人は、左から右に向かって線を引くので、それに合わせて数字が大きくなるように書かれています。 しかし、左利き用の定規は、左から右にふられる数字とは別に、逆向きの右から左に書かれた数字も書いてあります。左手で、右から左に線を引く場合も、下の目盛りを見れば、何センチ引いたかを把握しながら引きやすくなります。 身の回りのものは、右手で使うことを中心に作られたものがほとんどです。しかし、このように、最近は、右手でも左手でも使いやすいユニバーサルデザインの商品や、左手に特化した文具も増えてきていることがわかります。 あなたのまわりの文具は、右手専用でしょうか、左手専用でしょうか、あるいは、両手で使えるものでしょうか? そういう視点で、まわりの文具を見直してみるのも楽しいかもしれませんね。