タカラトミーが2014年6月の新商品として発売した幼児向けダッシュボード型アナログドライブシミュレータ「ぼくのカーナビドライブ」。本機は、いまから30年以上も前に発売され、大ヒットを記録した「ドライビングターボ」を現代版にアレンジしたものだ。特筆すべき点は、その名称にもあるとおり、カーナビで目的地を設定できる点。ナビにはPCやスマートフォン向けナビアプリとして有名な「NAVITIME(ナビタイム)」が搭載されている。そう、本機はタカラトミーとナビタイムジャパンのコラボレーションによる企画商品という位置づけ。タカラトミーの公式オンラインショッピングサイトでの販売価格は税込み4838円となっている。◆設定された目的地に向かってドライブNAVITIMEというと、時代の先端を行く機能を搭載したナビゲーションというイメージだが、本機は30年前のドライビングターボをベースとしてカーナビのエッセンスを取り入れた仕様になっている。イグニッションキーをひねると、クランク音とともに勇ましくエンジンがかかり地図画面のバックライトが点灯する。それだけでなく、ETCカードの挿入確認音声が出るなど、実車さながらの念の入れように少々驚く。次にシフトポジションをNからDに入れれば走行音とともに地図が動き出し、「ナビタイムで目的地を検索しました」というアナウンスが流れ、目的地が自動的に決定される。目的地は、「飛行場」「動物園」「東京駅」「富士山」「遊園地」「ショッピングモール」の6つから選ばれるようになっており、曲がり角手前にさしかかると「この先、右折です」「この先、直進です」というボイスナビゲーションも提供されるという本格仕様だ。しかしここで「右折です」という案内に従わずに直進しようとすると、道が途切れたところで「ガガガガガ」という異音とともに地図が動かなくなり、スタックしてしまう。ステアリングを切って自車を道路まで戻せばふたたび前進する。◆お約束のターボモードもシフトポジションにはDの次にTがあり、これはお約束のターボモード。といっても単に地図の動きが速くなるだけだ。ボイスナビゲーションに従って、目的地の前まで来たところでシフトポジションをNにして停止すれば、それぞれの目的地に応じた効果音が出る仕組みになっている。停止せずに目的地を通過してしまうと新たに目的地が設定されてドライブが継続される。本体にはウインカーやETCカードスロットもあるが、ウインカーは動くものの表示が出るわけではないし、ETCカードスロットは挿入口がふさがれている。なお、パッケージには本体のカードスロットに合うサイズのETCカードが切り取れるようになっており、企画段階では挿入できるようになっていたのかも知れない。なお、イグニションONから何も操作なしに3分間放置すると自動で電源がOFFになるオートパワーオフ機能が備わるあたりも今の時代らしいポイントだ。◆刷り込み効果は抜群?クルマにはかなり乗り慣れている(もちろんチャイルドシート)筆者の3歳の子どもに実際に操作させたところ、キーをひねってシフトレバーを操作して前進するところまでは操作できるが、目的地に到着したタイミングでシフトレバーをNに戻す操作を理解できないようで、ひたすら延々とドライブを続けては目的地の再設定を繰り返したり、あえて縁石にスタックさせて異音を出して喜ぶ、という遊び方をしていた。本機の趣旨である「カーナビドライブ」とは若干異なる楽しみ方だった。さて、この「ぼくのカーナビドライブ」、30代より上の世代であれば最初は懐かしさの余り幼少の思い出と共にドライブを楽しめるが、当然ながら子ども向けの作りなので、ものの数分で飽きる。だが、子どもに一定時間使わせると、「このさき、うせつです」という言葉を無意識のうちに繰り返すようになってしまった。刷り込みとは恐ろしい。ナビタイムとタカラトミーの企画勝ちといったところか。発売直後にもかかわらず、他のネットショップではすでにかなり安価で出回っているので、ちょっとしたネタに買ってみるのも悪くない。