『ジュゼップ 戦場の画家』は、1939年スペイン内戦により、避難先のフランスの強制収容所で難民となった実在の画家ジュゼップ・バルトリが、愛する人との再会を胸に、どんな現実も“描く”ことで生き抜いた感動の実話だ。
メガホンをとったのは、フランスの全国紙「ル・モンド」などのイラストレーターとして活躍してきたオーレル。
ジュゼップが収容所で記した鮮烈なスケッチに触発されて、10年の歳月を費やしてついに本作を完成させた。
長編アニメーション監督デビュー作にして、「セザール賞」や「リュミエール賞」などヨーロッパの映画賞を総ナメ。「東京アニメアワードフェスティバル2021」で審査員をつとめた片渕須直監督も絶賛し「コンペティション部門長編アニメーショングランプリ」を見事獲得したほか、「文部科学省選定(青年向き)」「文部科学省特別選定(成人向き)」にも輝いた。
今回、オーレル監督のインタビューが到着。あわせて、「本作はデッサンがテーマなので、マンガ・アニメ大国の日本での公開は格別の思いです」と語るメッセージ動画も公開されている。
<以下、インタビュー掲載>
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難民として強制収容所で過酷な日々をおくったジュゼップ・バルトリを描いた本作。一見重くなりがちなテーマだが、オーレル監督は「収容所での暗いシーンは、映画のメインテーマではなく、ジュゼップの人生に深みを与える、一種の時代背景として描いています。有刺鉄線を越えた友情、フリーダ・カーロとの恋のシーンをより濃密なものにするためのコントラストとして描きました」と演出について語る。
かつて収容所の憲兵だったセルジュの孫であるヴァランタン。このキャラクターで表現したかったことについて、「スペイン内戦については、スペイン、フランスでほとんど語られてこなかった歴史です。セルジュの過去を通して、戦争の悲惨さを語り継ぎ、歴史を継承していくことの大切さを表現したかったのです。また、ヴァランタンを通してこの物語が進んでいくので、彼は言わば“観客の視点”を体現しているのです」とキャラクターに込めた思いを話した。
最後に影響を受けたアニメーション映画について、オーレル監督は「アニメというジャンルに縛られず、あらゆる作品からインスパイアされています。宮崎駿監督をはじめ、最近観た片渕須直監督の『この世界の片隅に』や、ケン・ローチ監督、ロベール・ゲディギャン監督の作品から影響を受けています」とコメント。
(C)Céline Escolano