「奨学金を借りてでも大学進学した方がいい」が過半数、学力より学費が問題に

 教育情報を提供するライセンスアカデミーは、全国の高等学校の進路指導を担当する教諭を対象に「大学の学費に関するアンケート」(小林雅之・東京大学教授に調査協力)を実施した結果を発表した。

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希望進路の変更・断念をする原因となるのはどのようなものが多いですか(複数回答)
  • 希望進路の変更・断念をする原因となるのはどのようなものが多いですか(複数回答)
  • 補足/大学進学率に注目して分析
  • 貸与型奨学金や教育ローンを借りてでも、進学した方がいいと思いますか?
  • 大学の奨学金制度は今のままで十分機能していますか
  • 保護者の奨学金などの学費支援に関する理解度はいかがですか
  • 保護者会の保護者の出席状況はいかがですか
  • 先生方が来てほしいと思われる保護者は保護者会に参加していますか
 教育情報を提供するライセンスアカデミーは、全国の高等学校の進路指導を担当する教諭を対象に「大学の学費に関するアンケート」を実施した。FAXによる質問用紙調査、有効回答数は1,295校(国公立934校・私立361校)、調査期間は2010年8月26日〜9月10日(小林雅之・東京大学教授が調査協力)。

 「大学に行きたくても行けない生徒たちは、学力より学費の制約が強くなってきたと思いますか」という質問では、全体では「そう思う」が72.1%となり、昨年と比べて2.8ポイント高くなっている。担当教諭が勤務する高校の大学進学率別にみてみると、進学率90%以上の高いところでは「そう思う」55.4%に対して、進学率30%未満の低いところは78.3%と、その意識が強くなる傾向にあるようだ。

 「希望進路の変更・断念をする原因となるのはどのようなものが多いですか」との質問では、「生徒の学力」が第1位で79.9%だが、わずか3.6ポイントの差で「学費や入学後の費用」が挙がっている。大学進学率別にみると、進学率70%以上の高校では、8割以上が進路変更の要因は「学力」だが、進学率の低い高校では「学費や入学後の費用」の割合が高い傾向にあり、進学率30%未満の高校では88.0%となっている。

 「貸与型奨学金や教育ローンを借りてでも、進学したほうがいいと思いますか」という質問では、全体で「そう思う」と答えたのは56.6%と半数以上となった。進学率別にみると、進学率が高い高校では「そう思う」という回答が、低い高校の倍近いとうことがわかる。

 反対に、「貸与奨学金は返済が不安なので生徒に推薦できないと思いますか」という質問に対しては、全体では「どちらでもない」が42.7%と最も多く、「思わない」が33.0%で「思う」24.1%を上回り、推薦できると答えた割合のほうが高くなっている。さらに大学進学率別にみると、進学率が高いところでは奨学金を薦めることに抵抗感は強くないようだが、進学率が低くなると推薦しにくいという回答が増えている。

 大学の奨学金制度については、十分機能していないという回答が5割近くあった。また、奨学金に関する大学等からの情報提供については、「情報過多で時間的に処理しきれていない」「理解できない内容がある」という回答が全体の6割以上あった。

 「保護者の奨学金などの学費支援に関する理解度はいかがですか」という質問では、「ほとんどが理解している」と答えたのは1割足らずにとどまり、保護者の理解度は低いようだ。また、保護者会の出席状況については、参加率「30%〜50%」が26.5%、「50%〜70%」が25.5%と多くなっている。また、先生方が来てほしいと思われる保護者は保護者会に参加していますか」という質問では「ほとんど来ていない」が12.8%、「あまり来ていない」が41.6%となり、同社では、進路指導教諭による保護者への情報提供の場をもつことの難しさが伺えるとしている。
《前田 有香》

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