【被災地で学習支援】東大がボランティアを継続する意味とは

 東日本大震災から3年半の復興活動を経て、目に見えるニーズは無くなりつつある。訪れるボランティアも減少の一途を辿るが、現在もなお東京大学は学生ボランティア支援を続けている。

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学生ボランティアの運営を担うUTVC(東京大学復興ボランティア会議)
  • 学生ボランティアの運営を担うUTVC(東京大学復興ボランティア会議)
  • UTVC
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  • UTVC副代表を務める佐藤寛也さん
  • 現在の岩手県釜石市。建造物が流された跡地が駐車場となっている
  • 現地での学習ボランティアのようす。参加を繰り返す学生も増えている
  • 現在の岩手県釜石市
  • 現地での学習ボランティア
 東日本大震災から3年半の復興活動を経て、目に見えるニーズは無くなりつつある。訪れるボランティアも減少の一途を辿るが、現在もなお東京大学は学生ボランティア支援を続けている。

 東京大学がボランティア派遣を止めないのはなぜなのか。

 この問いに、学生の視点から答えてもらうべく、学生ボランティアの運営を担うUTVC(東京大学復興ボランティア会議)に、活動継続の意義を聞いた。

◆次の災害に備え、ボランティア派遣のノウハウを蓄積したい

 もともと“ボランティアを行きっぱなし、やりっぱなしにしたくない”と感じたボランティア経験者の集まりだったというUTVC。

 現在UTVCの代表を務める河底秀幸さんは、「わたしたちは中途半端に撤退するような活動をしたくなくて。活動の3本柱のひとつに“継続の意義を伝える”ことをそもそも含めています。継続することによって、災害が起きた際に人の動きがどうすればスムーズになるか、“派遣のノウハウ”が蓄積されていくと考えていて。このノウハウを今後いつ起きるかわからない災害に活かしたいんです。」

 ではノウハウの蓄積とは何で、実際に何をしているのか。

 「一つは、これまでの参加者に書いてもらった報告書を集積、分析し一つのデータとしてまとめることです。二つめは、紙上のコミュニケーションだけに頼るのではなく、参加者に、ボランティアが終わった後に実際にワークショップに来てもらうことです。そこで出た意見を被災地と共有し、よりよい活動をかたち作っているところです。」(河底さん)

 「具体的な例でいうと、これまで被災地での支援対象の学生と、派遣した学生の比がアンバランスで、学生側に物足りない思いをさせてしまっていたことがありました。これを受けて派遣先各地に何人いるのか、全体的な人数バランスを把握したうえで大学生を配置するようにしたなど、小さな改善を重ねてきています。」(UTVCメンバー冨田真緒さん)

 こういったボランティアノウハウを“学生”がもつ意義は大きい。なぜならボランティア運営を学生が担うことで、より多くの学生を巻き込め、ボランティアに関わる多くのステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行えるからだという。

 また、現在東京大学には震災時の“人”のマネジメントに特化した部局がない(副代表佐藤寛也さん)ことも理由にあげられるという。

 「現状では大学の職員が本来の部署と(ボランティア支援班事務局を)兼任するかたちになっていて、職員の方への負担も大きいんです。そういった意味でも、われわれ学生の自治力が必要です。今後大学生が自分たちでボランティアに行きたいと手を挙げたときに対応できる機関が求められていると考えています。」(佐藤さん)。

◆被災地の子どもだけでなく、大人との関わりにも挑戦したい

 被災地への復興活動に関しては、元々東京大学には救援復興支援室があるが、同室は理系の研究室の資質がどういったかたちで役立てるかに関する情報を集約するにとどまる。

 UTVCは今回の東日本大震災を通じて、“人の派遣調整に時間がかかりすぎている”などの問題を解決すべく、人の派遣に関わるノウハウを蓄積することでスムーズなボランティアに向けた動きを進めている。

 2014年度から活動の運営裁量も大幅に増えたというUTVC。今後は新たな枠組みのもとで、これまでの教育系ボランティアから、被災地の大人とも関われるようなボランティアまで、その活動フィールドを拡大させている。
《北原梨津子》

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