2018年のお正月、大学・高校ラグビーを振り返る

 箱根駅伝と並んで、「正月恒例の…」という枕詞がつく新春スポーツとして、大学ラグビーと高校ラグビーもあげていいであろう。2018年の全国大学ラグビー選手権大会と全国高校ラグビーフットボール選手権を振り返る。

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2018年正月の高校ラグビー
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箱根駅伝と並んで、「正月恒例の…」という枕詞がつく新春スポーツとして、大学ラグビーと高校ラグビーも挙げていいであろう。

大学ラグビーは全国のリーグ戦、対抗戦の上位チームが終結して全国大学ラグビー選手権大会が12月から開催され、年の瀬を前にベスト4が決定する。そして、毎年正月2日に準決勝、最初の週末に決勝戦が行われる。

高校ラグビーは高校総体の一環でもある全国高校ラグビーフットボール選手権が近鉄花園ラグビー場で、毎年年末の27日から始まり、元日に勝ち残った16校による3回戦か行われ、3日が準々決勝、1日空けて準決勝という日程で行われる。

いずれも出場校は、正月までは勝ち残っていることを第一目標として掲げているところが多い。そんな大学と高校の準決勝が行われる秩父宮と花園に足を運んでみた。

多くのファンが詰めかけた秩父宮ラグビー場

●第54回全国大学ラグビー準決勝
明治大 43(7-14/36-7)21 大東文化大
帝京大 31(14-7/17-5)12 東海大

大学では帝京大がここ8年連続で優勝しており、今大会で9連覇がかかっていた。それをどこが阻止できるのか、最も帝京大との距離を縮めていると言われている東海大が準決勝でぶつかった。また、かつて80~90年代の大学ラグビーを引っ張っていた明治大と大東文化大も今年はベスト4に進んでいた。

大東文化大のモスグリーンのユニフォームが明治大の紺白と共に正月の舞台に姿を見せるのは久しぶりだ。古くからのラグビーファンにとっては、このふたつのジャージが正月の秩父宮で激突をしている光景に、感慨深い思いだったという人も少なくなかったようだ。ともに「復活」という言葉が用いられる両校だが、そんな思いがスタンドには十分にあふれていた。

正月の舞台で大東文化大と明治大が激突
試合は、明治大がLW山村君(2年・報徳学園)の素晴らしい突破などでトライを重ねていき、大東文化を倒した。対抗戦2位ながら19年ぶりの決勝進出を果たして、詰めかけた多くの明治ファンを喜ばせた。スタンドでは、紺白の小旗があちらこちらで誇らしく振られていた。

2年連続して、決勝で帝京大の壁に泣かされてきた東海大。今年こそはという思いで挑んだシーズンだったが、リーグ戦では大東文化大に屈して2位での通過ということになり、対抗戦1位の帝京大とは準決勝でぶつかることとなった。

試合開始早々に、RW小野木君(2年・大阪産業大附)が走り抜けて先制トライを奪った東海大だったが、その後は帝京大の圧力にじりじりと押されていってしまった。結局、最後の残り1分になって、もう一本トライを返すことは出来たものの、間の78分は、攻めても攻めても帝京大の分厚いDFを突破することが出来なかった。逆にわずかなスキを突いてカウンター的に攻め込んでくる帝京大の攻撃に屈してしまった。

やはり、帝京の壁は厚かったと言わざるを得なかったのだが、決勝でも帝京は明治にリードを奪われながらも、最後には力づくでひっくり返して9連覇を達成。不動の王者ぶりを改めて全国のラグビーファンに示すこととなった。

一方、高校ラグビーは聖地とも言われている東大阪市の近鉄花園ラグビー場で開催された。WC(ワールドカップ)を翌年の2019年に控えてスタンドの再整備が行われており、現在は電光掲示板などのスタンドが工事中なのだが、大会には支障をきたさないようにという方針でもあり、回収の建設工事途中で足場が組まれている中で電光板も機能していた。バックスタンドは既に整備ずみで、椅子には青字で「HANAZONO」の文字が浮かび上がっている。

椅子には青字で「HANAZONO」の文字

●第97回全国高校ラグビー準決勝
東海大仰星 21(14-0/7-14)14 東福岡
大阪桐蔭 21(7-0/5-7)7 桐蔭学園

焦点は今年も下馬評はナンバー1で、連覇を狙う東福岡を東海大仰星が止められるのかということだった。立ち上がりからの10分は東海大仰星が東福岡の攻撃に耐えるという形だった。展開が変わったのは13分、東福岡が22mライン付近のPKでスクラムを選択。ところが、このスクラムの押し合いからボールがこぼれて、東海大仰星のSO三村君が拾うと、そのまま自陣から約70mを走り切ってゴール中央に先制トライ。

これで勢いづいた東海大仰星は21分にもラインアウトからモールで押して、FWがキープしてのトライ。河瀬君のゴールもしっかり決まり前半は14点。後半も最初のトライは東海大仰星でFL魚谷君が持ち込んだ。

しかし、さすがに東福岡も反撃する。11分と13分に相次いでトライ。残り15分以上を残しての1本差はどう転ぶかわからない展開となったが、東海大仰星は10分以上を自陣で守り切り、選手たちの気迫が東福岡の攻撃を何とか凌いで連覇を阻止した。

連覇を狙う東福岡と東海大仰星の対戦は辛抱戦に
東西の“TOIN”対決となった続く第二試合。やはり中盤の守り合い、しのぎ合いが続く辛抱戦となった。さすがにこのあたりのレベルになってくると、そう簡単に突破は出来ないので、どうしてもぶつかり合いや22mライン付近での攻防が多くなる。そうした中で、大阪桐蔭が前半9分に挙げたトライをキープして前半終了。

後半も、早々の2分に大阪桐蔭はRW美登路君が左中間にトライを追加した。ところが、そこからは桐蔭学園が怒涛の攻めでボールをキープし続ける。24分に1本返して1トライ差となる。そしてロスタイムに入ってから、およそ5分、桐蔭学園が継続して攻め続けていたが、大阪桐蔭のDFが何とかこらえてこらえてという展開。そのまま何とか守り切った。野球で言えば、1点差の9回の守りで無死満塁のピンチを凌いだというような感じであろう。

こうして決勝は19年ぶりの大阪決戦となったが、東海大仰星が大阪桐蔭を27対20で抑えて2大会ぶり5回目の優勝を果たした。それにしても、高校ラグビーは大阪勢はレベルが高いということを再認識させられた。大阪桐蔭は高校女子バスケットでも全国優勝しており、高校サッカーも全国に出場していた。そして、野球も今春のセンバツでは優勝候補筆頭となるであろうし、球技の強さに驚かされる。

【THE INSIDE番外編】王者の勝負強さ、連覇を阻んだ意地…見どころ満載だった2018年正月の大学ラグビー・高校ラグビー

《手束仁@CycleStyle》

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