夏休みが終わり、中学受験に備えて長期休暇中も勉強に励んだ小学6年生は、志望校を絞り込み、過去問を取り揃え始める時期だろう。
人気校・難関校の中学入試過去問題集を取り扱う出版社として、知名度と信頼度を得ている声の教育社・後藤氏によると、コロナ禍も3年目となる今年、過去問題集の出庫状況に、これまでとは違った変化が起こっているという。
ピュアな気持ちのころに学校見学ができなかった現小6
例年は8月ころから売れ始め、9月以降から本格的に売り上げを伸ばす過去問題集だが、今年の8月は売れ行きの鈍いスタートとなったと同氏は語る。「学習塾の方からの情報によると、志望校をまだ決めきれていない6年生が多いようです。あくまで私の推測ですが、現小学6年生は、中学受験勉強をスタートした4年生のころからコロナ禍に入ってしまったため、偏差値を気にせずにいられる4・5年生の段階で、リアルな学校見学という体験ができていない子が多いと思われます。実際に学校へ行き、校風を肌で感じ、ピュアな気持ちで憧れる学校を見つける経験がないまま、6年生になってしまったのではないでしょうか」(後藤氏)
コロナ禍しか知らない現小6の中学受験生は、これからどうモチベーションを維持していくのかが課題だと同氏は指摘する。全体的に受験者数は増加、倍率も上昇している中学受験に備えてどう志望校を絞り込んでいくか。志望校選びのヒントとして、声の教育社の公式YouTubeチャンネル「声教チャンネル」では、過去問題集の8月末までの売れ行きがすでに昨年を上回っているという、勢いを感じる学校を紹介している。
動画に出演している同社の三谷氏は、「夏期講習前の公開模試の集計ではサピックスオープンの男子が特に増えていました。模試で難関校志望の男子が増えている傾向がみられることと、開成や武蔵といった男子の難関校の過去問題集の、8月末までの売れ行きが昨年比で伸びていることは相関関係があるかもしれません」と語る。
動画では、男子校・女子校の別学校の過去問題集の売れ行きが目立つことや、2026年度から大学附属校・共学校に変わる現男子校の過去問題集の爆発的な売れ行きについても言及し、その人気の理由を三谷氏と後藤氏が丁寧に分析している。
10代の貴重な6年間を過ごす場所となる学校選び。志望校が定まってくるとことで、子供のモチベーションアップも期待できるかもしれない。ぜひ過去問の売れ行きや、気になる学校の出題傾向も参考にしていただきたい。