東京大学は27日、社会規範の強さに関する文化比較研究の結果を発表した。 同研究は、世界33ヵ国を対象に実施した調査をもとに、厳しい規範があり、それを逸脱すると罰を与えられるような窮屈な文化と、反対に規範が弱く、それを逸脱したときに与えられる罰も緩い文化という軸で国際比較を行ったもの。 その結果日本は33ヵ国中、最も窮屈な方から8番目という結果になった。発表者である東京大学大学院人文社会系研究科 社会文化研究先行 山口勧教授は、「日本に関して言えば、世界の中で他の文化と比べてより窮屈な文化の範疇に入ること、そして、その原因は、歴史的に経験してきた自然および人工的な脅威(たとえば、地震などの自然災害の頻度、人口密度など)の程度が世界の平均よりも高かったことにある、と考えられる」とコメントしている。 同研究では質問紙による聞き取り調査を実施。「この国には、人々が従わなくてはならない社会的規範がたくさんある」、「この国では、誰かが不適切な仕方でふるまえば、他の人がそのことを強く非難する」などという記述に対してどのくらい賛成するかを尋ねた。これらの質問から測定された窮屈さの指標をもとに分析を行った結果、その文化が受けてきた脅威(人口密度、食料や水がどのくらい容易に得られるか、国際間の領土紛争、転載や伝染病など)が強いほど、その文化の窮屈さの程度も高いことが確認されたという。 この研究結果を発表した論文「Differences between Tight and Loose Cultures」は、雑誌「Science」の5月27日号に掲載されている。 以下は調査対象の33ヵ国(窮屈さの指標の高い方から)1.パキスタン2.マレーシア3.インド4.シンガポール5.韓国6.ノルウェー、7.トルコ8.日本9.中国10.ポルトガル11.旧東ドイツ12.メキシコ13.英国、14.オーストラリア及びイタリア16.旧西ドイツ17.アイスランド、18.フランス及び香港20.ポーランド21.ベルギー22.スペイン23.米国、24.オーストラリア25.ギリシャ及びニュージーランド27.ヴェネズエラ、28.ブラジル29.オランダ30.イスラエル31.ハンガリー32.エストニア、33.ウクライナ