シリア紛争、教育機会喪失で2,700億円の経済損失

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銃弾の穴の空いた黒板(シリア国内)
  • 銃弾の穴の空いた黒板(シリア国内)
  • シリア国内の避難民キャンプの子どもたち
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 国際的な子ども支援を行う団体セーブザチルドレンは、5年目に突入したシリア危機により、シリアで教育が失われていることによる経済的損失を試算し報告した。シリアの子どもたちが教育を受けられずに就労した場合、経済的損失は毎年2,700億円に達する見込みだという。

 3月15日でシリア危機は5年目に突入した。紛争前、シリアではほぼすべての子どもたちが小学校に在籍し、15~24歳の識字率は95%に達していた。しかし、紛争勃発後、シリアではおよそ300万人の子どもたちが学校教育を受けられない状況にあり、就学率は50%に減少。紛争の激しいシリア北部の都市アレッポでは、就学率はわずか6%に落込み、難民の子どもたちの半数は一切の教育を受けることができずにいるのが現状だという。

 軍事衝突が頻繁に発生している激戦地では、2014年9月時点でおよそ64%もの学校が損壊していると推定されている。シリア国内の教育システムを修復するには、学校の修繕にかかる直接的費用、学校設備や備品の補充費用、代替教員の研修費用などを含み、3,580億円以上のコストがかかるとの試算がなされた。

 また、子どもたちがこのまま教育を受けられず「失われた世代」となった場合、将来、本来であれば得られた収入のおよそ3分の1しか得られない見込みだという。将来高い収入を得られる仕事に就ける可能性が絶たれることで、シリアの国内総生産(GDP)はマイナス5.4%成長となり、シリア経済におよぼす損失は毎年2,700億円に達する試算だ。

 セーブザチルドレンでは、このような状況を受け、2015年をシリアの子どもたちの将来を軌道に戻す年と定め、シリア国内に留まる子どもたち、国外に避難している子どもたちの両方を対象に教育対応を重要な要素として優先していくこと、そして教育への攻撃を終わらせ学校を安全な場所にするよう、紛争当事者や援助国、難民受入国、国際社会全体に訴え続けていくという。
《畑山望》

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