【大学受験】18歳人口減少、大学3割が学力より「学生数」優先

 河合塾は高校の先生向けの進路情報誌「Guideline(ガイドライン)」の2016年11月号を発行。特集では、全国の大学を対象にした河合塾と朝日新聞の共同調査「ひらく 日本の大学」の結果を掲載し、高大接続改革や大学運営についてなどまとめている。

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 河合塾は高校の先生向けの進路情報誌「Guideline(ガイドライン)」の2016年11月号を発行。特集では、全国の大学を対象にした河合塾と朝日新聞の共同調査「ひらく 日本の大学」の結果を掲載し、高大接続改革や大学運営についてなどまとめている。

 「ひらく 日本の大学」は、2011年から実施。2016年度は、国公私立大学746校を対象に6~7月に行われた。例年調査している教育内容、大学卒業後の進路のほか、高大接続改革を調査のトピックの一つとして加えている。また、送り出す高校側についても高大接続改革についてどう受け止めているかを聞くために「高校版」も実施。さらに、大学選びの情報として、教員1人当たりの学生数や初年度納入金のほか、専門職業大学、国際化、就職活動など多岐にわたる内容になっている。

 大学入学者選抜における改革として、「大学入学希望者学力評価テスト」の利用について、「積極的に利用したい」30%、「内容によっては利用したい」63%となり、利用を考えている大学は9割あった。「積極的に利用したい」と回答した国公立大学は6割だった。高校版では、すべての国公立大学で「大学入学希望者学力評価テスト」を利用するべきと回答した高校は6割にのぼった。

 記述式の導入については、6割の大学で「必要」と回答している一方で、「実現可能性」については「低い」とする見方も6割ほどあった。記述式問題の実施時期は、「1月(マークシート式問題同日)」が59%でもっとも多かった。高校版でも、記述式の導入については、6割ほどの高校で「必要」を考えているが、実現については6割が「厳しい」とみている。

 2018年度は18歳人口が大幅に減少し、大学運営は厳しさを増すことが考えられることから、学士課程の入学定員を「増やす傾向」と回答したのは20%。「現状維持」は62%、「減らす方向」5%となった。「増やす方向」と回答した大学の設置者別にみると、私立大学で24%、定員別では3,000人以上が25%、1,000~2,999人は27%となった。入学者数は私立大学や入学定員が多い大学で「増やす方向」の割合が高くなっている。

 授業料については、「増額する方向」と回答したのは9%、「現状維持」65%、「減額する方向」2%となった。「増額する方向」と回答したのは国公立大学より私立大学のほうが多く、入学定員が多いほど「増額する方向」の割合が高かった。

 また、18歳人口が減る中で、入学者の学力の保証と学生数のどちらかを重視するか聞いたところ、「入学者の学力の保証」61%、「学生数の確保」31%と回答。設置者別に「学生数の確保」と回答したのは私立大学がもっとも高い37%となり、入学者定員別にみると定員の少ない大学ほど学生数の確保を重視する割合が高くなった。

 「Guideline(ガイドライン)」11月号は、特集2として「国立大学改革―学部改組の動向を中心に―」なども掲載。記事の一部はKei-Netで閲覧できる。
《田中志実》

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