「子どものやる気」が大切…ベネッセに聞く変わる英語教育と対策

 学校における英語教育の変化や、保護者ができるその対策について、ベネッセコーポレーションで「こども英語教室」を担当する、こども英語教室事業部 部長 高橋勝氏と英語戦略推進部 商品企画課 セクションリーダー 真下京子氏に話を聞いた。

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ベネッセコーポレーションの高橋勝氏と真下京子氏
  • ベネッセコーポレーションの高橋勝氏と真下京子氏
  • こども英語教室事業部 部長 高橋勝氏
  • 英語戦略推進部 商品企画課 セクションリーダー 真下京子氏
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  • タブレットで4技能を測定できる小学生~中学1年生向けの英語コミュニケーションテスト「GTEC Junior」
  • 「GTEC Junior」受験風景
 英語教育の早期化が進む中、保護者の英語教育に関する関心はますます高まるばかりだ。また、それにともない不安感をもっている保護者も増えているのではないだろうか。学校における英語教育の変化や、保護者ができるその対策について、ベネッセコーポレーションで「こども英語教室」を担当する、こども英語教室事業部 部長 高橋勝氏と英語戦略推進部 商品企画課 セクションリーダー 真下京子氏に話を聞いた。

◆小学校でも英語が評価の対象に

--小学校の英語教育は、いつからどのように変わりますか。

高橋氏:すでに文部科学省が明らかにしているように、新しい学習指導要領に基づく授業が2020年度(※)から順次導入されます。新しい学習指導要領では「思考力」「判断力」「表現力」という未来の状況に対応する3つの力の育成を重視していて、英語は3~4年生で必修化、5~6年生で教科化されます。教科になるということは評価が付く、成績が付くことになります。

 導入開始は2020年度ですが、移行措置の期間が2年あります。そのためベネッセこども英語教室では、2018年度(※)をターゲットに教材やカリキュラムの改訂を進めています。また、1、2年生は関係ないかというと、英語に慣れ親しむ「外国語活動」を1年生から始めている自治体もあり、動きが注目されます。

※2018年度の3年生は2009年生まれ、5年生は2007年生まれ。2020年度の3年生は2011年生まれ、5年生は2009年生まれ。

◆「英語を使う経験」が大切に

--英語の授業はどのように変わりますか。

高橋氏:一番の違いは「英語を使う経験」が大切になってくることです。これまで主流であった「読み」「書き」による文法・訳読式と違い、新しい学習指導要領では「聞く」「話す」の経験も含めた4技能をバランスよく育成していくことが狙いとなっています。

 すでに2019年度から中学3年生を対象とした英語4技能の全国的な学力調査が実施されるといった情報がある中で、小学校でも単にプリントで学習するといったことではない指導法になっていくと思います。

 5~6年生で教科としてどう評価を付けていくかはまだ検討中ですが、「思考力」「判断力」「表現力」が学習指導要領の大きな軸としてありますので、英語で臆せずコミュニケーションする姿勢や、間違いを恐れずどんどんコミュニケーションしていく積極的な姿勢、学びに向かう力といったものが重要になってくるのではないでしょうか。

--学習指導要領改定以前の子どもは不利になりませんか。

高橋氏:有利・不利のゴールを何にするかにもよりますが、たとえば学んだことを生かして先生に伝える、友達に英語で伝えるといった「機会格差」は出てくると思います。それをなくすには、英語でコミュニケーションする経験が必要ですから、どんな形でも英語に触れる機会をもつことが大切になってきます。

 たとえば英語教室に通えば、週に1時間のレッスンなら1年間で42時間、3年間で120時間以上の経験が得られます。英語教室に通わなくても、たとえば自治体主催のイベントに参加したり、あるいは外国人の方と接する機会をもつなど、英語でコミュニケーションする機会を作っていくことが重要だと思います。

 その際に気を付けることは、できる限りハードルを低くすることです。いきなり厳しい環境から始めるのではなく、少しずつ英語に触れ、お子さまが英語に興味を持つ環境をつくってあげることが大切です。

◆英語教育へのニーズに変化

--子どもを英語教室に通わせる理由にはどのようなことがありますか。

高橋氏:以前は未来投資として、「英語ができるようになると将来困らないかもしれない」という、漠然としたものでしたが、今は小学校から英語教育がスタートすることを知り、幼児や小学校低学年のうちから英語に触れさせたいというニーズが高くなっていると感じます。

 また、保護者ご自身がいろいろな英語に触れられる場所にお子さまを連れて行ったり、教えたりできればよいのですが、それができないということで、教室に入れば教室主催の各種イベントに参加させられることも理由の1つになっているようです。

 さらに、英語教育に関する動向や最新ニュースが得られることをメリットに感じている方も多いですね。ベネッセこども英語教室では、お子さまの年齢別に英語の履修内容が1年ごとにどう変わり、それに向けて今何をしたらよいかが一目でわかる早見表付きの保護者向け資料お配りしていますが、大変好評です。

--ベネッセこども英語教室の特徴やレッスン内容を教えてください。

高橋氏:私達はこれまでも「世界とつながる力」を養っていくことを理念としてきました。ベネッセこども英語教室は、ひとりひとりの成長・発達段階に合わせ、母国語と同じように「聞く」「話す」「読む」「書く」の順で言語習得が進む「ナチュラルアプローチ」が特徴です。

真下氏:2018年4月には、小学校英語の教科化を意識した小学4年生、5年生のコースをリリースします。たとえば4年生のコースでは、毎レッスン新しいストーリーに取り組みます。ストーリーを入口に、大意把握する力やキーフレーズを使って相手に伝える力を養います。

 「書く」に関しては「フォニックス」と呼ばれる“音”からのアプローチに基づき、1年生の時点から音のルールを整理していく学習を細やかに行っています。そのため4年生になると、たとえば「bad[b'ad]」と「dad[d'ad]」の違いを文字と紐づけて理解できるようになり、簡単な文章が読めるようになっていきます。

 たとえば、文の読みでは“Pink pigs pick a big banana.”などといった簡単な文をコミカルなイラストとともに読んでみます。クラスメイトみんなで楽しみながら学べる工夫を随所にちりばめ「英語って楽しいもの」という気持ちを醸成していきます。

 また5年生になると、基本的なフレーズのQAを素早くやりとりできるようにするための練習や、「今まで耳で聞いていた『I/We/You』ってどういう意味だろう?」「この単語の後ろにはどんな単語が続くんだろう?」など、代名詞や文の構造への理解も、文法を説明するのではなくカード活動などで体感しながら気づきを促していきます。

◆スコアを数値化し伸びがわかるGTEC Junior

--2017年度からベネッセこども英語教室で受験できる「GTEC Junior」について教えてください。

高橋氏:英語教室には、「英語がしゃべれるようになった!」という生徒さんがいる一方、途中でやめてしまう生徒さんも残念ながらいらっしゃいます。その理由のほとんどは、漢字や計算などと違って「成果が見えない」ことです。せっかく教室に通っているのですから、成果の見える化が非常に大事だと私達は考えていました。

 「GTEC Junior」は、タブレットで4技能を測定できる小学生から中学1年生向けの英語コミュニケーションテストです。ベネッセこども英語教室では2017年7月からのスタート予定です。評価は「合格」「不合格」ではなく、スコアを数値化して1年間でどの力がどのくらい伸びたか、またこれからどういう学習をしていけばもっと伸びるか、といったことが技能別に細かくわかります。

 先ほどもお話したとおり、英語には機会格差があり、幼児期から英語に触れている子もいれば、4年生から始める子もいますから、個人にフォーカスした評価はとても大切だと思います。ベネッセこども英語教室で受験すると、先生が面談のタイミングで結果を細かく説明し、次回レッスンからの指導方針などもお伝えします。

◆大切なのは「英語って楽しい」と思うこと

--子どもが「使える英語力」を身に付けられる教室選び、保護者ができることを教えてください。

高橋氏:もっとも優先すべきは子どものやる気、英語を勉強したいという気持ちだと思います。ベネッセの調査によると、今の中高生が英語を嫌いになるのは中学1年生の2学期がもっとも多く、これは音と文字の認識の違いでつまずくことが原因のようです。一度嫌いになると、好きになるのはかなり難しいこと。ですから入口の段階で「英語って楽しいな」「世界中の人と話せたら楽しいな」と思ってもらうことが大切です。

 教室選びでは、子どもが英語を好きになる場かどうかが重要です。いろいろと教室を回って「ここだったら子どもが楽しく学べそうだ」という教室を見つけることが一番よいと思います。中高に進むと、大学入試に向けて単語や文法を覚えなければいけなくなります。その素地となる「学習習慣」も、小さいうちにつくってあげられるとよいですね。

 「自分も流ちょうな英語を話せなければいけないのかしら」と心配される保護者もいらっしゃいますが、それよりも子どもに動機付けをしてあげること。たとえば駅で英語のサインを見て、「日本語だけじゃなく英語でも書いてあるね。英語って大事になってきているね」といったように、いろいろな角度から機会を与えることです。そうすれば、子どもは持ち前の順応性を発揮してどんどん学んでいきます。

 最後に、英語は長く続けることが大切です。1か月間集中して学習し、その後は何もしないというのではなく、週1回でもよいので長く続けることです。そのためには、子どもが通い始めて間もないのに「ぜんぜんしゃべれないね」と短期的な評価をしないであげてください。自分から英語を話したくなるタイミングは、子どもによって違います。おしゃべりな女の子は聞いたらすぐにしゃべりたくなりますが、男の子は3~4年生になるとシャイになり、聞いてわかっていても話すことが恥ずかしい子もいます。そういった子も、環境に慣れればいきなり発話することがあります。長いスパンの中で、しっかりと子どもを見てあげてください。

--ありがとうございました。

 小学校での英語の教科化など、学校も気になるところだが、まずはお子どもが英語を好きになることや、続けられることが大切だと語る両氏。我が子にあった英語教育を、選択したい。

 ベネッセこども英語教室は、3歳から中学2年生を対象に、全国で英語教室を展開。保護者の満足度で評価するイード・アワード2016「子ども英語教室・幼児の部」で「子どもが好きな英語教室」「先生がよい英語教室」「コスパのよい英語教室」の各賞を受賞した。
《柏木由美子》

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