字は下手でもいい、でも…身に付けたい小学生のノート力

 今回からは5回に分けてノートを書く際のテクニックをご紹介していきたいと思います。今月のテクニックは「文字は、ていねいに書こう」。

教育・受験 小学生
国語の教科書を写しています。息子なりにていねいに書いています。下にあるのが徒然草をえんぴつでなぞる本です。終わると息子が丸付けをしてくれます。
  • 国語の教科書を写しています。息子なりにていねいに書いています。下にあるのが徒然草をえんぴつでなぞる本です。終わると息子が丸付けをしてくれます。
  • えんぴつの持ち方がしっかりできていれば、しっかりと力強い字が書けます。
  • ていねいに書くためには、罫線に合わせて書くことが基本です。そのためにもお子さまの文字やかきぐせにあった罫線選びをするのも大切です。
  • 太田あや著 『東大合格生が小学生だったときのノート』 講談社より発売中  Copyright (C) Kodansha Ltd. All Rights Reserved.
 連載も4回目。これまではノートとの向き合い方のようなことを話してきましたが、今回からは5回に分けてノートを書く際のテクニックをご紹介していきたいと思います。どれも小学生の間に身につけてもらいたいものばかりです。

 まず、今月のテクニックは「文字は、ていねいに書こう」です。テクニックと言った割にずっこけるくらい当たり前のことなのですが、ここがノートを書くための基礎となるところです。疎かにはできません。ていねいに書くことで自分のために書いているという意識も一緒に育ちます。

◆字は下手でもいいんです!

 ノートにはかならず読む人がいます。テスト前の自分であったり、先生であったり。ですので、かならず読み手を考えて書くことが大切です。そんな話をするとよく「字が汚いから無理」という人がいます。ていねいに書くことと字が下手であることは関係ありません。下手でもいいんです。これまで取材してきた東大生もみんながみんな、字がきれいだったわけではありません。下手でもいいので、自分が見直したときに読める字で書くということが大切なのです。

 特に1、2年生の間は、ていねいに書く習慣をつける大切な時期です。まず、えんぴつを親指、人差し指、中指でしっかりと持ち、文字の「はね」「とめ」「はらい」をしっかり書きましょう。まだまだ筆圧がそんなに強くないですが、えんぴつの芯にBや2Bを選ぶと、しっかりと力強い文字が書けます。

 そして、罫線に合わせて書いてください。最初はマス目に十字リーダーがあると、バランスよく書けます。マス目の大きさは、お子さまの文字の大きさ、癖を見て一番書きやすそうなものを選んであげると、ストレスなく書くことができます。

 また、学年が上がるにつれ、マス目に縛られずもっと自由にたくさん書きたいという思いが出てきたら、横の罫線ノートに切り替えるタイミングです。ちなみに、5年生から横の罫線を使う人が多いです。


◆ていねいに書くとはやく書けない?

 先日、埼玉県のある小学校で、ノートの書き方の授業をしてきました。そのとき、4年生の男の子が「ノートをていねいに書いていると授業に遅れてしまう」と言っていました。字がとてもきれいな子でした。確かに、そういうこと、あります。そんなときに考えて欲しいのは、ノートは誰のために書いているか? ということです。ノートは自分のために書いています。美しく書くためではありません。最低限、自分が読める字であればいいのです。

 文字をていねいに書ける子は、スピードが上がっても文字もそんなに乱れません。だた、乱れた文字を自分が許せるかどうかなのです。ていねいに書くことを性分とする子にとっては難しいことですが、ノートの美しさに完璧さを求める必要はありません。

 東大生もよく言っていました。
「本当はもっときれいに書けるんだけど、そうすると授業に追いつけないので、これくらいで止めておきました」と。この東大生たちの潔さは、ノートは自分の目的のために書いているという意識がしっかりあるからなのだなと感じました。


◆親子で「書写」を始めました

 さて、最後に少し我が家のお話です。
 もう少しで3学期も終わります。4月に息子のノートを開き、あまりに自由な使い方に「こうきたか~」と驚いてから1年。当時はまだ書けなかった漢字も少しずつ書けるようになり、ノートもだいぶ上手に使えるようになってきました。以前、小学生時代の恩師から「子供のノートは成長の証なんだよ」と言われましたが、本当にそうなんだなと実感する日々です。

 とは言え、まだまだ怪しい字がちらほらあります。
 漢字の「下?」と思うと鏡文字になった「ヲ」だったり、「村」という感じが「寸木」となっていたり。「お、これまた斬新な字だね~」なんて笑っているのですが、ちょっと気になるのが、字が少しずつ適当になってきているところ。書くことに慣れてきたんでしょうね。これくらいで書いても先生からは「できましたハンコ」がもらえると、わかってきたからかもしれません。

 そこで、ここいらでちょっとノートをていねいに書く感覚をつかんでほしいなと「書写」を始めました。やってみると、息子の苦手が見えてきます。書き順がおかしい文字があったり、促音の書く場所が違っていたり、句読点を忘れがちなところだったり。1年の振り返りにはちょうどいいかもしれません。

 嫌がるかなと思ったのですが、意外と真面目に集中してていねいに書いています。そんな息子を見ていたら私も一緒に書きたくなり、だいぶ前に購入した「えんぴつで始める徒然草」という本を引っ張りだしてきました。徒然草を書き写すという本ですが、鉛筆で文字を書く感触を久しぶりに感じ、心地よいです。私が横で監視するように見ているよりも、徒然草を書いている方が息子もなんだか嬉しそうにしています。そうなるとソファをジャンプしまくっていた3歳の娘も「あたちも~」とクレヨンを持ってくるので、親子3人で机に向かう時間ができました。

 今はほんの短い時間ですが、いつか3人で机に向かい勉強や仕事の愚痴を言いながら作業できると楽しいだろうな、と妄想が膨らみます。子供達はいつまで私に付き合ってくれるのかな。そんなに長くないと思うので(悲しすぎるけど…)、今のうちにいろいろ伝えていかなきゃですね。

 そんなわけで、今日はお子さまのノートを見ながら1年間のあんなことやこんなことを振り返ってみてくださいね。

【小学生のノート力】ノートの基本はやはり「文字をていねいに書く」です

《太田あや》

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