相手視点に立ったプレゼン、そのコツは?

 スキルパーク、シニアトレーナーの下地寛也(しもじかんや)が贈るプレゼンのちょっとしたテクニックやよくある疑問にお答えするコーナー。今回は相手の視点でプレゼンのシナリオを作るって具体的にどうするの?に答えます。 

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 こんにちは。[コクヨの研修]スキルパーク、シニアトレーナーの下地寛也(しもじかんや)です。プレゼンのちょっとしたテクニックやよくある疑問にお答えするコーナー。

 今回は、24回目。相手の視点でプレゼンのシナリオを作るって具体的にどうするの? ということについて考えてみたいと思います。

相手の視点で考えなさいと言われても……



 プレゼンの内容を事前に上司にチェックしてもらうと「ちょっと独りよがりな内容だなあ。もっと相手の視点に立ってシナリオを考えないと駄目だよ」なんてアドバイスをもらうこともあるでしょう。

 では「相手の視点に立って考える」とは具体的にどうすればいいのでしょうか?

 よくあるケースで考えてみましょう。例えば、新製品のオフィスチェアの企画会議で人間工学にもとづく新技術を取り入れたイスを役員会議で提案するとします。セールスポイントは「ワーカーの疲労度を軽減する新技術のバランス機構」です。

 プレゼンをする開発担当者は、その技術がいかに優れているのかを熱心に語ります。「大学との共同実験でこの新技術を使えばワーカーの疲労度が軽減することが確認されました」「特許を既に取っているので他社は簡単に真似できません」などなど、熱っぽく語ります。

 ところが、これでは「相手の視点」、つまり聞き手である役員の視点に立っているとは言えません。役員はどのような視点でプレゼンを聞くでしょうか?

 例えば、「その疲労度を軽減する技術で顧客は購入したいと思うのか?」とか「新技術のバランス機構をつくるコストを考えるとこの価格設定で利益は出るのか?」とか「新技術のバランス機構はトラブルなく安定的に生産できるのか?」といったことかもしれません。

 つまり「売れるのか?」「儲かるのか?」「安定生産できるのか?」ということを知りたいはずです。

 開発担当者という立場から「その技術が如何に素晴らしいか?」という視点でプレゼンしがちです。もちろん、単にその視点だけにはならないと思いますが、プレゼン全体のトーンが自分達が生み出した「新技術の素晴らしさ」を中心になるでしょう。そうではなく、相手の立場から「新技術は会社の売上・利益につながる」という視点でプレゼンのシナリオを考えるべきでしょう。

 つまり、相手の立場でシナリオを考えるとは、「相手は何を知りたいだろうか?」ということを徹底的に想像し、その知りたいことに対する答えを中心に構成する行為になるわけです。

相手が複数いる場合はどうするか?



 そうは言っても、立場の違う役員が複数いて、まったく違った視点で指摘を受けることもあるでしょう。意思決定者はトップの人であることが多いかもしれませんが、日本の会議では合議制で決まる場合も多分にあるはずです。

 そういったときは、まず誰が会議に参加するのかを確認して、参加する役員が何を気にするのかを把握しておきましょう。

 たとえば、営業系の役員であれば「どれだけ売れる見込みがあるのか?」を気にするでしょう。一方、生産系の役員であれば「新技術に対する工場の設備投資はどのようなものになりそうか?」、財務系の役員であれば「どれくらいの投資金額になるのか?」を気にするかもしれません。

 そういった立場からくる視点やその人特有のモノの見方は、事前にその部署の人にヒアリングしておけば、だいたい把握できるはずです。

 もちろん、全役員が気にする視点をすべて入れて話すとプレゼン時間が長くなりすぎるでしょう。よって、意思決定するために必要不可欠な視点はどれか、社内のパワーバランスを考えると誰の視点を重視すべきかなどを考慮してプレゼンのシナリオを考えてみるといいでしょう。

相手の視点でプレゼンのシナリオを考えるって具体的にどうするの?

《下地寛也》

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